
車内にスマホを置く。その行為ひとつ取っても、クルマ好きにとっては快適性と安全性を左右する重要なポイントだ。固定方法の選択肢は多いが、どれも「あと少しだけ使いやすければ…」と感じることが多い。そんな中で出会ったのが、ただ置くだけで機能するシンプルなスマホスタンドだ。レンタカーでも社用車でも、旅先でも一瞬で使える。面倒をゼロにしたこのアイテムは、正直“軽い気持ちで買ったら手放せなくなるタイプ”だった。
●文:月刊自家用車編集部
置くだけで成立するスマホスタンドという潔さ
スマートフォンをどう置くか。この小さなテーマのために、これまで何度カー用品売り場をうろついたか思い出せない。エアコン吹き出し口に固定するタイプ、ゲル吸盤で貼り付けるタイプ、マグネット式まで、選択肢は多いがどれも決定打に欠ける。角度が固定できなかったり、車種によって取り付け位置が限られたり、使うほどストレスを感じるものも多かった。
説明書が同封。
そこで試したのが、WELDEが展開する「置くだけスマホスタンド」だ。本体はシリコンゴム製で、縦約10cm、横約15cmほどの薄いプレート状。はっきり言って、最初は「これで本当にスマホが安定するのか?」と半信半疑だった。しかし触れた瞬間に考えが変わる。弾力のある素材は適度にしなり、表面の摩擦係数が高い。見た目以上に“置いた瞬間に止まる”感触があるのだ。
サイズは10cm x 15cmほど。
さらに裏面には5カ所の粘着パッドが仕込まれており、ダッシュボードにポンと置くだけでしっかり定着する。これは両面テープのような固着型ではなく、あくまで“貼り剥がし自由”の粘着仕様。ベタつきが少なく、何度でも再利用できる。車内に跡が残らないため、新車やレンタカーでも遠慮なく使えるのがありがたい。
装着面。
ラバーパーツでスマホ幅を自在に調整できる仕様
本体にセットするスマホホルダー部分は、小さなラバーパーツで構成されている。大きめの穴に差し込み、左右へスライドさせて固定する仕組みだ。3段階の幅調整が可能で、一般的なスマホはもちろん、小型タブレットまで対応する。
スマートフォンを支持するラバーパーツ。
この構造が非常に理にかなっている。クリップ式のようなバネ機構を使用していないため、部品が劣化して緩くなる心配が少ない。ゴムパーツそのものも厚めの素材で、長期間使用しても形が崩れにくい。
大きい穴に入れて、任意の場所にスライドさせて固定。
セット方法は明快で、説明書を開くまでもない。直感的に差し込み、好きな位置に手で動かすだけで完成する。カー用品にありがちな「まず固定アダプターをはめて、角度調整用リングを締めて…」といった手間が一切ない。出先でレンタカーに乗り換える時も、これなら1分以内に実戦投入できる。
完成した状態。
車内に設置した瞬間にわかる安定感
実際にダッシュボードへ置いてみると、まずその存在感の薄さに驚く。インテリアデザインを邪魔しない“無色透明な使い勝手”という印象だ。シリコン素材の柔軟性によって、緩やかにカーブしたダッシュボードでもしっかり密着する。SUVやミニバンのようにダッシュボードが大きい車種でも問題なくフィットした。
ダッシュボードの上に設置。
スマホを置いてみると、その瞬間に安定する。固定アームで挟み込むわけではないのに、完全にブレない。急カーブや路面の段差でテストしてみたが、スマホが跳ねたりズレたりする気配がない。ホールド力の源は、シリコン面の摩擦力と、スマホ背面を支えるラバーパーツの組み合わせだ。単純な構造だが、実際に使うと驚くほど理にかなっている。
スマホをイージーに取り付け可能。
そして何より、スマホの着脱が“ゼロ手順”なのがありがたい。置くだけ、取り上げるだけ。これ以上シンプルな操作は存在しない。日常のちょっとしたストレスが消えていく感覚がある。
角度と視認性がちょうど良い設計
運転中にナビアプリを見るためには、スマホの角度が重要だ。角度が浅いと反射で見づらく、立ちすぎると視界が狭くなる。WELDEのスタンドは、ラバーパーツによってスマホを軽く“立てかける”ような角度になる設計で、これが非常に見やすい。
スマホを取り付けた状態。
ダッシュボードに設置した状態でも、画面情報が自然と視線の延長線に入るため、目の移動が最小限で済む。安全性においてもプラスの効果があると言える。ドライバーだけでなく、助手席から動画や地図を見る際にも見やすい角度で、旅のシーン全体が快適になる。
車種を選ばない万能性と、他用途の広がり
このスタンドの魅力は、車種をほとんど選ばないことにある。一般的なスマホホルダーは吹き出し口の形状やパネルの形に左右され、車種によって取り付けできないケースが多い。しかし本製品は“ただ置くだけ”なので、小型車から大型SUV、軽バンまであらゆる車種に対応してしまう。
縦置きにも対応。
また、レンタカーやカーシェアでも使いやすい。装着痕が残らず、使い終わったらそのまま鞄に入れて持ち帰れる。旅行先でナビアプリを使う場面では、これが決定的に便利だ。
さらに、車以外の用途でも活躍する。デスク上のスマホスタンドとしても優秀で、角度的にも安定性でも市販スタンド以上と言える。動画視聴、SNS、オンライン会議など用途は広く、むしろ家庭用として複数買いしたくなるレベルだ。
素材の耐久性と夏場の信頼性も気になるポイント
シリコン製のアイテムで気になるのは、夏場の高温だ。直射日光の当たるダッシュボードは、車内の中でも最も過酷な環境になる。40〜50度を超えることも珍しくない。しかし、実際に数週間使った限りでは、シリコンの変形や粘着パッドの劣化はほぼ見られなかった。
もちろん長期的な検証が必要だが、ショートトリップや休日ドライブ用途なら問題なく耐える印象だ。素材自体が厚く柔らかいため、硬化して割れる気配も感じない。
結局こういう“超シンプル”が一番使える
カー用品は多機能化が進む一方で、ユーザーが本当に求めているのは「ストレスのない動作」だったりする。WELDEの置くだけスマホスタンドは、その本質をつかんだアイテムだ。派手さはないが、使って初めて価値が分かるタイプで、気づけばなくてはならない存在になる。
実際、複数買いしたくなる理由はよくわかる。自家用車にひとつ、社用車にひとつ、旅行用バッグにひとつ置いておきたくなる。シンプルで自由度が高く、車種を選ばず、スマホだけをしっかり支える。このミニマルな完成度こそ、多くのユーザーが求めていたものだと言える。
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