「トヨタ車でよく見るね」「後付け可能なの?」禁断のパーツをホンダ車に装着。実際に走ってみると、意外な結果と注意点。│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

「トヨタ車でよく見るね」「後付け可能なの?」禁断のパーツをホンダ車に装着。実際に走ってみると、意外な結果と注意点。

「トヨタ車でよく見るね」「後付け可能なの?」禁断のパーツをホンダ車に装着。実際に走ってみると、意外な結果と注意点。

トヨタ車でよく見かける“あの突起”をご存知だろうか。見た目は控えめだが、空気の流れを整える本格的な空力パーツだ。今回はその「ボルテックスジェネレーター」をあえてホンダ車に後付け。小さなパーツが走行フィールにどれほど影響するのか、期待と半信半疑が入り混じる中でテストを開始した。結果は派手さこそないが、装着前とは確かに違う“空気の変化”があった。

●文:月刊自家用車編集部

空力パーツなのに“謎の突起”扱いされる存在

最初にこのアイテムを手に取ったとき、多くの人が「これは何に使うのか?」と首をかしげるはずだ。細長いプラスチックパーツが12個並ぶだけのシンプルなパッケージで、機能を知らなければただの飾りにしか見えない。しかし実態はまったくの逆で、空気の流れに渦を作り、車体の乱流を抑えて走行安定性を上げるという“理詰めのパーツ”だ。航空機の翼でも採用される技術だけに、本来は極めて専門性の高いアイテムと言える。

トヨタ車では大体のモデルに標準装備されているため、見覚えがある読者も多いだろう。だがホンダ車では非装備のモデルが多いため、今回はあえてホンダ・フリードに後付け。安価な汎用品でどこまで効果が得られるのか、実走して検証してみた。

ちなみに、トヨタのシエンタには標準で写真のような突起が装備されている。

手のひらサイズのパーツからは想像できない存在感

パッケージを開けると、長さ53mm、幅9mmほどの細身のパーツが登場する。軽くて薄いので装着位置を選ばず、ブラックの質感はどの車色にも馴染みやすい。サイドビューに控えめなアクセントを加えるだけで、車全体が少しスポーティに見える。この“見た目の変化”だけでも装着価値は十分にある。

サイズは長さ5.3cm x 幅0.9 cm。

ラインナップにはブラック以外にもシルバーやホワイトがあり、外観の雰囲気を崩さず純正風に仕上げることも可能だ。12個入りなので、リアゲート上部、サイドミラー付近、フェンダーなど気流が乱れやすいポイントを複数試せるのも魅力だろう。

両面テープで装着できる“お手軽さ”が武器

装着方法は驚くほど簡単だ。裏面には強力な両面テープが貼られているため、貼り付け面を脱脂して位置を決めれば完了となる。曲面には向かないため、平らな部位に丁寧にセットしたい。

両面テープ付きで簡単装着。

今回はサイドミラー下部とリアスライドドア後端に左右3個ずつ配置した。遠目ではほとんど目立たないが、近づくと空力デバイスらしいデザインが見えてほどよい存在感がある。走行風を受ける面だけに、強度が気になるところだが、実走の中で剥がれる気配はまったくなかった。

リアのスライドドアの後部に3つ設置してみる。

スポーティ感が一段増す外観の変化

実際に車に装着すると、見た目の印象が変わる。純正然としたまとまりの中に、わずかに“レーシングの香り”が漂うようになる。この控えめな主張がちょうど良く、派手なエアロキットは好まないユーザーに刺さる存在だ。さらに、パーツが物理的な突起として機能するため、ドア周辺の小傷を目立たなくしたり、ストレスポイントを保護したりする副次効果もある。

サイドミラーに1個、左右に設置。

外観を少しだけ変え、機能も期待できる。このコンビネーションが、後付け派の心をくすぐる。

左右に3つずつ取り付け。目立たず、純正感があるのでいい感じだ。

実走テストで見えた“微妙だけど無視できない変化”

では本題の走行テストに入ろう。市街地、高速道路、山道と数日かけて走り込み、装着前後を比較した。

いかにも機能してくれそうな見た目。ちょっと期待してしまう。

まず高速巡航時の風切り音。劇的な変化こそないが、ミラー付近の細い風音が気持ち穏やかになったように感じられる。音量というより、耳に触れる質がわずかに柔らかくなる印象だ。気のせいと言えばそれまでだが、体感としては確かに違う。

燃費に関しては、日常使用の中では明確な差が出るほどではなかった。ただ、空気抵抗を減らす方向に働くパーツなので、長距離巡航では一定の差が出る可能性はありそうだ。

純正の突起を後付けできる“面白さ”

今回試したのはトヨタ車に標準装備されているデザインを、ホンダ車に後付けするというシチュエーションだ。この“メーカーをまたいで空力装備を流用する楽しさ”こそ、カーグッズ遊びの醍醐味と言える。

クルマは純正状態が最適解と思いがちだが、こうしたパーツを付けてみると、本来備わらないはずの機能が加わり「自分だけの最適解」が生まれる瞬間がある。その行為自体が愛車との距離を縮め、運転へのモチベーションを確実に高めてくれる。

小傷対策としての価値も侮れない

今回のテストで意外にありがたかったのが、傷予防としての副次的な機能だ。スライドドア周辺はバッグが触れたり小石が跳ねたりと細かいダメージが頻発する箇所で、そこに小さな突起が並ぶことで“簡易プロテクター”の役割を果たす。

余ったパーツを傷つきやすい部分に貼り増ししておくと、日常のストレスをかなり減らせるはずだ。

最後に気になった点を正直に挙げる

今回の製品は満足度が高いが、どうしても触れておきたいポイントがある。それはパーツ自体がABS樹脂で硬く、曲面には適さない点だ。車体のRが強い箇所に貼ると剥がれる可能性があるため、装着位置の見極めが必要となる。

もう一点は、空力効果が劇的に出るわけではないため、過度な期待は禁物ということだ。だが、この“控えめな効き方”こそが安全で扱いやすいとも言える。

総じて見れば、価格と作業性、デザイン性、空力の微改善、傷予防という複数の要素が合わさり、コスパはかなり高い。気軽にカーライフをアップデートしたいオーナーにとって、手堅くおすすめできるアイテムだと言っていい。

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