「スポーツカーなのにガチな走りは苦手⁉︎ 」バブル崩壊後に誕生し、独自の地位を確立した“街乗りで映えるお洒落な軽スポーツ”【ダイハツコペン】│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

「スポーツカーなのにガチな走りは苦手⁉︎ 」バブル崩壊後に誕生し、独自の地位を確立した“街乗りで映えるお洒落な軽スポーツ”【ダイハツコペン】

「スポーツカーなのにガチな走りは苦手⁉︎ 」バブル崩壊後に誕生し、独自の地位を確立した“街乗りで映えるお洒落な軽スポーツ”【ダイハツコペン】

利益が出にくい一方で、企業のブランド価値を大きく高めるスポーツカー。そもそも市場が限定される軽自動車規格でそれを成立させるのは極めて困難だ。バブル崩壊後の2002年に誕生したダイハツ「コペン」は、見事にその壁を越えた“快挙”と呼べる一台だった。
実用車のシャシーを流用しつつも、電動オープン機構や贅沢なエンジンを搭載し、街乗りに映えるお洒落な軽スポーツとして独自の地位を築いていった。2014年登場の2代目が2026年に生産を終了した現在も、新たなFRコンセプトカーが国内外で発表されるなど、その熱は冷めていない。

●文:横田晃(月刊自家用車編集部)

ワインディングロードをギリギリまで攻めるようなヤンチャな走りを追求するのではなく、街乗りでお洒落かつ軽快に走れる軽スポーツを目指したコペン。

ライバル車から、大きく遅れて登場したコペンは、ビミューな”快挙(怪挙?)”だった

スポーツカーという商品は、メーカーにとっては意外とやっかいな存在だ。実用車のようなシンプルなメカニズムでは満足してもらえないのに、実用車ほど売れるわけではない。カネはかかるが儲けは薄く、うっかりすると赤字を垂れ流す不良在庫になりかねない。ビジネス目線ではリスク案件だ。

一方で、スポーツカーをラインアップしていることは、ブランド価値を高める効果が大きい。華やかなデザインを纏い、気持ちのいい走りが楽しめるスポーツカーは、夢を買う乗り物。それを作るメーカーは、夢を売る素敵な企業として消費者に記憶されるのだ。

好景気の下で企業がブランド価値の向上に力を入れたバブル時代に、傑作スポーツカーの数々が登場したのもむべなるかな。フェアレディZにスープラ、NSXにロードスター……、あの時代のスポーツカーは、世界に羽ばたく日本メーカーの、まさに看板だった。

そういう存在であるスポーツカーを、日本国内にしか市場がない軽規格で成立させることが、いかに難しいかは想像に難くない。ビートにカプチーノ、AZ-1の“平成ABCトリオ”は、バブル時代に開発されたからこそぜいたくな専用シャシーを引っ提げて世に出ることができたし、それぞれが歴史的な出来栄えだったのだ。

という背景を踏まえてみれば、バブル崩壊から10年も経った2002年にデビューを果たした軽オープンスポーツカーのダイハツコペンは、ビミョーな“快挙”、もしくは“怪挙”と呼べる一台だった。

丸みを帯びたボンネットと大きく開いたフロントグリルが、軽自動車の枠を超えたクラシカルなスポーツカーの雰囲気を演出する。

フロントとリアの「前後対称(シンメトリー)」となっており、このクラスとしては画期的な電動油圧ポンプ式のハードトップ「アクティブトップ」を採用。オープン時もクローズ時も美しいプロポーションを保っていた。

丸型のテールランプとバックランプ/ウインカーの配置は、フロントのヘッドライト周りのデザインイメージをそのまま反転させた造形になっている。

ワインディングより街乗りで真価を発揮するお洒落な軽スポーツ

プラットフォームは実用車と同じFFでコストダウン。その代わりに、エンジンは軽自動車としてはぜいたくな4気筒DOHCツインスクロールターボで、ATも電子制御が奢られた。極めつけがボタン一つで開閉できる、電動油圧式のアクティブトップだ。

専用シャシーまではムリでしたけど、いいエンジンを載せて、気軽にオープンドライブが楽しめる軽スポーツカーを手ごろなお値段で作りました。大人のセカンドカーにいかがでっしゃろ……そんな大阪の開発者の声が聞こえてきそうなコペンは、乗ってみるとなかなかに良かった。

アクセルワークでテールを振り出せるカプチーノほどのパンチはないし、AZ-1みたいにジムカーナで無敵のハンドリングでもない。タコメーターの針をレッドゾーンに貼り付けてワインディングを攻める、オートバイのようなビートのゲーム性もない。けれど、能書きを垂れるより街に気軽に乗り出して、信号待ちで笑顔を向ける歩行者との距離感の近さにほっこりするような、軽スポーツカーならではのお洒脱な魅力がたしかにあったのだ。

初代コペンには、電動開閉式ハードトップ「アクティブトップ」と手動式ハードトップの「デタッチャブルトップ」が用意されていた。

タイトでスポーティな設計の運転席。スポーティな独立型の3眼メーターを採用することで、視認性とデザイン性を両立している。MOMO製本革ステアリングもグレードによって標準装備となった。

レザーパックグレードには、ブラック、アイボリー、レッドなどのカラーバリエーションの本革シートが装備されていた。

MT、ATともにボール状の手のひらにすっぽりと収まりやすい丸みを帯びたシフトノブを採用。ATじゃゲート式を採用。

2代目は、変身が可能な樹脂製ボディ外板とあわせて、大人のオモチャとしての楽しさを増していた

ハンドリングだって悪くなかった。とくに、レカロのシートやビルシュタインのサスを備えた特別仕様車は、ヘタな上級スポーツセダンよりよほど快適で楽しく操れた。その出来栄えは海外にも通用して、右ハンドル軽規格のまま輸出された英国はもちろん、1.3L左ハンドルのドイツ仕様まで作られたのだ。コペンは欧州では必ずしもメジャーではなかったダイハツの名を知らしめる、名刺の役割を果たしたのだった。

2012年に一度は生産を終了したものの、2014年に2代目が復活を果たしたのも、ダイハツがその価値を認めたからだろう。テストドライバー出身の主査が仕上げた2代目は、エンジンは3気筒にダウングレードされたものの、走りにはさらに磨きがかかり、変身が可能な樹脂製ボディ外板とあわせて、大人のオモチャとしての楽しさを増していた。

その2代目の生産も2026年夏に終わってしまったが、ダイハツはまだ諦めてはいないようだ。2025年のモビリティショーと2026年の東京オートサロンで注目を集めたFR軽オープンスポーツのコンセプトカーは、この夏のインドネシアでのショーにも出展されたという。日本国内だけでなく、アジア戦略の一環としての軽スポーツカーの可能性を探ったのだろう。

2代目を魔改造してFRのコンセプトカーを仕上げたエンジニアは、自身がモータースポーツを楽しむ熱血漢だった。3代目コペンが世に出るまでには、きっとまだ多くのハードルがあることだろう。けれど、バブル崩壊後の厳しいご時世に市販まで漕ぎつけた初代コペンの主査がおそらくそうだったように、きっと彼もトップに粘り強く、熱いプレゼンテーションをし続けるはずだ。

日本のメーカーにしか作れない魅力的な軽スポーツカーの血統を、ぜひ次世代へと受け継いでほしいと思う。

2代目コペン

2代目コペンは、着せ替え可能な外装構造「D-Frame」と「Dress-Formation」を活かし、全く異なる3つのデザイン(スタイル)を展開。これにGRスポーツが加わり、4グレードとなる。

Robe(ローブ)2014年

Robe(ローブ):流れるようなボディラインが特徴の、2代目コペンの基準となるスポーティなスタイル

XPLAY(エクスプレイ)2014年

XPLAY(エクスプレイ):樹脂製のフェンダーアーチなどを備えた、SUVやクロスオーバーのようなタフで力強いスタイルとなる。

Cero(セロ)2015年

Cero(セロ):初代コペンを彷彿とさせる、丸目のヘッドライトと丸みを帯びたクラシカルなスタイルが特徴。

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