
●文:月刊自家用車編集部(ハラ)
【プロフィール】N-BOX譲りの高性能を商用モデルにも投入
ホンダ
N-VAN
発売日:2018年7月
価格:126万7920〜179万9280円(2018年7月当時)
ホンダの商用軽ミニバンは、永らくアクティ(1999年デビュー)が販売されていたが、それに代わるモデルとして登場したのがN-VANだ。
積載性を重視したキャビン&荷室レイアウトを採用していることは変わらないが、N-BOX(2代目)譲りのプラットフォームやパワートレーンを採用したことで走行性能や乗り心地が大きく向上。従来の法人向けのフリート需要のみならず、一般ユーザーの獲得も視野にいれたキャラクターが与えられたことも特徴になる。
パワートレーンはNA(53PS/6.5kg・m)とターボ(64PS/10.6kg・m)を設定。共に新開発の高効率エンジンがベースで、ストップ&ゴーが多い商用ユースを意識して低中速域のトルク特性を強める制御が加えられている。またトランスミッションはCVTに加えて、6速MTが選べることも特徴だ。
グレード構成は商用ユースをメインとした標準仕様(G/L)のほか、利便装備をN-BOX相当まで引き上げた“+STYLE FUN”と、専用エクステリアパーツでドレスアップ的な装いも加えた“+STYLE COOL”を設定。4ナンバーの商用モデルながら、一般ユーザーにとっても魅力あるシリーズも用意している。
商用車ゆえに後席シートは簡易的な造り。座り心地も含めて我慢を強いられる場面も多いだろう。助手席側ドアはピラーレス仕様となり、ドア開放時はクラストップ級の開口部を確保。ホンダ独自のセンタータンクレイアウトがもたらす低床構造もあって、荷物の積載性は極めて優秀だ。
【試乗インプレ】硬さは感じるものの、商用車離れした走りは魅力大
現行N-BOXと同世代のプラットフォーム&メカニズムを採用したこともあって、走りの総合力が大幅に向上。安全運転支援機能のホンダセンシングの充実もあって、商用モデルとは思えぬほどの実力を体感させてくれる。
購入時に比較されることが多いN-BOXと比べると、大きな違いを感じるのは乗り心地と高速走行時の余力感。重い荷物を搭載することを前提に煮詰められらたサスチューンもあって、N-VANはやや硬めに感じてしまう。一昔前の商用モデルでありがちな路面からの突き上げ感は上手に抑制されているが、軽自動車トップクラスの足まわりを持つN-BOXと比べると、洗練さに欠ける印象だ。
パワートレーンも、NA車もターボ車も荷物を積載した場合の重量増を意識しているため、CVTの制御はローギヤ仕様。発進時の出足は良好だが、高速走行時はどうしても高回転域を多用する傾向が強まる。アクセル操作の反応や余力感も穏やかなもので、高速走行の適性はN-BOXの方が上に感じる。
アクティと比べると走りの質感は大きく向上。アシの硬さを感じるシーンもあるが幅広い状況で安定した走りを披露してくれる。高速走行が多いユーザーならばパワースペックにゆとりがあるターボ車を選びたい。
標準仕様車のベーシックグレードになるG(CVT)にもホンダセンシングが標準装着されるなど、トップレベルの安全&運転支援機能を備えているのは大きな魅力だが、ホンダが展開する「Nシリーズ」は走り自慢のモデルが揃っている。走りの期待値が高い他のNシリーズと比べてしまうと、どうしても走りは平凡に感じてしまうのは、N-VANならではの悩みだろう。
なお、N-VAN最大の武器になるキャビン&荷室の積載性や収納力は、N-BOXに比べるとリヤ開口部が広くとられる上に、シート格納のアレンジ性にも優れる。積みたい荷物に応じてフラット床面をアレンジできることはN-BOXにない強みだ。趣味の道具や荷物を積んでレジャーで遊びたいというユーザーにとっては、この価格帯で狙えるモデルの中では飛び抜けた魅力を持つモデルといえよう。
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