
「軽キャンは狭いけど、大きいバンは運転が不安」──そんな声に応えるように誕生したのが、オートワンの電化キャンピングカー「給電エース」だ。普段はミニバンとして街に溶け込み、週末にはコンセント付きの“移動できる電源基地”に早変わりする。無垢材の温もりを感じるインテリアと、ソーラーパネルを備えた電装システム。暮らしと旅の境界を曖昧にしながら、軽やかにアウトドアへと誘う1台だ。
●文:月刊自家用車編集部
普段使いのしやすさを追求した「ちょうどいい」サイズ感
キャンピングカーに憧れても、運転のしやすさを考えると二の足を踏む人は多い。特に女性ドライバーや家族で使う場合、「軽では狭いけれど、フルサイズは扱いにくい」という声は少なくない。そんな悩みに応える形で生まれたのが、コンパクトなボディに本格的なキャンパー装備を詰め込んだ「給電エース」だ。
ベースは街中でも扱いやすい1.5リッタークラスのバン。最小回転半径も小さく、運転感覚は一般的なミニバンに近い。通勤や買い物にも気兼ねなく使える日常の利便性と、旅先でくつろげる居住性。その両立こそ、このモデルの真価といえるだろう。
温もりを感じる無垢材のインテリアが魅力
車内に足を踏み入れると、まず目を引くのは無垢材を贅沢に使った家具の質感だ。工業製品的な冷たさがなく、木の温もりと手作り感が車内に安らぎをもたらしている。家具の表面パネルは簡単に取り外すことができ、好みのカラーで塗装してカスタマイズも可能。自分だけの“居場所”を作る楽しさがある。
室内レイアウトは5人乗りで2人が就寝可能。対面対座シートを展開すれば、食事や団らんにぴったりのリビングスペースに早変わりする。旅先でのひとときが、まるで小さなカフェのように落ち着いた時間へと変わる。
コンセントが使える“移動式リビング”
この車の最大の特徴は、名前の通り「給電」だ。車内にはAC100Vコンセントが設けられており、電子レンジや照明などの家電をそのまま使用できる。走行中はもちろん、停車時でもソーラーパネルからサブバッテリーへ充電可能。キャンプ場や道の駅でも、静かに快適な時間を過ごせる。
さらに家庭用電源からの外部充電にも対応しているため、自宅で充電しておけば電源を持ち出す感覚で旅に出られる。災害時や停電の備えとしても心強い存在だ。車外でも使えるコンセントを備え、電動ポットや照明などを外で使うこともできる。
自然を感じながら過ごす、穏やかな空間
車中泊というと、狭い空間に寝るだけのイメージを持つ人も多い。しかし「給電エース」は、ただ寝るだけでは終わらない。FFヒーターを備えた室内は、寒い季節でも快適に過ごせる。天井にはLED照明を配置し、明るく清潔感のある空間を演出。夜になれば、木の香りと柔らかな光が心を包み込む。
また、ポータブル電子レンジや給排水シンクセットといった装備も標準で用意。短い週末の旅でも、しっかりと「暮らす」ことができる。シンプルながらも完成度の高い作り込みが、オートワンの丁寧な仕事ぶりを感じさせる。
災害時にも頼れる“動く電源ステーション”
近年、キャンピングカーが注目を集める理由のひとつに「防災性」がある。「給電エース」はまさにその代表格といえる。走行充電やソーラー充電、外部電源の3WAYシステムを備えており、万が一の停電時にも家電が動く。過放電防止機能付きのバッテリー残量計も装備され、電力の管理も一目でわかる。
停電中でも電子レンジや照明を使い、スマートフォンを充電できる。電気を「持ち運ぶ」ことができる安心感は、日常生活の中でも大きな意味を持つ。キャンプだけでなく、防災の観点からも価値の高い1台といえる。
“使いこなす楽しさ”を教えてくれるクルマ
「給電エース」は、派手な装飾や特別なギミックに頼るタイプのキャンピングカーではない。むしろ、暮らしの延長線上にある自然体のクルマだ。週末にちょっと遠出して、気に入った景色の中でコーヒーを淹れる。そんな小さな贅沢を積み重ねることで、日常が少しずつ豊かになっていく。
自分好みに塗装した家具や、カスタマイズしたインテリアに囲まれて過ごす時間は、まるで“動く自分の部屋”。運転が苦にならず、日常にも溶け込むサイズ感が、旅のハードルを驚くほど下げてくれる。アウトドアを楽しみたいけれど、手間はかけたくない──そんな人にこそ、ぴったりの相棒だ。
写真ギャラリー
ベースとなる車両はトヨタのタウンエース。
車内はボックスシートがメインとなったレイアウト。
バックドア側から見た車内。
シート下は荷物の積載スペースとなっている。長めの荷物も積載可能だ。
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