「えっ 発売からもう38年なんだ…」見た目はナンパ・走りは本気! 美しいデザインとプロジェクターヘッドランプが印象的な[日産・S13型シルビア]│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

「えっ 発売からもう38年なんだ…」見た目はナンパ・走りは本気! 美しいデザインとプロジェクターヘッドランプが印象的な[日産・S13型シルビア]

「えっ 発売からもう38年なんだ…」見た目はナンパ・走りは本気! 美しいデザインとプロジェクターヘッドランプが印象的な[日産・S13型シルビア]

1980年代後半、日本の自動車メーカーからは、現在も語り継がれる魅力的なモデルが次々と登場した。そのなかでも、時代を象徴する1台といえるのが1988年にデビューした日産 シルビア(S13型)である。流麗なスタイルでデートカーとして人気を集める一方、FRならではの走りでも支持を獲得。異なる層を魅了した稀有なスペシャリティクーペだった。

●文:月刊自家用車編集部

デートカー全盛期に現れた、美しきスペシャリティクーペ

5代目となる日産 シルビア(S13型)が発売されたのは1988年5月。日本がバブル景気へと突き進み、若者のライフスタイルが華やかさを増していた時代である。

当時、クルマには単なる移動手段以上の役割が求められていた。休日のドライブや夜の街へ出かける際のパートナーであり、ファッションやライフスタイルを表現するアイテムでもあった。なかでも若者から熱い視線を集めたのが、スタイリングや雰囲気を重視した2ドアのスペシャリティカーである。

日産の、S13型シルビア 1.8 Q’sと1.8 K’s。

そのブームを語るうえで欠かせない存在がホンダ プレリュードだ。1982年に登場した2代目は、低く構えたボディと洗練されたスタイリング、先進的なメカニズムによって人気を獲得。1987年には3代目へモデルチェンジし、4WSを採用するなど、スペシャリティカーとしてさらに存在感を高めていた。

こうしたクルマは、やがて「デートカー」と呼ばれるようになる。運転する本人だけでなく、助手席に乗る相手からどう見えるかまでが商品性を左右する時代になっていたのだ。

そこへ登場したのがS13型シルビアである。

ロングノーズと低い車高、滑らかな曲面を組み合わせたボディは、スポーツカー然とした威圧感を前面に出すのではなく、スマートで都会的な印象に仕上げられていた。その美しい姿は当時の若者の心をつかみ、シルビアは瞬く間に人気モデルへと駆け上がっていった。

日産 S13型シルビア 1.8 Q’s

しかも、このクルマの魅力は「デートに使えるカッコいいクーペ」だけでは終わらなかった。FRレイアウトと優れた足まわり、そしてターボモデルの存在によって、スポーティな走りを楽しむユーザーからも支持を集めることになる。

華やかな時代に映えるスタイルと、走らせても楽しめる素性。その両方を持っていたことが、S13型シルビアを単なる流行車では終わらせなかった大きな理由である。

日産 シルビア 1.8 Q’s(1988年)

S13型ではK’s、Q’s、J’sというユニークなグレード名を採用。それぞれトランプの絵札であるキング、クイーン、ジャックに由来する。前期型のQ’sとJ’sには135psを発生する1.8L自然吸気のCA18DE型、最上級のK’sには175psのCA18DET型ターボを搭載した。

流麗なスタイルによってデートカーとして人気を集める一方、FRならではのハンドリングも高く評価された。後にはモータースポーツやドリフトを楽しむユーザーからも支持され、S13型は長く愛される存在となっていく。

日産 シルビア 1.8 K’s(1988年)

前期型のトップグレードとなるK’sには、インタークーラー付き1.8L直列4気筒DOHCターボのCA18DET型を搭載し、最高出力175psを発生。1991年1月のマイナーチェンジでは2.0LのSR20DET型へ変更され、最高出力は205psへ引き上げられた。

前期型K’sに搭載されたCA18DET型は、1809ccの直列4気筒DOHCターボエンジン。最高出力175ps/6400rpm、最大トルク23.0kgm/4000rpmを発生し、軽量なS13型に十分以上の動力性能を与えていた。

小径レンズを用いたプロジェクターヘッドランプもS13型の特徴的なアイテムのひとつ。低く薄いフロントマスクとの相性は抜群で、シャープで未来的な表情を作り出していた。

「ART FORCE SILVIA」を体現した完成度の高いデザイン

S13型シルビア最大の魅力として、まず挙げたいのがスタイリングである。

デビュー時に掲げられたキャッチコピーは「ART FORCE SILVIA」。その言葉が決して大げさに感じられないほど、S13型には従来の国産スペシャリティカーとは一線を画す造形が与えられていた。

目を引くのは、ボディ全体を包み込むように使われた滑らかな曲面である。鋭い直線や大げさな装飾に頼るのではなく、低いノーズからキャビン、そしてリヤへと続くラインを自然につなぐことで、シンプルでありながら存在感のあるシルエットを作り上げている。

とくにフロントまわりは印象的だ。薄く低く構えたノーズと横長の造形によって、派手さを抑えながらも精悍な表情を実現している。スポーツモデルらしい低さを感じさせながら、荒々しさを前面に出していないことも、デートカーとして広く受け入れられた理由のひとつだろう。

この考え方はインテリアにも貫かれていた。

インストルメントパネルからドアトリム、センターコンソールまでを柔らかな曲面でつなぎ、乗員を包み込むような空間を構成。外観だけが美しいのではなく、車内までひとつのデザインとしてまとめられていたところにS13型の完成度の高さがある。

エクステリア同様、室内にも滑らかな曲線を多用。インストルメントパネルからドアトリム、センターコンソールまでを連続性のある造形でまとめ、乗員を包み込むような空間を演出していた。上級グレードでは布を用いたトリムなどによって質感も高められている。

その評価は公的な賞にも表れている。S13型シルビアは1988年に通商産業省選定のグッドデザインを受賞。さらに1988-1989日本カー・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた。

発売当初のテレビCMで使用されたプロコル・ハルムの「青い影」も、S13型のイメージを強く印象づけた要素のひとつである。静かでどこか幻想的な楽曲と、流麗なシルビアのスタイリングとの組み合わせを記憶している人も少なくないだろう。

前期型では表皮一体発泡成形による特徴的なフロントシートを採用。縫い目の目立たない滑らかな表面が、S13型らしいモダンな室内を演出していた。後期型ではヘッドレストが独立したタイプへと変更されている。

機能や性能を数字で誇示するのではなく、まず「美しいクルマ」として人を振り向かせる。それこそが、「ART FORCE SILVIA」という言葉に込められたS13型の個性だったのである。

見た目は優雅、しかし中身は本格的なFRスポーツ

S13型シルビアが後世まで語り継がれる理由は、スタイリングの美しさだけではない。その下には、当時の日産が力を注いでいたシャシー技術が惜しみなく盛り込まれていた。

1980年代後半の日産は、1990年代に向けて技術力を大きく引き上げる取り組みを進めていた。その時期にはR32型スカイライン、Z32型フェアレディZ、初代プリメーラなど、現在も評価の高いモデルが相次いで登場している。

S13型シルビアも、その時代の日産を象徴する1台だった。

駆動方式には先代から引き続きFRを採用。フロントにストラット、リヤには新開発のマルチリンク式サスペンションを組み合わせた。このマルチリンク式リヤサスペンションは、のちのスカイラインなどにも展開されることになる重要な技術である。

さらに4輪操舵システムのHICAS-IIもオプションで設定されるなど、当時としては高度なシャシー技術が投入されていた。

デビュー時のエンジンは、いずれも1.8L直列4気筒DOHC。J’sとQ’sには自然吸気のCA18DE型、K’sにはインタークーラー付きターボのCA18DET型が搭載された。

なかでもK’sは最高出力175psを発生。車両重量は5速MT車で1120kgと比較的軽く、FRレイアウトとの組み合わせによって十分に刺激的な走りを楽しむことができた。

そして1991年1月には大幅なマイナーチェンジを実施。エンジン排気量を2.0Lへ拡大し、自然吸気車にはSR20DE型、K’sにはターボのSR20DET型を搭載した。K’sの最高出力は205psまで高められ、スポーツモデルとしての性能はさらに向上する。

つまりS13型は、華やかなスタイリングでユーザーを引きつけながら、その中身には本格的に走りを楽しめるFRシャシーを隠し持っていたのである。

デートカーとして購入したユーザーがいる一方、その運動性能に魅せられた走り好きも少なくなかった。さらに時代が進むと、FRレイアウト、扱いやすいボディサイズ、豊富なチューニングパーツなどを背景に、サーキットやドリフトの世界でも定番モデルとなっていく。

「カッコいいから欲しい」と思わせるデザインと、「走らせたい」と思わせるメカニズム。その二面性こそ、S13型シルビアが長く愛され続ける最大の魅力なのかもしれない。

日産 シルビア コンバーチブル(1988年)

S13型をベースにオーテックジャパンが開発したオープンモデル。K’sをベースとし、CA18DET型ターボエンジンと4速ATを組み合わせる。電動式ソフトトップを格納すると幌はボディ同色のカバー内に収まり、クーペとはひと味違う優雅なスタイルを楽しめた。

S13型をベースにオーテックジャパンが開発したオープンモデル。K’sをベースとし、CA18DET型ターボエンジンと4速ATを組み合わせる。電動式ソフトトップを格納すると幌はボディ同色のカバー内に収まり、クーペとはひと味違う優雅なスタイルを楽しめた。

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