
ATV群馬が放つ「RS1プラス」は、いま選ぶべき軽キャンパーの最右翼。ベースは乗用のエブリイワゴンで、日常の足としての快適性と利便性を損なうことなく、高品質なベッドキットにより本格的な車中泊を可能にした。高価なキャンピングカーは不要、しかし快適な旅は諦めたくない。そんな現代のニーズに応える軽キャンパーの、新たな最適解がここにある。その独自の価値と魅力に迫る。
●文/写真:月刊自家用車編集部
なぜ「軽」で、なぜ「ワゴン」なのか。日常という名の大切な場所
「RS1プラス」を語る上で、まず理解すべきはその土台、つまりベース車両の選択にある。先行モデルの「RS1」が商用車ベースのエブリイバンを採用していたのに対し、「RS1プラス」は乗用ワゴンであるエブリイワゴンを選択した。その理由は、このクルマが何よりも「日常」を大切にしているからに他ならない。
ワゴンは商用のバンに比べ、乗員を快適に運ぶことを前提に設計されている。標準装備のターボエンジンは、高速道路の合流や追い越しでもストレスのない走りを提供し、静粛性の高い室内、上質なシート、そしてよく効くエアコンを装備して毎日の運転を心地よくクリア。電動スライドドアのような装備も、日常の使い勝手を格段に向上させる。
つまり「RS1プラス」は、まず第一に「毎日を快適に過ごせる、とても便利な軽ワゴン」であり、一般的には特別な趣味の軽キャンパーである前に、普段の生活にしっかりと根を下ろした信頼できるパートナーであることが重要なのだ。
エブリイワゴンをベースにした「RS1プラス」は、先行するエブリイバンがベースの「RS1」と比べ、車名に付く「プラス」が示すようにあらゆる点でグレードアップ。走行性能を高めるターボエンジン、燃費に優れたCVTトランスミッション、乗用車ならではの快適な乗り心地を提供する。
基本ベースは、車両本体にベッドとカロッツェリア 楽ナビ、そして諸費用を含めた設定だが、快適な車中泊装備には欠かせない家電やエアコンを駆動する電源もオプション設定。ポータブル電源接続回路は税込み13万2000円で、お好みのポタ電を利用できる。
「特別な日」を叶える、驚くほどシンプルな仕掛け
平日には日常用途に用いられる「RS1プラス」は、週末になると魔法のようにその姿を変える。その変身を支えるのが、ATV群馬がこだわり抜いたごくシンプルかつ本質的な装備だ。
主役はなんと言っても「ベッドキット」。これは、単に後部座席を倒してフラットにするというレベルのものではない。ATV群馬がリリースする、ハイエースをベースとした上級キャンピングカー「RSプレミアム」と同等の品質を持つ、本格的なベッドマットが採用されている。
適度な硬さを持つこのマットは体をしっかり支え、旅の疲れを癒やす快適な眠りを約束。このベッドを展開するのに複雑な作業は必要ない。後部座席を倒し、分割式のマットを配置するだけ。思い立ったらほんの数分で自分だけのプライベートな寝室に早変わりするのだ。
そしてもうひとつ、標準で装備されているカロッツェリア製のカーナビゲーションシステム・楽ナビが旅の始まりを告げる。ナビの画面を眺めながら計画を立てる時間は、それ自体が心躍る体験だ。この「ベッド」と「ナビ」という車中泊の旅に不可欠な二大要素が基本パッケージであり、ユーザーは納車されたその日から新しい冒険へと出発できる。
大掛かりなシンクやコンロはない。しかし、それがないからこそ、「RS1プラス」は驚くほど自由だ。食事は現地の美味しいものを楽しんでもいいし、ポータブルコンロで簡単な調理をしてもいい。そのシンプルさが、逆にユーザーの想像力を掻き立て、自分らしい旅のスタイルを見つける楽しさを教えてくれる。
ATV群馬がラインナップするハイエースベースのキャンピングカー「RSプレミアム」と同等の高品質なベッドマットを標準装備。色や素材を好みで選ぶことも可能だ。カーナビはカロッツェリアの楽ナビが標準だが、オプションでサイバーナビへのグレードアップもできる。
「自分だけの城」を、自分のペースで育てる喜び
「RS1プラス」のもうひとつの大きな魅力は、これが「完成品」ではない、という点にある。むしろ、ユーザーと共に成長していく「プラットフォーム」と呼ぶのがふさわしい。
ATV群馬は、多彩なオプションパーツを用意しており、ユーザーは自分のライフスタイルや予算に合わせて、後から機能を追加していくことができる。例えば、最初は手持ちのスマートフォンやタブレットを充電するために、ポータブル電源を持ち込むことから始める。やがて、もっと快適に電気を使いたくなったら「ポータブル電源接続回路」の出番だ。これを追加すれば車内の照明や他の機器へスムーズに電力を供給できるようになる。
家族が増えたり、子供が大きくなったりしたら「フリップダウンモニター」を取り付け、移動中にアニメや映画を楽しむ空間も演出できる。さらにWi-Fiを定額で使えるサイバーナビにアップグレードすれば完璧だ。
フリップダウンモニターは15.6インチの大画面で様々なエンタテインメントを提供する。夜間や雨天時の停滞など、車中泊の心強い味方になる。さらに車内空間を快適にするなら車載エアコン(1200Wコンバーターを含む)も選択肢に入ってくるだろう。
最高の日常とほんの少しの非日常をこの一台と共に
荷物が増えてきたら、収納力をアップさせる「トノボード」や収納ラックを追加するのもよいだろう。このように、自分の「今」に合わせてクルマを育てていく過程は、高価なフル装備のキャンピングカーを一度に購入するのとは異なり、深い愛着と満足感をもたらすはずだ。
これは、流行りのカーリースとも一線を画した「所有」する喜びでもある。走行距離を気にすることなく、どこまでも走っていける。自分の手で少しずつカスタマイズを加え、世界に一台だけの「自分だけの城」を作り上げていく。「RS1プラス」は、そんな創造的な楽しみを与えてくれる、懐の深い相棒なのだ。
●ATV群馬 RS1プラス 基本ベース車両販売価格(税込み)
・エブリイワゴン 2WD PZターボベース:228万円
・エブリイワゴン 2WD PZターボスペシャルベース:236万円
・エブリイワゴン 4WD PZターボベース:244万円
・エブリイワゴン 4WD PZターボスペシャルベース:252万円
オプションは多数用意されるが、快適な車中泊にはポータブル電源接続回路や外部入力100Vコンセント、追加15Aシガーコンセント2個などの電源系は欠かせない。夜間に威力を発揮する調光機能が付いたLEDのダウンライトもQOLをバクアゲする。
軽キャンパーは室内空間にゆとりがないため、スペース効率をアップする収納システムやラックも追加していきたい。脚を付ければ車外テーブルに使えるトノボード(脱着脚付き)や屋根上ルーフBOX、ルーフへのアクセスが楽になる収納型4段踏み台もラインナップする。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
こだわりの内装、そして充実装備を搭載した快適空間 岡山に本社を置く、軽キャンパー専門のショップ、クレストビークル。同社は、クオリティの高い内装と、実際に使ってみて実感できる利便性の高い充実装備で、ユー[…]
軽バン×キャンピングカーという選択肢 街乗りのしやすさや維持費の安さから、軽バンは根強い人気を誇るが、そこにキャンピングカー的な機能を加えたのが「RS1XX」だ。ベースとなっているのはダイハツのアトレ[…]
軽トラックをキャンピングカーに仕立てるという逆転の発想 「軽トラで旅をする」。そう聞けば多くの人が、狭くて過酷なイメージを思い浮かべるだろう。しかし、その常識を覆したのがこの一台。ベースとなるのはトヨ[…]
ミニバンベースの8ナンバーキャンパー 「ラクネル・レイ」を理解する上で、まず着目すべきはその基本設計。ベース車両にはマツダ ボンゴバン、あるいはトヨタ タウンエースが採用され、全長4065mm、全幅1[…]
キャンピングカー選びのジレンマを、解決すべく開発された 国内キャンピングカー市場は、レジャー需要の深化のみならず、災害時のシェルターやテレワーク拠点としての活用といった多用途性への関心の高まりを背景に[…]
最新の投稿記事(全体)
家具モジュールを装着することで、シエンタが「動く部屋」に大変身 シエンタ JUNO (ジュノ)は、「持ち運べる部屋」という新しい価値観を追求し開発されたコンプリートカー。後席&荷室に着脱可能な「家具モ[…]
ACCが停止保持機能付きにアップデート 今回実施された一部改良では、人気のメーカーオプションが標準装備化されたほか、新しい装備の追加や安全装備の拡充を実施。さらにMODELLISTAと共同開発したコン[…]
ふたりの旅をとことん快適にするバンコンの完成形 バンコンは使い勝手と価格のバランスから人気の高いカテゴリーだが、「TR540S Join」はその中でも異彩を放っている。2人旅に特化することで、車内空間[…]
なぜ「軽」で、なぜ「ワゴン」なのか。日常という名の大切な場所 「RS1プラス」を語る上で、まず理解すべきはその土台、つまりベース車両の選択にある。先行モデルの「RS1」が商用車ベースのエブリイバンを採[…]
1900年初頭、石油ランプからアセチレンランプへ進化 ガソリンエンジンを搭載した自動車が実用化された初期の時代は石油ランプが用いられていた。1900年代に入ると炭化カルシウムと水を反応させて、発生する[…]
- 1
- 2