
●文:[クリエイターチャンネル] Peacock Blue K.K.
都市部の交通環境は日々進化しており、その一環として”自転車専用通行帯”の設置が進んでいます。
自転車専用通行帯とは、自転車の安全な走行環境を確保するために、道路の一部分を自転車のみが使用できるように指定したレーンのこと。
「自転車レーン」や「自転車専用レーン」などとも呼ばれており、道路の左側または道路の特定の場所に設けられ、青色のレーンと白色の文字/マークで明確に自転車専用と区分されています。
この専用レーンはその名の通り自転車しか走行できず、クルマはもちろんのことバイクや原付なども走行不可能なので、もしも走行してしまった場合は取り締まりの対象になってしまうようです。
では、自転車専用通行帯を利用して左折時に左寄せしたり、駐停車したりといった行為も、何かしらの違反が適用されてしまうのでしょうか。
自転車専用通行帯に左寄せ・駐停車するのは違反になる?
道路交通法第34条では、「車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない」と定められています。
これは、自動車が左折をおこなう際は左寄せすることが義務付けられている、という内容です。
さらに道路交通法第20条には、左折時の左寄せなどは自転車/バス専用レーンの規定によらないことが示されており、これらをまとめると「左折時は左端のレーンが自転車専用通行帯であっても左寄せするのが正しい」ということになります。
また、このルールは道路外に出る場合にも適用されるため、左折してお店や駐車場に入る際も自転車専用通行帯を走行することが可能です。
近年数を増やしている自転車専用通行帯。青色で示されていることが多く、視認しやすいのが特徴だ
ただし、走行している自転車の前を強引に割り込む行為は非常に危険なので、後方確認をしっかりとおこなったうえで、自転車の巻き込み事故が起きないように十分注意しましょう。
次に、自転車専用通行帯の駐停車について。
基本的に、自転車専用通行帯はその名の通り自転車のために指定されたレーンであり、車両による駐車は禁止です。
ただし、自転車専用通行帯のある場所が駐停車禁止区域でない場合に限り、乗降や荷物の積み降ろしのための短時間の停車は許可されています。
とはいえ、クルマの停車は自転車専用通行帯を塞ぐことになるため、自転車ユーザーは車線をはみ出しての迂回を余儀なくされます。
このような状況では車両と自転車が接触するリスクが高く、自転車ユーザーにとっては非常に危険です。
また、停車中のクルマがドアを開けた際に後方から来た自転車とぶつかる「ドア開放事故」の発生にもつながりやすいので、自転車利用者の安全を最優先に考え、必要時以外はなるべく停車を控えましょう。
ほかにも例外として、緊急車両に道を譲る場合/道路の損壊や工事などやむを得ない場合も、自転車専用通行帯への停車は許されています。
自転車専用通行帯は、あくまで自転車が走行するためのレーンであることを忘れてはいけない
このように、自転車専用通行帯では自転車優先が前提ですが、特定の状況下において自動車の走行や停車が許可されています。
このような特殊な道路は、運転者にとってしばしば混乱の原因となります。
正しいルールを理解し、自転車ユーザーと自動車ドライバーが互いに尊重し合うことで、より安全で快適な交通環境が実現できるでしょう。
ちなみに地域や道路によっては、自転車レーンが白色の矢印とアイコン/青色の矢印で表示されているケースもありますが、これらは厳密には自転車専用通行帯とは別物です。
この案内は「自転車ナビマーク」と「自転車ナビライン」と呼ばれるもので、自転車が安全に走行する場所/方向を自転車ユーザーと自動車ドライバーに周知することを目的として設置されています。
自転車ナビマーク/自転車ナビラインはあくまでガイドラインのようなものであり、自転車優先を意味しているわけではないため、自動車やバイクなども走行できるのが自転車専用通行帯との大きな違いと言えるでしょう。
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