トヨタ アクア
●価格帯:198万〜259万8000円
今夏に発売された新型アクア。約10年ぶりに大刷新されたこともあって、かなりの人気を集めることは予想できていたが、コンスタントに販売実績を積み重ねているようだ。なぜ売れるのか? オススメグレードは? 納車の目安などを含めた最新情報をお届けしよう。
●文/まとめ:自家用車編集部(ハラ)
【売れる理由 その1】後席&荷室がしっかり使えるロングキャビンパッケージを採用。便利に使えるコンパクトカーに仕上げられている
トヨタは同じスモールコンパクトクラスにヤリスハイブリッドを展開しているが、走りやスポーティさを意識したキャラもあって、ボディはスポーツ2BOXらしい形状を採用している。キャビン&前席まわりはライバル勢と比べても遜色ない広さが確保されているが、後席や荷室はやや手狭。4〜5名乗車時や荷物を運ぶ際には少々不便さを感じてしまうことがある。
実用面で少し見劣りしてしまうことがヤリスの販売が伸び悩む一因にもなっているのだが、アクアはロングキャビンスタイルを採用することで、後席まわりのスペースを拡大。寛ぎ空間や積載性の強化など、ヤリスで物足りなさを感じていた部分を克服していることが大きな特徴だ。
このクラスには、日産・ノートやホンダ・フィットなどキャビンの広さも売りにしているモデルが揃っているが、アクアはそれらの強力ライバルに対しても見劣りしない実力を持っているのだ。
【売れる理由 その2】最新のTHS Ⅱハイブリッドを搭載。動力性能と燃費のバランスの良さが光る
アクアに搭載されているハイブリッドシステムは、出力と燃費のバランスに優れてるトヨタ最新の1.5リッターTHS Ⅱユニット。先行して発売されていたヤリスハイブリッドと同じ世代のシステムを採用している。
ヤリスとの違いが明確になるのは駆動バッテリーのタイプ。リチウムイオンバッテリーを搭載するヤリスに対して、アクアは新開発されたバイポーラ型ニッケル水素バッテリーを採用(廉価グレードのBは除く)。先代アクアに搭載していた従来タイプのニッケル水素バッテリーに比べると約2倍の高出力を発揮することを可能としている。
ヤリスとの比較でもドライブフィールにゆとりがあり、特に中速域での力感の良さが際立つ。高速走行時のエンジン回転数も低めにおさえられるなど、電動走行をより巧みに用いる印象が強い。
THS Ⅱハイブリッドは、負荷が強まる高速走行時に燃費の落ち込みが強まる傾向があるのだが、アクアはそんな状況でも安定した性能を発揮してくれる。サスチューンはアクアの方が乗り心地重視のセッティングだが、ファミリーユースを求める向きにとっては、こちらの方がいいというユーザーも多いはずだ。
燃費面はヤリスが35.4km/ℓ〜、アクア33.6km/ℓ〜とWLTC総合燃費のスペックは車両重量が軽いヤリスがリードするが、編集部が実施した実燃費テストにおいて、アクアは31.0km/ℓを記録。燃費番長の座はヤリスに譲るものの、アクアも申し分のない燃費性能を持つといっていいだろう。
【売れる理由 その3】必須装備が全部入りで、こなれた価格設定。買い得感の高さもクラストップレベル
トヨタセーフティセンスはプリクラッシュブレーキ系の機能に加えて運転支援のLTAまでカバーするフル機能版が全グレードに標準装着。T-Connectに対応する車載ITのディスプレイオーディオはグレードによってディスプレイサイズが異なるものの、こちらも全グレードに標準装着される。駐車支援機能のアドバンスパーキングもOPながら用意されるなど次世代を見据えた機能の充実ぶりもアクアの強みといえる。
それでいて価格は198万円からとかなり踏み込んだ設定だ。最廉価仕様のBこそ装備に物足りなさを感じるが、その上のX(209万円〜)やG(223万円〜)ならば最新コンパクトとして不足ない内容が盛り込まれている。
スモールコンパクトクラスには、ノートやフィットなど強力なライバルモデルが揃っているが、ノートとフィットは車載ITユニットがOP、さらにノートはプロパイロットもOPになる。全部入りで比べてみるとアクアの価格設定は相当美味しい。
【オススメのグレードは?】実用装備が充実する中間グレードのGがベストバイ
●アクア価格帯
- B 198万円(FF)217万8000円(4WD)
- X 209万円(FF)228万8000円(4WD)
- G 223万円(FF)242万8000円(4WD)
- Z 240万円(FF)259万8000円(4WD)
最廉価のBは法人需要を意識したグレードで、割り切って選んだとしても装備設定に物足りなさを感じてしまう。実質的にはXからと考えるのが無難な選択だ。
Xはトヨタセーフティセンスや7インチのディスプレイオーディオに加えて、タイヤの1サイズアップやスマートエントリーなどの利便系装備が強化される。実用的なハイブリッドを求める向きには十分だが、Xに対してプラス14万円となるGを選べば、パーキングサポートブレーキやバックガイドモニター、上級ファブリックシートなどもプラスされる。その上のZはディスプレイオーディオが10インチタイプとなり、アルミホイールの標準化やLEDライトが上級仕様になるが、Gとの価格差は相応に広がるのが少し気になってしまう。
多くのユーザーがスモールコンパクトクラスに求めるコスパと実用車としてのバランスを考えれば、中間グレードのGが最も満足できる選択になりそうだ。
ちなみにコロナ禍の影響による部品不足もあって、他モデルと同様に納期は長めになっている。執筆時点の納期目安としては4~6か月となっている。
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