
ジムニーは、1970年の誕生以来「コンパクトで本格的な四輪駆動車」として世界中から高い評価を集めてきた。累計販売台数は350万台を超え、その存在感は今なお揺るがない。そしていま、新たに登場した「ジムニー ノマド」は、従来のオフローダーとしての信頼性に加え、日常使いにも適した5ドアボディと快適性を兼ね備えたモデルである。
●文:月刊自家用車編集部
ロングホイールベース化された5ドアジムニー
ジムニー ノマドの最大の特徴は、ホイールベースを従来より340mm延長し、5ドア化した点にある。全長3,890mm、ホイールベース2,590mmという寸法は、居住性と走破性のバランスを追求した結果だ。後席のヒップポイントを50mm後方に下げ、左右の乗員間隔を90mm広げたことにより、大人4人が快適に乗車できる空間を確保している。
さらにリアホイールハウスの位置を工夫することで、着座姿勢の自然さや乗降性も向上。後席へのアクセスもスムーズで、ファミリーユースにも十分に対応する。
ジムニーらしさを継承したエクステリアと機能美
デザインは、ジムニーらしい立体的なフロントグリルと丸型ヘッドランプ、独立ターンランプを踏襲しつつ、ワイドなオーバーフェンダーやスクエアボディを採用。210mmの最低地上高に加え、アプローチアングルやデパーチャーアングルといった対障害性能も妥協なく確保されている。
未塗装の樹脂製バンパーやフェンダー、サイドシルのプロテクター類は、石はねによるキズを軽減。雪がたまりにくい垂直なウィンドウ構造や、台形ホイールアーチなど、過酷な環境下でも安心して走行できる工夫が随所に見られる。
ボディカラーは2トーン仕様を含む全6色を展開し、アウトドア志向のデザイン性も抜かりない。
荷室とユーティリティの進化
ジムニー ノマドは、実用性にも注力している。ホイールベースの延長によりラゲッジスペースは広くなり、4名乗車時でも荷室長は590mm、容量は211Lを確保。リアシートは分割可倒式で、フルフラット化も可能。さらに右開きのバックドアに合わせて荷室左側にはアクセサリーソケットと照明を装備するなど、キャンプや旅行などにも最適な仕様となっている。
走行性能と本格4WDの伝統
心臓部には、1.5L直列4気筒のK15B型エンジンを搭載。コンパクトかつ軽量なこのユニットは、オフロードのみならずオンロードでも力強く滑らかな加速性能を発揮する。
駆動方式は、初代から変わらぬ伝統を受け継ぐパートタイム4WDを採用。トランスファーレバーで2WD⇔4WD⇔4WD低速が選択可能で、悪路では約2倍の駆動力を発揮するローギアモードも備える。
加えて、ラダーフレーム構造、3リンクリジッドアクスル式サスペンションという本格4WDの基本構造は健在。ねじり剛性を高めたフレーム設計により、タフな路面でも優れた設置性と対地クリアランスを発揮する。
安全性と安心感を高める装備群
駆動力を左右に自動配分するブレーキLSDトラクションコントロール、坂道発進時のヒルホールドコントロール、下り坂でのヒルディセントコントロールを全車に標準装備。とくにMTモデルにも対応するヒルホールドは、都市部でもありがたい装備だ。
アウトドア仕様の完成形──そして価格
ジムニー ノマドは、専用ルーフラックやオールテレーンタイヤ、タフなインテリア素材など、アウトドア志向の装備も標準化。価格は265万1000円〜275万円と、ジムニーシリーズの中では上位モデルに位置づけられる。
まとめ:ジムニーのDNAはそのままに、より生活へと寄り添う存在へ
ジムニー ノマドは、オフローダーとしての本質を崩すことなく、日常的な使い勝手と快適性を大きく向上させた一台だ。「ジムニーは好きだけど2ドアは不便」と感じていたユーザーや、「本格SUVを家族でも使いたい」と考える層にとって、まさに“待望の5ドアモデル”である。
このノマドが、ジムニーという名車に新たなユーザー層を呼び込み、さらなる進化の起点となることは間違いない。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(大人気商品)
自力ではほぼ無理? 拭き取りにくいフロントガラスの奥の方問題 車種によって異なるが、例えばプリウスのように、フロントガラスが極端に寝かされたデザインだと、奥の方まで手が入りにくく、洗車の際や窓が曇った[…]
コンパクトなサイズのディスプレイ。取り付けは超カンタン どうしても必要というワケではないが、なんとなく気になるグッズやアイテム、皆さんもあるのではないだろうか? 今回紹介するのは、自車の車速や方角など[…]
シートサイドのスペースを有効活用できるUSB付きポケット 車のシートサイドや、シートとコンソールにある隙間などはデッドスペースになっていることが多い。小銭などの小物を落としてしまうことも多く、一度落と[…]
「サクラチェッカー」Amazonのサクラ度を見抜くWebサービス 忙しさのあまり買い物に行けないユーザー御用達のAmazonは、凄まじい数の商品が並ぶ通販サイトだ。しかし、そこに潜む闇は浅いものではな[…]
アウトドアショップで発見「ポーチマイクロファイバーレンズクロス」は、車に積んでおきたい便利グッズ アウトドアショップで見つけた商品は「ポーチマイクロファイバーレンズクロス(チャムス)」というもの。一見[…]
人気記事ランキング(全体)
ベース車両はミツビシのデリカD:5 ベースとなる車両は、三菱(ミツビシ)のデリカD:5。悪路走破性に優れた4WDシステムを搭載しながら、乗り心地や室内の快適性も確保されていることで、ミニバンの中でも人[…]
釣り具の大型展示会「釣りフェス2025」で見かけた超レア車 さる2025年1月17〜29日、パシフィコ横浜で釣り具の大型展示会が開催された。このイベントは、毎年行われており、最新の釣り具の展示や人気の[…]
ベース車両はダイハツのアトレー ダイハツ・アトレーは、主に商用バンとして開発された経済的な車両だ。軽自動車の規格内でありながら、効率の良いスペース活用で広い室内空間を確保。荷物の運搬を前提に開発されて[…]
まるでワンルームマンション! 長旅が快適に楽しめる装備が充実 ハイエースベースのキャンパーで二人旅を推奨。この贅沢すぎるキャンピングカーを提案するのは、北海道帯広市でキャンピングカーの製造•販売などを[…]
F1参戦のホンダに対しトヨタが目指したのは「ル・マン」だった 高度経済成長に沸いていた1960年代の日本人にとって、あらゆるカテゴリーにおいて世界に肩を並べることは、悲願とも言えた。世界に負けないモノ[…]