
パンクなどの応急処置の際に利用する車載ジャッキ。飽くまでも緊急用で、メンテナンスでの使用はNG。この、便利ではあるが、使い方を間違えると事故の原因にもなるツールの、正しい使い方と、絶対にやってはいけないNGを解説しよう。
●文:月刊自家用車編集部
車載ジャッキの使い方の基本
ジャッキというと、車載ジャッキを思い浮かべるビギナーは多いハズ。しかし、車載ジャッキはあくまでパンクのときなどのための応急用であり基本的にメンテナンスでは使用してはならない。これは必ず厳守! 車載ジャッキを使用する際に、まず注意したいのがジャッキアップポイント。
【ジャッキアップのポイント 解説イラスト】
車載ジャッキを使用する場合のポイントをイラストで示した。
クルマには必ず車載ジャッキ用のポイントが決められており、それ以外の場所にかけると、シャシーが曲がるなどのトラブルを招く恐れがある。また、ジャッキのプレート部分の形状は車種に合わせて微妙に違っているので、そのクルマ用のものを使うのが基本だ。
ジャッキアップポイントの目印
国産の乗用車ではサイドシル部分(上のイラストのA)が多く、写真のような切り欠きやプレスによる目印がある場合が多い。本格的なクロカン系4WDや1BOXなどはフレーム部分(上のイラストのB)を指定してくるケースが多い。リジッドアクスル車はCの場合もある。不明な場合は、必ず取扱説明書などで確認しよう。
車載ジャッキ使用時の手順
車載ジャッキをあてがうポイントがわかったら、次は実際にジャッキアップしていく。その手順を解説しよう。
最初は手で回してジャッキアップポイントに合わせる
まずは、車載ジャッキを手で回して、プレート部をポイントにキッチリ合わせる。平らな場所でもパーキングブレーキをかけ、ジャッキを設定した部分の対角線側のタイヤに車止めをすればさらにGOOD!
最初は手で回してポイントに合わせる。
車載ジャッキのハンドルを使ってジャッキアップ
次に、ハンドルを使ってグイグイと持ち上げる。このとき、ジャッキが傾いたりプレート部分がずれたりした場合は、潔くやり直した方が良いだろう。
付属のハンドルを設定してぐるぐると回すとクルマが持ち上がる。
外したタイヤは車体の下に置いて万が一に備える
タイヤを外したら、そのタイヤを保険として車体の下に突っ込んでおく。これで、万が一ジャッキにトラブルがあっても、タイヤが車両をささえてくれる。あくまでも、万が一の保険として考えよう。
外したタイヤは保険として車の下に置いておく。
絶対にダメ!車載ジャッキのNG使用例
車載ジャッキを使用する上で、安全性の面から絶対にやっていはいけない使い方がある。特に危険な4つを挙げたので、参考にしてほしい。
NG使用例1 土や砂利で使う
土や砂利など不安定な場所でのジャッキアップは厳禁。適当な場所がなくやむを得ない場合は、下に丈夫な板を敷くなどして対処する。
車載ジャッキを不安定な場所で使用するのは厳禁!
NG使用例2 適当なところにかける
適当なところにジャッキをかけるとシャシーが変形してしまうことがある。必ず取扱説明書を読んだり、ディーラーで確認してから行うこと。
車載ジャッキは必ず所定のポイントに設定しよう。
NG使用例3 坂道で使う
坂道でのジャッキアップはが危険なのは説明するまでもない。こちらもどうしてもやむを得ないときは、他の全てのタイヤに車止めをする。
坂道でのジャッキアップは原則NG!
NG使用例4 メンテナンスで使う
車載ジャッキは応急用であり、メンテナンスの道具ではない。「ちょっとだけだからいいや」というのは絶対ダメ。必ず厳守するように。
メンテナンスでジャッキアップする場合は専用のものを使用する必要がある。
いつ起こるかわからないタイヤのパンク。万が一のトラブルに備えて車載ジャッキを搭載している車も多いはず。普段慣れない作業で危険な目に遭わないよう、本記事を参考にして、正しい使い方をマスターしてほしい。
クルマのメンテナンステクニックも満載の臨時増刊号
本記事は、オートメカニック特別編集の臨時増刊号『クルマのDIYガイド 工具&道具の正しい使い方』に掲載されているものから抜粋・加筆している。同書には、役立つDIYテクニックが満載なので、興味のある方は是非、手にとって見てほしい。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
固着したネジが動かない…作業を止める小さな“壁” どれほど簡単な整備手順でも、一本のネジが固着しているだけで作業は急に難しくなる。サビが食い込み、雨ざらしのボルトが内部で膨張し、樹脂パーツとの隙間に汚[…]
わさびを主成分とした抗菌剤で、エアコン内部のニオイを抑制 エアコンフィルターに装着して除菌消臭効果を格段に向上させるという製品が、自動車部品のグローバルメーカーValeoのわさびデェールだ。この製品は[…]
冬のエアコンは“いきなり全開”が一番ムダになる理由 冬の朝は車内が冷え切り、シートもハンドルも硬く感じる。そんな状況で暖房を思い切り上げてしまうドライバーは少なくない。しかし、暖房はエンジンの排熱を利[…]
なぜLEDライトは雪を溶かせないのか? LEDヘッドライトが普及の中心に座り始めて久しい。高い光量と応答性、寿命の長さなど、多くのメリットがあることは自動車好きなら説明不要だろう。しかし冬の寒さが深ま[…]
予想外のトラブルに備える、小さな“安心材料” クルマに乗っていると、どれだけ用心していても避けられない出来事がある。釘を踏み抜くパンクや、走行中の異物接触、さらには路肩での急な停車など、経験した人なら[…]
最新の投稿記事(全体)
目玉の「ミゼットX 大阪Ver.」には、ダイハツの地元を象徴する大阪城マークを採用 出展テーマは“わたしにダイハツメイ。小さいからこそできること。小さいことからひとつずつ。”とし、「わたしにぴったり」[…]
BEVでも「走りの楽しさ」は深化できる このモデルはマスタードライバーを務めるモリゾウ(豊田章男会長)の「クルマ屋が残していくべき技術・技能を次の世代に受け継がなければならない」という強い想いのもと、[…]
モータースポーツを起点とした「もっといいクルマづくり」を結集 今回、TGRが発表した2台のハイパースポーツは、TGRが目指している「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を深化させ、GR[…]
トヨタのレジェンドモデルが高速走行を繰り広げる! 今回発表された「GR GT」は単なる新しいスポーツカーではない。TOYOTA 2000GT、Lexus LFAと続いてきた系譜を継ぐ、トヨタの思いが込[…]
固着したネジが動かない…作業を止める小さな“壁” どれほど簡単な整備手順でも、一本のネジが固着しているだけで作業は急に難しくなる。サビが食い込み、雨ざらしのボルトが内部で膨張し、樹脂パーツとの隙間に汚[…]






















