
これからの梅雨シーズンは雨の日が続き、道路に水たまりができやすくなります。そんなときにとくに注意したいのが「泥はね運転」。泥はね運転はただの迷惑行為ではなく、安全面でも大きな問題を引き起こす可能性があるとのことですが、いったいどのような点が問題なのでしょうか?
●文:月刊自家用車編集部(ピーコックブルー)
泥はね運転、下手すると“交通違反”になることを知ってますか?
泥はね運転とは、車両が道路上の水たまりを通過した際に、大量の水や泥をはね上げる運転のことを指します。
雨天時/積雪の融解後などに多く見られる光景なので、降水量が増えるシーズンではとくに注意しなくてはいけません。
泥はね運転は、他者に不快な思いをさせるだけでなく、安全面でもいくつかのリスクを伴うとのこと。
たとえば泥や水がかかることで歩行者が視界を奪われ、一時的に目を閉じるなどして転倒する危険があります。
また、自転車やバイクの運転者に泥や水がかかるとハンドル操作が不安定になり、事故を引き起こす可能性も考えられます。
さらに泥がクルマのフロントガラスにかかると、一時的に視界が遮られ、追突事故などの原因となる可能性もゼロではありません。
なお道路交通法第71条1号には、「ぬかるみまたは水たまりを通行するときは、泥よけ器を付け、または徐行する等して、泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること」と明確に規定されています。
もしも泥はねで歩行者に迷惑をかけてしまった場合、違反点数はありませんが、大型車7,000円/普通自動車&2輪車6,000円/小型特殊自動車&原動機付自転車5,000円の反則金が科せられます。
泥はね運転を防ぐためには、道路状況をよく確認し、水たまりがある場所ではスピードを控えることが大切と言えるでしょう。
泥はね運転は違反点数こそつかないものの、れっきとした違反行為。水たまり走行時はスピードを落とすなどして対応したい
「水たまりはゆっくり走る」これに勝る対処法はなし
ちなみにJAFが行ったユーザーテストによると、水たまりを通過する際の車両の速度によって、泥はねの程度が大きく異なることが確認されました。
まず時速40kmで水たまりを通過した場合、歩行者(身長約150cm)の肩の高さまで水しぶきが上がったとのことです。
車両の側方へは約2mまで水がはね、歩行者の衣類が濡れたなど、明らかに歩行が妨げられる結果となりました。
また時速20kmでの通過では、時速40kmに比べて水はねの量は減少したものの、依然として歩行者の足元に水がかかったそうです。
この結果から、速度を半分に落として走行したとしても完全に泥はねを防ぐことはできないことがわかります。
なお、時速10kmで水たまりを通過した場合はほとんど水はねが歩道に達することはなかったという結果になったといいます。
これらのデータは、歩行者への影響を最小限に抑えるために、速度を大幅に落とすことが有効であることを示しています。
また、速度を抑えるだけでなく、できるだけ水たまりを避ける運転を心がけることで、泥はね運転による被害を防止できるでしょう。
タイヤの溝をチェック! 梅雨の季節はとくに重要
泥はね運転意外にも、雨天時はさまざまな交通事故のリスクが高まります。
中でも注意が必要なのは、スリップ事故と視界不良による事故。
雨天時は道路表面が滑りやすくなり、タイヤのグリップ力が低下するため、ブレーキをかけた際や急なハンドル操作を行う場合に、車両が制御不能になることがあります。
とくに高速道路やカーブの多い山間部などでは、スリップ事故が多発する傾向があるので、スピードを控えめにすることが重要なポイントです。
雨天時は視界が悪く事故の可能性が上がるため、いつも以上に慎重に走行することを心がけたい
また定期的にタイヤの溝をチェックし、摩耗が進んでいたら交換するのも押さえておきたいポイントのひとつ。
さらに雨が降るとフロントガラスに水滴が付着し、視界が悪くなります。視界不良は歩行者やほかの車両との衝突リスクを高めるため、雨天時の運転には細心の注意を払いましょう。
また、フロントガラスに撥水コーティングを施し、水滴の付着を防止するのも効果的です。
このように、雨天時には泥はね運転/スリップ/視界不良による事故など、さまざまな危険が存在するため、ふだんよりもクルマのスピードを落とし、路面状況や歩行者/自転車などに注意しながら慎重に運転しましょう。
他者への配慮を忘れずに安全走行することが、快適な交通環境を築くための第一歩といえます。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(クルマ雑学)
高齢運転者標識:もみじマークから四葉のクローバーにリニューアル済み まず最初のマークは、高齢者が自動車運転中であることを示すマーク「高齢運転者標識」。 「シルバーマーク/高齢者マーク」とも呼ばれており[…]
青色は危険?事故率の高いクルマの色とは 自動車のボディカラーには、見た目の印象だけでなく、安全性に関わる重要な側面があります。交通事故の発生要因についての研究は多岐にわたりますが、自動車の事故率とボデ[…]
そもそも、なぜ乗り物酔いは発生するのか? 人によって程度はあるが、揺れるクルマや船などで本を読んだり、スマートフォンを操作したりすると、吐き気などの症状に見舞われることがある。いわゆる乗り物酔いと呼ば[…]
車検ステッカーは、車検時に保安基準適合すると交付される 車検ステッカー(検査標章)は、新規検査・継続検査(車検)等において、保安基準に適合すると、自動車検査証とともに交付されます。これまではフロントウ[…]
電波法関連法令の改正で、一部のETC車載器が使えなくなる ETC(Electronic Toll Collection System)とは、有料道路料金回収自動システムのことで、2001年より全国で運[…]
人気記事ランキング(全体)
ショックレスリングとは? 一般の金属とは異なる原子の規則相と不規則相が存在する“特殊制振合金”を採用した金属製のリングで、シート取付ボルトやサスペンションアッパーマウントのボルトに挟み込むだけで、効果[…]
車の足元は暗くて見にくい、そんな時のコンパクトライト 車の座席の下は暗くて、何か物を落とすと見つけにくい。例えば夜、足元に小銭を落とした際などは、車内はとても暗くて、次の日の明るい時間にならまいと見つ[…]
ベース車両はトヨタのノア トヨタ・ノアの最大の魅力は、広い室内空間と高い実用性にある。3列シートを備え、7人または8人乗りの設定があり、多人数での移動に適している。スライドドアを採用しているため、狭い[…]
争奪戦必至のSTIコンプリート、ボディカラーは5色を設定 S210は、WRX S4をベースに、スバルが2008年から参戦しているニュルブルクリンク24時間レースで得られたノウハウが投入されている500[…]
大人数でもOK! ベース車両はトヨタのハイエース ベースの車両はトヨタのハイエース。大型の荷室は、快適な車中泊空間や収納スペース、キッチンやベッドなどのレイアウトに柔軟に対応可能。カスタムの幅が広く、[…]
最新の投稿記事(全体)
プロトタイプといいつつも、スガタカタチはほぼ完成形 このたびインテリアやメカニズムが公開された次期プレリュードは、“プロトタイプ”こそ取れないものの、そのスガタカタチはどうみても製品仕様に限りなく近い[…]
パーキングメーターの時間を超過した…いったいどうなる? ゲート式駐車場/クイック式駐車場など、一口に駐車場といってもその形態は多種多様。都市部の大通りに設置されていることの多い「パーキングメーター」も[…]
ベース車両はトヨタのハイエース 圧倒的な耐久性と広い荷室を備えた日本を代表する車種の1つ、トヨタ・ハイエース。ビジネスユースからアウトドア、さらにはキャンピングカーのベース車両としても高い人気を誇る。[…]
軽自動車でも『車中泊』は『快適』にできます。ベース車両はスズキのエブリイ。 エブリイの最大の強みは、その広い荷室空間にある。軽自動車でありながら広い荷室空間は、後部座席を畳めば大人が横になれるほどのス[…]
見た目は普通でも中身はスペシャル、あえて別ネームで差別化 「トヨタ・1600GT」は、1967年に発売されたトヨタのスポーツクーペです。 もしこの段階で名称をWEBで検索してその画像を見たとしたら、「[…]
- 1
- 2