トヨタ プリウス(3代目)・プリウスの名を不動のものとしたベストセラーハイブリッド【国産車カタログ】

●文:月刊自家用車編集部(ハラ)

【プロフィール】燃費だけが自慢にあらず、実用車としての基本性能も大きく向上

トヨタ
プリウス(3代目)
発売日:2009年5月
価格:205万〜327万円(2009年5月当時)


プリウスは、初代、2代目で着実な進化を遂げ、この2世代で世界40以上の国・地域で累計販売台数が125万台を突破するなど、一定以上の成果を上げていたが、その偉業を霞ませてしまうほどのビックセールスを記録したのが、2009年に登場した3代目プリウスだ。

“圧倒的な環境性能”と“走る楽しさ”を両立させることを目的に開発された3代目は、全方位の性能が大きく進化しているが、その中で最大のトピックといえるのが、システム全体の90%以上を新開発して送り出されたTHS Ⅱハイブリッドシステムを採用したことだ。

2代目のハイブリッドシステムは1.5Lエンジンをベースとしていたが、3代目はエンジン排気量を1.8Lに変更。さらにトランスアクスルの高効率化やモーター、インバーターなどのユニットの小型軽量化と高効率化を図ることでシステムそのものが一新されている。空力性能を意識したエアロボディ(CD値0.25)との相乗効果もあって、当時としては世界トップとなる38.0km/ℓ(JC08モード燃費としては32.6km/ℓ)という燃費性能を記録。さらに動力性能(99PS/14.5kg・m【エンジン】60kW/207Nm【モーター】)も向上しており、当時のリリースには2.4Lガソリン車並みの性能を持つと記されていた。

クルマとしての基本性能が大きく向上したことに加えて、未来感覚溢れるスタイリングやキャビンデザイン、さらにトヨタ車らしい優れた実用性を併せ持つことも美点の一つ。登場直後から爆発的な人気を獲得し、発売1か月の受注台数は約18万台(月販目標台数は1万台)を記録するなど、ハイブリッド新時代を象徴するモデルでもあった。

2015年12月に4代目プリウスにフルモデルチェンジされたが、モデル末期まで安定したセールスを記録。3代目は日本をはじめ北米を中心に世界約80の国や地域で販売され、その累計販売台数は350万台を超える(2015年7月末時点、初代、2代目、3代目の合算)など、ハイブリッド車の本格普及に大きな貢献を果たしている。

プリウスの象徴である「トライアングルシルエット」をさらに進化。世界トップレベルの空力性能も実現している。 [写真タップで拡大]

視認性と操作性を一段と向上させたコックピットレイアウトを採用。 [写真タップで拡大]

後席&荷室も十分な広さを確保。最新モデルほどのアレンジ性はないが実用性能も兼ね揃えている。 [写真タップで拡大]

【モデル変遷&グレード構成】2011年にマイナーチェンジを実施。派生モデルも続々と登場

2009年5月に発売開始。新開発の1.8Lハイブリッドや空力性と機能美を追求したエアロボディの採用に加えて、プリクラッシュセーフティシステム(ミリ波レーダー方式)やLEDライト、グラフィカルなインターフェイスメーターなど、一歩進んだ装備機能も与えられていた。

デビュー当初のグレードは6タイプを設定。L/S/Gの3つの基本グレードに、SとGには走りを意識した装備(17インチアルミやクルーズコントロール等の追加)が加わるツーリングセレクションを設定、さらに最上位のGにはツーリングセレクション・レザーパッケージという上級プレミアムを意識したグレードも投入されている。

2010年8月に3代目プリウス用「車両接近通報装置」をディーラーOPとして発売。

2011年5月にプリウスをベースに開発されたプリウスαを発売。5名乗車の2列シート車と7名乗車の3列シート車の2タイプが選択可能。プリウスαの発売1か月の受注台数は約5万2000台(月販目標台数は3000台)と好調なセールスを記録している。

2011年12月にマイナーチェンジを実施。内外装の変更に加えて、吸音材を追加することで静粛性を向上。さらにボディ剛性も強化されることで乗り心地と操縦安定性が高まっている。車両接近通報装置を全車標準装備となっている。新規グレードとしてG SPORTSも追加されている。

2012年1月に家庭用電源などから充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)のプリウスPHVを追加発売。高容量/高出力タイプの新型リチウムイオン電池を採用することで、満充電状態で26.4kmのEV走行換算距離(EV走行距離)が可能だった。

2012年10月にプリウス、プリウスPHVの一部改良を実施。プリウスはフロントコンソールトレイ内とラゲージスペースにAC100V電源を1500Wまで使用可能とするアクセサリーコンセントをOP設定。プリウスPHVはアクセサリーコンセントに加えて充電ポートに差し込んでドアや窓を閉じた状態でも車外への電源供給を可能とするヴィークルパワーコネクターもOP設定されている。

2013年9月にプリウスPHVの一部改良を実施。内外装の加飾変更と価格改定が行われている。

2014年11月にプリウスαのマイナーチェンジを実施。内外装の意匠変更に加えて、新たにレーンディパーチャーアラート(LDA)やオートマチックハイビーム(AHB)などを設定している。

2015年6月にプリウスPHVの一部改良を実施。グレード体系を見直したほか、一部グレードの値下げを実施している。

2015年12月に4代目プリウスが登場したことで3代目プリウスの販売が終了。

【試乗インプレ】2代目と比べると動力性能は大きく向上しているが、速度コントロール性や乗り心地に物足りなさも

3代目プリウスは先代同様に燃費優先のコンセプトを受け継いでいるが、1.8Lエンジンに変更されたことで動力性能も向上。燃費を気にせずアクセルを踏み込むと見た目からは想像できないほどパワフルな走りを披露してくれる。

ハイブリッドのTHS Ⅱは、現行モデルを含めて多くのトヨタ車に採用されている信頼性の高いシステムだが、3代目プリウスに搭載されているシステムは初期設計のものだったこともあり、加速時に少々のもたつきを感じてしまうのが難点。現行プリウスと比べると加速や減速に若干の違和感を感じてしまうユーザーもいるだろう。

サスの味付けは当時のトヨタ車としてはやや硬めなセッティング。2代目に比べると快適性は大きく向上しているが、リヤサスがダブルウィッシュボーン式となった現行プリウスと比べると、路面からの突き上げ感はやや強めに感じるシーンも多い。ただ2011年のマイナーチェンジでボディ剛性の向上が図られたことで、これ以降のモデルは乗り心地の改善も図られている。

キャビン居住性や積載性は見た目以上に良好。特に前席周辺の収納性は優れており、タウンユースから高速長距離まで使いやすい。燃費だけではなく、普段使いでストレスなく使える優れたパッケージングと機能が与えられていることも、3代目プリウスが大成功を納めた理由だ。

ハンドリングは穏やかな味付けで高速走行時の安定性も十分。マイナー後のモデルはロードノイズも明らかに減少している。 [写真タップで拡大]


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