
スクエアなデザインと取り回しやすいボディサイズで注目を集めるランドクルーザーFJ。オンロードの快適性とオフロードの頼もしさを兼ね備え、四駆初心者からベテランまで楽しめる1台の真価に迫ります。 ●試乗車:ランドクルーザーFJ“VX” 価格450万100円
●文:月刊自家用車編集部(まるも亜希子) ●写真:澤田和久、トヨタ自動車
小回りの利くサイズ感と軽快な走りが光るオンロード試乗
誕生から75周年という節目に、ランドクルーザー兄弟に新たに仲間入りしたランドクルーザーFJ。今年5月に発売されたものの、人気すぎてなかなか試乗する機会が得られなかったが、ついに一般道とオフロードの両方で試乗することができた。
伝統のラダーフレーム構造を採用しながら、全長は250シリーズと比べるとマイナス350mmとなる4575mm、全幅はマイナス125mmの1855mmと比較的コンパクトなボディサイズとなり、ホイールベースも2580mmに短縮されたFJだが、兄貴分たちと並べても遜色のないランクルらしさを放っていた。
サイズ感としてはミドルクラスSUVのRAV4に近いのだが、デザインには歴代ランクルが継承してきたスクエアなキャビンを意識したシルエットが踏襲され、障害物によってライトなどが破損することのないよう少し内側に置かれていたり、バンパーの端がえぐれていたりといった、走破性へのこだわりも見て取れる。そこに、サイコロをモチーフとしつつ角を削ぎ落としたカタマリ感や、アイコニックなコの字デザインの前後ライトなどから、少しカジュアルで若々しい印象も散りばめられているのがFJ独特の魅力だ。
ランドクルーザーシリーズの末っ子となるFJ。コロッとしたスクエアな外観が愛らしい。
一般道では運転席と後席に試乗した。豪華ではないが、メッキ装飾などがないシンプルさやステアリング中央のレタリングロゴなど、気軽な雰囲気を感じるコクピットは好印象。スイッチ類やディスプレイの配置も分かりやすいと感じる。カスタマイズできるアクセサリーパーツが豊富に用意されるので、好みや使い方に合わせて自分らしく仕上げていくベースとしてもいいのではないだろうか。
スタートボタンを押すと元気良く目覚めるのは、2.7Lの自然吸気ガソリンエンジン。パートタイム4WDを手元のダイヤルで「2H」に切り替えてみた。足先にしっかりとしたタッチを感じながら力をこめると、想像したよりも速いレスポンスで加速が始まり、後輪が近くにある感覚が新しいランクルであることを伝えてくる。ほぼUターンのような転回でもスイスイと取り回せるのは、最小回転半径が5.5mと小さくなっている恩恵だ。低速でのステアリングの重さはやや気になるところだが、昔のパワステなしの頃ほどではなく速度がそれなりに上がっていけば安心できる手応えだと感じる。車道に出る際の段差でもドスンという不快な振動はなく、収束性が高いことに驚かされる。
幹線道路では、ストップ&ゴーの繰り返しがストレスなく、ランクルらしい圧倒的な安定感の中に垣間見える軽やかさがFJならでは。最高出力120kW/最大トルク246Nmというスペックから想像するよりもずっと余裕が感じられる。交差点を曲がった後の立ち上がりや車線変更といったシーンなどではキビキビとした挙動も味わえるのが新鮮だ。
後席に座ると、アップライトな視点は変わらず足元や頭上のゆとりも十分だ。速度を上げていく時は前席との会話が聞きづらいこともあったが、静粛性に関しては250同等かそれ以上ではないかと感じた。路面からの振動がまったく入らないわけではないものの、最小限に抑えられているようで終始快適。これならオンロードユースがメインのファミリーユースでも、不満が出ることはまずなさそうだ。
信頼性に優れた2.7Lガソリンエンジン(2TR-FE)。120kW(163PS)/5200rpmを搭載する。燃料タンク容量は63Lだ。
難所も難なくクリア! DACと油圧式ステアリングが支える本格オフロード性能
そしてオフロードでは、ロック&モーグルコースと林間コースを試乗。最初のロック&モーグルコースでは、雨が降ったりやんだりの天候でぬかるんだ路面の急坂を降りるところが1つ目の関門だ。
FJには、300のように高度な走行制御システムは採用されていないが、ダウンヒルアシストコントロール(DAC)が険しい急坂でもタイヤロックすることなく極低速での降坂をサポートしてくれる。何もしなければ恐らく転がるように速度が上がってしまいそうな急坂でも、「4H」から「4L」に切り替え、DACスイッチを押すだけで一歩ずつ歩くくらいの低速で走行が可能。
路面の凹凸によってステアリングが過敏に振られすぎないのも油圧式を残したFJの特徴で、傾斜20度未満よりも20度を超えてからの方が、より安定した挙動で下って行けるとところにも頼もしさを感じた。
オフロードの走行性能は兄貴分にも劣らない。むしろショートホイールベースの分、勝るところもありそうだ。
初心者にも四駆リターン組にも馴染む「史上最もフレンドリーなランクル」
また、左右に大木が並びブラインドになっているタイトなコーナーでも、小回り性能のよさを発揮。大きな穴が開いている場所を避けて通過しやすいので、オフロード初心者にも優しい。
そして岩石セクションでは、アクセルを踏まないくらいでちょうどいいほど、次々に岩を乗り越えていけることに驚いた。ディスプレイに床下の状態がしっかり映っているので、どのコースを通ればいいのかも分かりやすい。モーグルも同じように、ほとんどブレーキのみの操作で難なくクリア。
いちばん深いところでは一輪が浮いていたようだが、それでもほかの車輪でしっかりカバーして乗り越えていく。
さらに林間コースでは、令和のランクルらしい安心感がありながらも、自分の腕前にもかかっている感覚が強めなところがどこか懐かしくもあり、楽しい。FJはオンロードでもオフロードでも、初心者でも四駆リターン組でも身構えることなくクルマと一体になって走ることができる、史上もっともフレンドリーなランクルなのではないかと感じた次第だ。
直線的なインパネデザインが硬派で今の時代では逆に新鮮さすら感じる。見切りの良さなどオフローダーとしての性能にも貢献。
積載性もとても良好だ。外観と同じ直線基調の内装のため、スペース効率にも優れている。
好印象だったのが、走行モードなどの切り替えが分かりやすくて、指先でも反応を確かめられる物理スイッチだったことだ。メーカーとしてはコストがかかってしまう部分だろうが、ユーザーのことを本当に考えていることが感じられる、
オフロード性能の高さは当然。史上もっともフレンドリーなランクルでありながら、本格的な走破性能を持つ稀有な存在だ。
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