【どちらがベストバイ?】ヤリスか? それともアクアか? ユーザーを悩ますトヨタ同門コンパクトカー対決

2021年夏、新型アクアが登場したことでクローズアップされているのが、トヨタ同門となるヤリス(ハイブリッド)との関係だ。ハッチバックの正統派VSファミリー2BOXというタイプの違いはあれども、基本パッケージやパワートレーンの設定が極めて近い2モデルだけに、コンパクトカーを探しているユーザーならば、どちらを選べばいいのか? と悩んでいる人もいるはずだ。それぞれの強みと弱みをお伝えしよう。

●文/まとめ:自家用車編集部(ハラ)

ともに最新のTNGA技術が投入されたご自慢モデル

2019年12月に発売を開始したヤリスは、トヨタのTNGA技術が注がれた注目のコンパクトカーとして大きな話題を集めたモデル。ボディ&シャシーやパワートレーン、装備類まで全面刷新されており、前モデルのヴィッツから大きな進化を遂げた。特にハイブリッド車は最新1.5リッターTHS Ⅱハイブリッドを搭載したことで、動力性能と燃費性能が劇的に向上している。

一方、ヤリスに遅れること約1年半、2021年にフルモデルチェンジを実施したアクアは、ハイブリッド専用モデルになるが、ボディ&シャシー設計やハイブリッドシステム、装着される装備の多くはヤリスと共有関係にある。

ガソリン車(1リッターと1.5リッター)、ハイブリッド車が選べるヤリスに対して、アクアはハイブリッド車のみという大きな違いはあるものの、メカニズム的には極めて近いと考えていいだろう。

ヤリス
アクア

ともにGA-Bプラットフォームを採用。ヤリス(左)はボディリヤ側を絞り込むことでカジュアル&スポーティな雰囲気を強めているが、アクア(右)は長めに取ったキャビンプロポーションが印象的に映る。外観寸法はヤリスが全長☓全幅☓全高:3940☓1695☓1500mm、新型アクアは全長☓全幅☓全高:4095☓1695☓1485mm。ホイールベースはヤリスが2550mm、アクアが2600mmになる。※ともにFF車の数値 [写真タップで拡大]

ボディの違いがもたらすキャビン性能の違いに注目

そこでクローズアップされるのは、コンパクトカーのハイブリッド車を求めるユーザーがどちらを選べばいいのかという問題だ。

ヤリスは、いかにもハッチバックらしいリヤ側を絞り込んだパッケージを採用。高性能スポーツのGRヤリスの存在もあってかスポーティな雰囲気も感じさせてくれる。

アクアは従来型から続くロングキャビンスタイルを引き続き踏襲。フロントマスクのイメージやルーフまわりの絞り込みをヤリスとは異なる手法を用いることで明確に差別化が図られている。なおホイールベースもアクアの方が若干長いサイズとなる。車両重量もヤリスが1050kg(ハイブリッドX FF車)、アクアが1120kg(X FF車)とアクアの方が70kgも重くなる。

ヤリスのインパネ

ヤリスのインパネ。横方向に広がりをもたせた開放的なレイアウトを採用している。スイッチ類の集中配置などドライバーの操作性を向上させる工夫も盛り込まれる。中央にはディスプレイオーディオが標準装着されている。 [写真タップで拡大]

アクアのインパネ

アクアのインパネ。基本レイアウトはヤリスに近いが、シフトレバーをインパネ下に配置するなどで差別化されている。ディスプレイオーディオも物理ボタンを廃したタッチタイプのディスプレイモニター仕様も設定されている。 [写真タップで拡大]

ヤリス キャビン

ヤリスのキャビン空間。しっかりと4名の乗車までは配慮した設計だが、足元まわりの余裕はほどほどレベル。明らかに前席優先のレイアウトだ。 [写真タップで拡大]

アクア キャビン

アクアのキャビン空間。後席まわりはアクアの方が余裕を感じる。天井やピラーの圧迫感も少なめだ。前席の居住性はヤリスとほぼ同じと考えていいだろう。 [写真タップで拡大]

前席はほぼ互角といっていいが、後席はアクアが明らかに使いやすい

このボディパッケージの違いは主にキャビン機能に直結するが、その差がより明確になるのは後席まわりの使い勝手だ。

ヤリスもアクアも、前席はクラス平均を超えるキャビンスペースが確保されており、一昔前のコンパクトカーのような窮屈さはまったく感じさせない。メーター&インパネレイアウトまわりも、おのおのに独自デザインが採用されて、さらに多彩な利便機能も注入される。先代ヴィッツや先代アクアと比べると、ゆとりと先進感を体感できる空間に仕上げられている。

その一方後席は、ヤリスもリヤを絞り込んだボディの割には頑張っているが、ゆとりや機能性を考慮した設計が注がれているアクアと比べると、差を感じてしまう部分が多い。アクアはヤリスの弱点でもあった後席足元周りの窮屈感が解消されているだけではなく、頭上空間の広がり感も十分。座った際の前後左右の見晴しも良好で、視覚的な圧迫感も明らかに少なくなっている。

前席機能はほぼ互角だが、後席に関してはアクアの方が圧倒的に居心地が良く、長時間ドライブになるほど差を感じてしまうだろう。

アクア 荷室

アクアの荷室は広いとまで言いにくいが、積載性を配慮した設計が注がれる。後席シートバックはシンプルな前倒式のため段差が生じてしまうが、アジャスタブルデッキボードを用いることでフラットな床面にすることも可能。 [写真タップで拡大]

走りの味付けと燃費性能にも違いあり

さらに走りの違いも押さえておきたいポイントの一つ。

ヤリスもアクアも1.5リッターのTHS Ⅱハイブリッドを採用しているが、アクアは駆動用バッテリーをリチウムイオン電池(ヤリスに採用)からバイポーラ型ニッケル水素電池に変更している。リチウムイオンからニッケル水素の変更は退化したとも感じてしまうが実情は全く逆で、最新バッテリーシステムへの変更で充放電の高出力化と高効率化が図られた。簡単にいってしまえば、アクアはヤリスよりも大きな電力をモーターに供給することが可能になっている。

その違いは主に電動走行の頻度と強度に表れる。ヤリスとアクアが採用するTHS Ⅱハイブリッドは、エンジン駆動とモーター駆動を走行状況に応じて使い分ける巧みな制御が強みだが、ヤリスに比べるとアクアの方が積極的にモーター駆動を用いる印象が強い。電動走行が可能な速度もアクアの方が上に設定されている。モーターアシストが効いてると感じる場面も多く、特に高速道路や坂道など負荷のかかる場面で力強さを感じやすい。ヤリスもトップレベルのアクセル応答性の良さや豊かな力感を感じさせてくれるが、アクアはそれ以上の手応えがある。

なお燃費に関しては、ヤリスが35.4km/ℓ〜、アクア33.6km/ℓ〜とWLTC総合燃費のスペックは車両重量が軽いヤリスがリードする。アクアは長らくプリウス以上の燃費性能を持つトップとして君臨していたが、実用燃費の差はわずかだろうが、ヤリスには若干及ばないと考えていい。

アクア 走り

アクアに搭載されるパワーユニットはTHS Ⅱハイブリッドの最新仕様。ヤリスハイブリッドよりも力感が強い印象だ。1ペダル運転が可能な「快感ペダル」をトヨタ車として初採用している。 [写真タップで拡大]

トヨタセーフティセンスはともに標準装備。支援機能も充実

安全運転支援機能のトヨタセーフティセンスは、LTAまでカバーするフル機能仕様。最近のトヨタ車に普及が進むディスプレイオーディオに関してもモニターサイズの違いはあるが、ともに標準装着。実用コンパクトに求められる利便機能はほぼ同等と考えていい。

ヤリスの走り

絶妙なサスチューンがもたらす、安定感に富んだ走りはこのクラスではトップレベル。ガソリン車も力感に優れるが、巧みなパワーアシストもハイブリッド車の走りは一枚上手。ラバーバンドフィールを微塵にも感じさせない巧みな制御も見逃せない。 [写真タップで拡大]

アクアの方が価格は高めだが、それに見合う魅力がある

トヨタ ヤリス
価格帯:139万5000〜216万9000円(ガソリン車)199万8000〜252万2000円(ハイブリッド車)

トヨタ アクア
価格帯:198万〜259万8000円

両モデルの価格を見比べてみると、アクアには法人向けのBが設定されているためスタート価格は低くなるが、同等グレード同士で比較すると、9〜10万円ほどアクアの方が高めの価格に設定されている。
(例:ヤリス ハイブリッドGのFF車 213万円、アクアのGのFF車 223万円)

コスパの良さも売りとするコンパクトカーにとって、この価格差は大きいともいえるが、後席をしっかりと使いたいユーザーはもちろん、高速長距離も重視するユーザーにとってもアクアは魅力ある選択になるといえそうだ。

ちなみにアクアが登場したことでヤリスの存在感が薄くなるかといえば、そうとはいえない。ヤリスのガソリン車(1.5リッター)は最新のダイナミックフォースエンジンを搭載することもあって、このクラスとしてはトップレベルの動力性能と燃費の良さを誇る。

1.5リッターガソリンのX CVT車の価格は159万8000円〜。ヤリスハイブリッドのX(199万8000円)と比べると約40万円、アクアのX(209万円)と比べると約50万円ほど安く購入することができる。他社のライバルモデルを含めても、ヤリスの1.5リッター車の性能と価格のバランスの良さはかなり魅力的だ。


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