
F1マシンでも採用例が少ないフォージド(鍛造)カーボンという新技術がPRELUDE HRC Conceptのエアロパーツに使われている
●文/写真:松永和浩(月刊自家用車編集部)
カッコよりも素材技術に注目するべきPRELUDE HRC Concept
東京オートサロン2026のホンダブースに展示されていたPRELUDE HRC Concept。ホンダ久々のスタイリッシュなクーペに、レース活動で培った技術と知見を反映し高強度で軽量なカーボン製のエアロパーツなどで構成された「HRCパフォーマンスパーツ」を備えることで、よりスポーティな外観と優れた走行性を実現することを目的としてホンダ・レーシング(HRC)と、純正アクセサリーを開発するホンダアクセスが共同開発しています。
PRELUDE HRC Concept
しかしカーボンパーツと言われる部分をよく見ると、カーボンの特徴的なアイコンである網目状の繊維がありません。これはどういうことかというと、驚愕の新技術が導入されているために網目状の繊維が無いのです。
PRELUDE HRC Conceptの鍛造カーボンエアロ
これはフォージドカーボンという新しい素材技術で、フォージドとは鍛造という意味となります。カーボンパーツは通常、布状のカーボンシートを方に貼り込んで、特にドライカーボンではその方に貼り込んだ状態でオートクレーブという窯に入れて焼くことにより成形をします。
鍛造カーボンでは細かく刻んだカーボン繊維を型に入れ、高温高圧力で成形します。貼り込む作業が無いのでその分作業工程は短くなりますが、圧力をかけながら焼くということで窯の設備も大掛かりになります。繊維自体がドライカーボンよりもかなり短く、焼成後は表面が大理石の様なランダムな模様が現れます。
PRELUDE HRC Conceptの鍛造カーボンエアロ
ただし型に入れて高温高圧力で焼成するという方法ではあまり大きなものは作れず、ヘッドライトベゼルやカナード類程度が限界となります。
バンパースポイラーやサイドスカートなどの大型エアロパーツを鍛造カーボンで作るためにはまた違う技術が必要となってきます。それは眞空吸引によるバキュームフォームという手法を使い型にカーボン繊維を密着させることでより大型で複雑な形を焼成することが出来るようになります。
PRELUDE HRC Concept
使用される型も精密な金型となり、フロントバンパー下の複雑な形状をも作り出すことが出来、繊維の長い布状のカーボンシートに比べて造形の自由度が上がっていることにも注目されます。
こういったカーボン素材の新技術によって生み出された強靭で美しいエアロを纏ったPRELUDE HRC Conceptは市販化が待ち遠しい1台だと言えるでしょう。
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