
7月6日に横浜のマツダR&Dにおいて「RE Club Japan」の初めてのイベント「RE Club Japan Meeting Vol.0」が開催された。このイベントには元マツダの貴島孝雄氏をはじめ、現役のマツダの人間や全国のロータリー・エンジン車のオーナーなど、約150名が参加。13時に始まったイベントは、夕方17時近くまで続き、大きな熱気に包まれたものであった。
●文/写真:鈴木ケンイチ
消えゆくロータリー車を救え!部品供給と未来への挑戦
このイベントで注目となるのは、「RE Club Japan」の狙いだ。過去、日本だけでなく世界中に、ロータリー・エンジン車のオーナーのためのクラブは数多く生まれている。ロータリー車を最も数多く世に送り出したマツダのある日本は、世界有数のクラブが存在したと言ってもいだろう。
しかし、今回のイベントの主催者である「RE Club Japan」の目的は、数多あるこれまでのクラブとは一線を画すと言っていい。ロータリー車を愛し、オーナー同士が交流するという点は同じではあるのものの、最大の狙いが「安心して、長く乗り続けること」であり、そのためにメーカー側である「マツダも参加」しているという2点が、これまでとは異なっているのだ。
クラブの発起人の一人である佐伯亜希英さんは「RX-7(FD型)と20年一緒に走ってきました。壊れることもありましたが、このままずっと乗っていこうと思っていたのですが、最近、乗り続けるためにはどうしたらいいんだろうと思うことが増えました」と、クラブ発足のきっかけを説明する。
RE CLUB Japanの発起人となる4名。右から、水落正典さん、佐伯亜希英さん、島田学さん、小林和久さん。
マツダが「RX-7(FD型)」の生産を終了したのは、すでに23年も前の2002年のこと。そして、「RX-8」でさえ13年も前の2012年に生産が終了している。時間の経過と共に、部品供給の不安が大きくなるのは当然のことだ。そこで、ユーザーが集まることで、自動車メーカーであるマツダとも話をしやすくなるはずだろうというのが、今回のクラブ結成の発端になったというのだ。
サポート体制を確立することで、ロータリーはまだ乗れる
また、「部品がどうなるとかが、ネットの噂ではなく真実のところの話を、相互に行って、共に解決策を考えてゆく場としたい」と、やはり発起人の一人である島田学さんは説明する。「マツダさんと話ができれば、逆にマツダさんの中で何を苦労されているのか、難しくなっている理由が何かなど、正しい事情を知ることで、一緒に考えることもできるかな」とも佐伯さんは言う。
もちろんオーナー同士が交流することで、さらなるロータリー・エンジン車の楽しみを見出すことも目的のひとつであるという。
具体的に、この日のイベントでは、元マツダの貴島氏による「マツダスポーツカー開発秘話(「RX-7」SA22C、FC3S、FD3S)」をはじめ、「MX-30」の現役主査である岡留光代さんのロータリーへの想い、ロータリー・エンジン開発担当者である日高弘順氏のロータリー・エンジンの歴史の説明、パワートレイン開発本部本部長である松江浩太氏による未来のロータリーへの期待、アフターセルスビジネス推進部の西岡勝則氏により「RE車のパーツ供給/レストア構想」などのトークセッションが行われた。
イベントでは元マツダの貴島孝雄さんが、歴代RX-7の開発秘話を披露してくれた。
特に最後の西岡氏によるトークセッションは、リアルな部品供給の話が中心であり、注目度が高かった。ちなみに、現在(2025年4月)でも日本市場での「RX-7」の残存台数は、2万台(FC型約7500台、FD型約1万4000台)を超えており、その数はほとんど減っていない。そのため「ロードスター(NA型)」と同様にレストア事業を検討しているものの、現状では重要な部品のいくつかがすでに廃版になっているため、その実現は非常に困難であるという。現実的には、現在ある部品の継続生産の維持と復刻に注力しているそうだ。
現在のマツダ「MX-30」の主査を務める岡留光代さんもロータリーにかける思いを語ってくれた。
ロータリー車の部品供給&レストア構想も明らかに
さらに将来に向けては、リペア技術の習得、中古部品の活用、純正/社外部品メーカー主体の製造/販売などが重要になっているという。また、やむをえず純正部品が廃止となる際には、マツダの「CLASSIC MAZDA」のウェブサイトに、最終調達となる部品の案内を実施するようになったという。知らない間に部品が廃止になったということを防ぐための措置だ。ユーザーが定期的にサイトをチェックすることで、必要な部品をストックすることが可能となるという試みだ。
今回のクラブ結成の最初のイベントには、一般のユーザーだけでなく、全国各地のロータロー・エンジン車のスペシャルショップも数多く参加していた。また、マツダ初のロータリー車「マツダ・コスモスポーツ」のオーナーズクラブのメンバーも顔を見せていた。それだけロータリー・エンジン車に関わる人間にとっては、注目度の高いイベントだったのだろう。
今後の「RE CLUB Japan」の活動は、メンバー募集ではなく、定期的なイベントの開催が中心になるとのこと。気になるロータリー・エンジン車のオーナーは、公式サイト(https://re-club.jp/)をチェックして欲しい。
広島のマツダからもロータリーに関わる面々が駆け付けた。
写真ギャラリー
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(マツダ)
オート三輪メーカーの多くが街工場レベルだったが、高い技術力をもってダイハツはトップブランドとなった 日本の街角でエンジン付きの乗り物が見られるようになったのは、大正時代のこと。自転車に海外から輸入した[…]
「マツダ=ディーゼル」の終焉? 主力CX-5が舵を切った理由 日本のSUV市場でマツダの存在感を確固たるものにした功労者が、2.2Lの直4を中心としたディーゼルターボであったことは疑いようもない。 圧[…]
時代の要請とコストの壁。なぜ「クリーンディーゼル廃止」なのか マツダのCセグメントモデル「マツダ3」は、伸びやかでスポーティな「ファストバック(ハッチバック)」と、上質でエレガントな「セダン」という2[…]
バブル期が生んだ”ABCトリオ”。その中で最も異彩を放った存在 オートザム・AZ-1が発売されたのは1992年10月。日本がバブル景気の余韻を残していた時代であり、自動車メーカー各社は利益を惜しみなく[…]
カペラとファミリアを繋ぐ、ロータリー専用の本格派スポーツ 1971年9月、マツダはボトムラインを担う「プレスト・ロータリー」と、ミドルクラスの「カペラ」の間を埋める戦略モデルとして、ロータリーエンジン[…]
最新の関連記事(ニュース)
子どもにとって車は「遊び場」 車内熱中症というと、「保護者が子どもを車内へ残した事故」を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、海外の調査では、車内熱中症で亡くなった5歳未満の子どもの27%が、自[…]
子どもに教えておきたい「4つの行動」 0歳の子どもを助手席へ乗せたあと、保護者が運転席へ回り込もうとした瞬間にドアがロックされてしまった。鍵は車内のバッグの中。救助まで約50分を要し、子どもは軽度の熱[…]
奈良県内6店舗目となる、新規店がオープン! オートバックスと言えば、国内にグループ店舗数を合計1,073箇所に展開する、カー用品の大型チェーン店だ。昨今は、ECサイトでカー用品を購入するユーザーも多い[…]
140年の技術革新を現代の技術で再解釈した新世代モデル 2013年に美しい4ドアクーペとして登場したCLA。2019年の2代目では対話型インフォテインメント「MBUX」がいち早く投入されるなど、常に先[…]
熊本県内71か所のEV充電器を無料開放 今回の取り組みでは、熊本県内に設置されているTerra Chargeの対象EV充電器71か所が無料開放される。 利用期間は2026年7月29日から9月30日まで[…]
人気記事ランキング(全体)
夏場の快適性を高めるアイドリングストップキャンセラー 夏のドライブで気になるのが、車内温度の上昇である。特に炎天下に駐車した車内は短時間で高温になり、乗り込んだ直後は強力なエアコンによる冷却が欠かせな[…]
1980年代後半、激化した軽ターボ車によるホットハッチ競争 初代の「アルトワークス」が誕生したのは1987年です。 この時期の日本の経済はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いで、バブル景気の急坂をガンガン登ってい[…]
従来の“風を送るシート”とは何が違う? 一般的な車用シートクーラーには、シート内部のファンで風を送り出す「空冷式」の製品が多い。手軽に導入できる一方で、使用環境によっては十分な冷却感を得にくい場合もあ[…]
真夏の強い日差しでもこれがあれば安心! 夏の駐車で気になるのが、乗り込んだ瞬間の車内の暑さ。炎天下ではハンドルやダッシュボードが熱を持ち、エアコンが効き始めるまでしばらく待たなければならない。 もはや[…]
車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推し進めている「RVパーク」とは「より安全・安心・快適なくるま旅」をキャンピングカーなどで自動車旅行を楽しんでいるユーザー[…]
最新の投稿記事(全体)
クロスは使い捨て、いくらあっても困らない! 洗車をしているといつも感じるのが「クロスはいくらあっても邪魔にならない」ということ。ボディの拭き上げ用、ホイール用、ドアの内側用などなど……。用途ごとに使い[…]
子どもにとって車は「遊び場」 車内熱中症というと、「保護者が子どもを車内へ残した事故」を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、海外の調査では、車内熱中症で亡くなった5歳未満の子どもの27%が、自[…]
水没した車から脱出できない? 知っておきたい車内閉じ込めの危険 大雨による道路冠水は、短時間で状況が変化します。少しの水たまりだと思って進入した場所が、実際には深く冠水していたというケースもあります。[…]
子どもに教えておきたい「4つの行動」 0歳の子どもを助手席へ乗せたあと、保護者が運転席へ回り込もうとした瞬間にドアがロックされてしまった。鍵は車内のバッグの中。救助まで約50分を要し、子どもは軽度の熱[…]
1位「後ろにつかれたら素直に道を譲れ…」軽なのに普通車を追い回した!? 伝説の“小さな怪物”「アルトワークス」が生まれた理由 今回もっとも読まれたのは、スズキの伝説的な軽スポーツモデル「アルトワークス[…]
- 1
- 2































