
コンパクトなボディに、生活の機能を凝縮したキャンピングカー「ZERO」。OMCが手掛けるこのモデルは、日常の足としても扱えるサイズながら、キャンプや車中泊、さらには災害時のシェルターとしても活躍する万能モデルだ。冷蔵庫や電子レンジ、ポータブルトイレなどを標準装備し、限られた空間に“暮らせる快適さ”を詰め込んでいる。ミニマルながら実用性を追求した一台として、キャンパーの中でも異彩を放つ存在だ。
●文:月刊自家用車編集部
コンパクトボディに詰め込まれた“暮らせる”装備
ZEROの最大の特徴は、ベース車両としてハイエース(キャラバンも選択可)を採用しながらも、車内での生活をしっかり支える装備を詰め込んでいる点にある。走行充電システムや外部電源、サブバッテリーを標準装備し、停車中でも家電を安心して使える環境を整えている。冷蔵庫や電子レンジを備えた車内は、ちょっとした料理も可能な“小さな台所”のような存在だ。
また、ギャレーや給排水タンク、LED照明、フルトリム仕上げなど、細部にまで実用性と快適性を追求。断熱材を施した室内は、夏も冬も快適に過ごせるよう配慮されている。小さなボディの中に、日常生活を成り立たせるための装備が見事に融合している。
3人が独立して眠れる快適な就寝スペース
車内には3人分のベッドが設けられており、独立してセッティングできるのが特徴だ。ベッド展開は簡単で、日中はソファとしてくつろぎ、夜はフラットなベッドに早変わりする。二段ベッドとしても使用できるため、子ども連れのファミリーにも使いやすいレイアウトとなっている。
就寝スペースの快適さに加え、床下収納も標準装備されており、旅の荷物やアウトドアギアをすっきり収めることができる。リアアクセスがしやすいため、車外との荷物の出し入れもスムーズだ。小さなボディながら、実際に寝て過ごすことを前提に考え抜かれた設計が光る。
ダイネットで過ごす穏やかな時間
ZEROの室内で最も印象的なのが、二人用の独立したダイネットだ。窓の外に広がる景色を眺めながら、ゆっくりと食事を楽しめる空間は、小さな旅の中に豊かさをもたらしてくれる。テーブルを挟んで対面に座ると、車内とは思えない開放感がある。
2列目と3列目のシートは走行時に前向きとして使用できるため、移動中も快適な姿勢でドライブが楽しめる。シートを倒してベッドにしたり、テーブルを設置して作業スペースにするなど、限られたスペースを多用途に活かす工夫が随所に感じられる。
災害時にも頼れる“動くシェルター”
ZEROが持つもうひとつの顔は、災害時の避難シェルターとしての機能だ。ポータブルトイレが標準装備され、仕切りカーテンも備わるため、プライバシーを確保しながら車内で安心して過ごすことができる。停電時もサブバッテリーと外部電源、インバーターを活用すれば、冷蔵庫や照明が使える環境を維持できる。
さらに、オプションで薄型ソーラーパネルを追加すれば、電力の自給も可能になる。電気を確保できるという安心感は、キャンプだけでなく緊急時の生活においても大きな強みだ。ZEROは“趣味の車”でありながら、“備えの車”としての価値も持ち合わせている。
オプションで広がる快適性と自由度
標準装備でも十分な装備内容を誇るZEROだが、オプションを追加することで快適性はさらに高まる。FFヒーターを装備すれば冬場の寒冷地キャンプにも対応でき、車載用クーラーを追加すれば夏でも快適な車内環境を保てる。サイドオーニングを展開すれば、外の空間をリビングのように使うこともできる。
また、ナビやドライブレコーダー、ソーラーパネルなどの電装系オプションも豊富に用意されており、使い方やスタイルに合わせて自由にカスタマイズ可能だ。日常の延長線にある軽快な移動手段としても、非日常を楽しむための旅の道具としても使える懐の深さがある。
“ちょうどいい”本格派キャンピングカー
ZEROは大型キャンピングカーのような派手さはないが、そのぶん普段使いできるサイズ感と、使う人の目線に立った設計が魅力だ。街乗りでも扱いやすく、狭い道でも安心して走れる取り回しの良さは、日常の足としても成立するレベル。駐車スペースを選ばないという点も、都市部ユーザーにとって大きなメリットとなる。
そのコンパクトなボディの中に、食事・就寝・トイレ・電源といった生活機能を完備していることが、この車の本質的な価値だ。ZEROという名前が示すように、何もない場所からでも“暮らし”を生み出せる力を秘めた一台といえる。
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