クルマにはさまざまなシールが貼られています。愛車をカッコよくキメたい人にとっては、煩わしいと感じることもあるかもしれないこれらのステッカーですが、剥がしてしまっても問題ないのでしょうか。
●文:月刊自家用車編集部
車に貼られてるあのシールって剥がしていい?ダメ?
そもそもクルマに貼られているシールは、法的に貼付が義務付けられている「標章」とそれ以外に区別されます。剥がして良いかを判断するとともに、それぞれのシールが示す意味/役割を理解しておくと良いでしょう。
まずクルマのフロントガラス上部に貼られているのは「車検証シール」で、正式名称を「検査標章」といいます。その名の通り”標章”で貼付が義務付けられているため、剥がしてはいけません。
車検証シールはその車両が車検を受けたことを示すために貼られており、車検の有効期間が記載されています。
また普通自動車/軽自動車といった車両の種類のほか、登録年も表示されています。つまり、このステッカーを見れば車両の基本情報を把握することができるというわけです。
もし車検証シールが剥がれてしまった場合は、車検証と共に車検場で新しい車検ステッカーを取得する手続きをおこないましょう。あわせて警察署に届け出ることも大切です。
車検証シールを貼らないと道路運送車両法第109条の9項によって、50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
そのため、万が一の際に車検が切れていないことを証明できるように、普段から車検証を携帯しておくと安心です。
ちなみに、無車検運行防止対策の一環として、2023年7月から車検証シールの貼付位置が変更されています。国土交通省が公開する資料によると、従来の「前方かつ運転者席から見やすい位置」から「運転者席側上部で、車両中心から可能な限り遠い位置」へ変更されました。
現在すでに貼り付けられている車検証シールは、2023年7月3日以降新たに発行するものから新しい位置に貼り付けされるようです。
そして「車庫証明シール」も、剥がしてはいけないシールに区分されています。
車庫証明シールは正式名称を「保管場所標章」といい、車庫証明書の交付と同時に発行されます。クルマが駐車スペースを確保していることを証明するもので、基本的に後面ガラスに貼ることが義務付けられています。
剥がれた場合は前述の車検証シールと同様に、警察署で再発行の手続きをおこないましょう。ただし、車庫証明自体が不要な地域にお住まいの方は、貼り付ける必要はありません。
基本的に前述の2種類のシールのみが貼付を義務付けられており、そのほかのシールは剥がしてしまっても問題ありません。
例えば、定期点検整備を実施した際にフロントガラスに貼付される「定期点検済みステッカー」。これは定期点検整備を確実に実施したことを証明するもので、表面には次回の定期点検整備の実施時期が、裏面には定期点検整備を実施した整備事業場名などが記載されています。
しかし前述のように貼付義務はないため、整備後に剥がしてしまっても違反にあたることはありません。
また、認証整備工場/指定整備工場で12ヶ月点検を受けた際に配布される「定期点検証票」、通称点検整備済みステッカーも、剥がしてしまって問題ないシールにあたります。
剥がしていいシールの例としては、そのほかにも「低排出ガス車シール」が挙げられます。これは、国土交通省の低排出車認定制度に認定/2010年新燃費基準を達成したクルマに貼ることが認められているステッカーです。
特殊耐候インキ/特殊ラミネート素材を併用することによって、長期間直射日光にさらされても退色しにくいのが特徴です。
このように、貼付が義務付けられている「標章」以外のシールは剥がしてしまっても違反にあたりません。ただ、標章のひとつである車検証シールが剥がれてしまったまま走行すると、非常に重い罰則が課せられる場合があるので、剥がれたらすぐに再発行手続きをおこなって貼り直しましょう。