1990年代後半、欧州の自動車メーカーたちは乗用車をベースとした高級クロスオーバーSUVを次々とリリースするようになった。そのなかで、ランドクルーザーシリーズのライトデューティー版、つまり、より乗用車ライクなランドクルーザーとして1990年に登場したランドクルーザー プラドにおいても、求められる役割が変化しつつあった。
●文:月刊自家用車編集部(ピーコックブルー)
ランドクルーザー プラド(2002年〜)
その結果、初代および2代目ではクロカンらしいスクエアなエクステリアデザインが特徴だったランドクルーザー プラドは、3代目に進化するにあたってスポーティかつ高級感あふれるルックスへと生まれ変わった。
さらに、そうした変化は外見のみにとどまらなかった。「ニュートラディショナル4WD」をテーマにした3代目ランドクルーザー プラドでは、専用設計された高剛性のフレームや新開発のトルセンLSD、アクティブTRC、電子制御サスペンションなどが与えられたことで、ハンドリングと走行安定性がさらに向上した。
また、ホイールベースが延長されたことで特に後席の居住性が大きく改善し、さらには静粛性も高級セダンに匹敵するレベルとなった。
一方、新たに搭載されたさまざまな技術はオフロード性能の向上にも大いに貢献しており、ランドクルーザーらしい卓越した悪路走破性は健在だ。
3代目ランドクルーザー プラドには3ドアの5人乗り仕様/5ドアの8人乗り仕様が設定されており、それぞれ2.7リッターのV6ガソリン、3.4リッターのV6ガソリン、そして3リッターのディーゼルターボという3種類のエンジンが用意された。
トランスミッションは4ATと5MTが設定され、駆動方式はセンターデフ式のフルタイム4WDで、オプションでリアデフロックを備えることもできた。
その後2007年には、3.4リッターのV6ガソリンエンジンが4リッターのV6ガソリンエンジンへと置き換えられ、それにともないトランスミッションも4ATから5ATとなった。また、同じタイミングでディーゼルターボエンジンが廃止された。
そして2009年8月に日本国内での販売を終了し、翌9月に4代目へとバトンタッチした。
高級クロスオーバーSUVを志向するようになった3代目ランドクルーザー プラドは、その後のランドクルーザー プラドの方向性を決定付けるという意味で大きな役割を果たしたと言える。
ドラスティックな変更がおこなわれた背景には、ランドクルーザー プラドによって欧州市場での存在感を増したいというトヨタの思惑があった。
そのため、3代目ランドクルーザー プラドはトヨタ・モーター・ヨーロッパのデザイン拠点であるED2主導でデザインが進められ、パワートレインや機能装備についても欧州のユーザーの好みが色濃く反映された。
ちなみに、3代目ランドクルーザー プラドは欧州のほとんどの国で「ランドクルーザー」の名で販売され、ランドクルーザーシリーズの中核を成すモデルという位置づけであった。