
フロントガラス越しに広がる山並みや海辺の景色が、まるで我が家の一部のように感じられる瞬間がある。クルマの中が“秘密基地”に変わる。その驚きこそ、N-VANコンポが持つ最大の魅力だ。子供時代に憧れた、自由気ままに過ごす隠れ家の夢を叶える。開放感あふれる助手席側の大開口ドアと、フラットな床がその舞台となる。サイドオーニングを広げてドアを全開にすれば、そこは自然とつながる“テラス席”だ。お茶を飲んだり昼寝をしたり、アウトドアリビングとしても活躍する。
●文:月刊自家用車編集部
朝の目覚めは“二階ベッド”でロッジ泊気分
夜になれば、ベッドに横になったまま星空を眺めることもできる。天井高は180センチを超え、車内で立って着替えや調理もこなせるから、車中泊でもストレスは少ない。リアにはメッシュタイプの網戸付き天窓があり、風を取り入れながら虫の侵入を防ぐ。快適な“二階ベッド”としても、使い勝手は抜群だ。さらにエンジン停止後でも動作するFFヒーターが搭載できる点も大きな魅力だ。燃焼時に発生する汚れた空気は車外に排出し、室内にはクリーンな暖かさだけが広がる。寒い朝でも、まるで山小屋に泊まったかのような暖かさを“二階”で味わえる。
自転車も積める収納力と、シンクが生む自由
趣味が自転車なら、このクルマはまさに“相棒”になる。リアマウント型のサイクルキャリアは3台分対応し、テールランプやナンバープレートの視認性も損なわない設計だ。収納に困る自転車も、安全かつ簡単に積載できる。使わないときは折りたたんで室内に収められるため、取り回しもスムーズだ。取り付けや取り外しも簡単で、使い勝手の良さが際立つ。
さらにシンクや電子レンジを備えた家具架装も、このN-VANコンポならではの特徴だ。軽キャンパーの枠を超えた本格的なキッチン空間が、車内に現れる。便利さが際立つダブルシンクは、調理と洗い物を分けることもでき、アウトドア環境で料理を効率よく楽しめる。家族での使用や料理好きな人にも最適だ。
自由に選べる3つのスタイル
インテリアには「Style-one」「Style-two」「Cabin」の3タイプが設定され、それぞれが独自の個性を持つ。「Style-one」ではセンターピラーのない開口部の広さを活かして、乗り降りのメインはサイドに集約。リアゲート面を壁と見立て、家具を配置した合理的なレイアウトだ。「Style-two」は多段シェルフを駆使し、収納力を最大化した設計になっている。リアエンドまで無駄なく活用する構成だ。そして「Cabin」は、小さな居室空間としての快適性を追求している。車中泊だけでなく、在宅ワークや趣味スペースとしても活躍する高い自由度を備える。いずれのスタイルも限られた空間を有効活用し、“自分だけの秘密基地”を手に入れる喜びを感じさせる。
車中泊生活を快適にする装備群
アウトドア生活で重要なのは快適性だ。N-VANコンポはその点でも抜かりない。厚手のベッドマットは疲れた体をしっかりと支え、一晩ぐっすりと眠れる。家具全体には収納棚が組み込まれ、着替えや小物を整理して収納できるため、荷物が散乱する心配はない。
リアゲートには風を通しつつ虫の侵入を防ぐ網戸が備わる。さらにリアボードを倒せば、テーブルとして使える。電子レンジやAC100Vコンセントも搭載可能で、簡易キッチンとして調理や温めを楽しむこともできる。冷蔵庫も設置できれば、車内が“食堂”のように生まれ変わる。
プライバシーカーテンも備え、昼間でも外からの視線を遮り、自分だけの空間に没入できる。運転席は回転式で、家具との連携もスムーズだ。対面ダイネット、ベッド展開、収納のすべてが短時間で完結し、クルマを“暮らす道具”へと変える。
安心の国産品質
N-VANコンポは国内の自社工場で製作・架装されている。ガスダンパー付きのドアや天窓は女性でも簡単に操作できる仕様だ。しっかりとした断熱構造も備わり、細部にまで安心感が行き届く。乗車定員2名、就寝定員も2名と、大人ふたりで快適に過ごす設計だ。
ガソリンエンジン仕様に加え、ターボ+ポップアップルーフといったバリエーションも用意され、使い方やライフスタイルに合わせて選択できる。価格は約246万円からと、軽キャンパーとしては手が届きやすい設定だ。これからキャンパーライフを始めたい人にも、こだわりのある個人ユースにも、この一台はしっかり応えてくれる。
小さな車体に詰め込んだ“大きな自由”
N-VANベースだからこそ、都市部でも抜群の使い勝手を発揮する。狭い道でも小回りが効き、買い物や通勤といった日常使いにも適している。それでいて、自然の中に出かければ“大きな空間”として活躍する。まるで“二つの顔”を持つクルマだ。
夜はベッドとして、昼は秘密基地として、朝は大自然を独り占めにする“ポップアップルーフ付き秘密基地”へと変わる。そこにあるのは、自由な選択肢と、自分だけの豊かな旅時間だ。
写真ギャラリー
ベースとなる車両はホンダのN-VAN。
ベースとなる車両はホンダのN-VAN。
車内はフラットスペースの面積を広くとったレイアウト。
ピラーレス構造のため、乗り降りや荷物の出し入れがしやすく非常に快適。
バックドア側から見た車内。網戸も取り付けられており、虫の侵入を防ぎながら、一瞬で換気ができる。
適度なサイズ感のテーブルは取り外しも簡単。車外に居ても使いやすい位置に設置されている。
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