レクサスは、7月7日に販売を開始した「UX250h/200」に続いて、ブランド初のバッテリーEV(以下、BEV)市販モデル「UX300e」の一部改良を発表した。日本での発売は、2023年春頃を予定している。
●文:月刊自家用車編集部
先進装備の進化にも挑戦
UX300eは、都会派コンパクトクロスオーバーとしての個性的なデザインと、取り回しに優れたボディサイズに加えて、BEVならではの上質な走りと優れた静粛性が、ユーザーからご好評を得ている。
今回発表した一部改良では、新たに開発した電池パックの導入により、電池容量を54.4kWhから72.8kWhに増強し、航続距離450km、従来型比40%以上向上するなど、BEVとしての基本性能の進化を実現した。加えて、UXシリーズとして、上質ですっきりと奥深い走りの味の深化と、予防安全技術の機能拡充や最新のマルチメディアシステムを採用した先進装備の進化にも取り組んだ。
・電動化ビジョン「Lexus Electrified」に基づく、ブランド初のバッテリーEVモデル
・新開発の電池パックにより航続距離450km、従来型比40%以上の向上
・クルマの体幹を鍛え、UXの上質ですっきりと奥深い走りをさらに深化
・予防安全技術の機能拡充とマルチメディアシステムなどの先進装備の進化
走りの味の深化では、Toyota Technical Center Shimoyamaでの走り込みや、ボディのスポット溶接打点20点追加によるボディ剛性の強化。加えて、BEV特有の電池パックの床下配置による低重心や、リヤに標準で装着されたパフォーマンスダンパー、最適なEPSやアブソーバーなどのチューニングを施し、すっきりと奥深い走りを実現。
先進装備の進化では、予防安全技術「Lexus Safety System +」を機能拡充することで、より安全・安心に運転を楽しむことを目指している。また、大型化/高解像度化したタッチディスプレイを搭載した最新のマルチメディアシステムを採用。加えて、インストルメントパネル、及びコンソール周辺の形状やスイッチレイアウトを最適化し、充電用USBコネクタ(Type-C)をコンソール前方に2個新たに設定するなど、使い勝手を向上させている。
UX300eの主な特長
UX300eは、エンジンなどの重量物の偏りが少なく、前後重量配分や慣性モーメントの最適化が可能なBEVならではの特長を活かして、重量物を車両中心に配置。電池パックの床下配置による低重心化や、リヤのパフォーマンスダンパーの採用により、走りの上質さを際立っている。そのため、クルマとドライバーの一体感を醸し出している。
また、床下の電池に遮音壁としての機能を持たせたほか、エンジンやトランスミッションの音がないゆえに聞こえる風切り音や小石・砂などの巻き上げ音にも配慮。室内空間の心地良い静けさを実現している。
また、新開発の電池パックにより、航続距離が従来型比で40%以上向上し450km、電費性能は166.7Wh/kmを実現した。
UX300e 主要諸元(欧州仕様・プロトタイプ)
航続距離 | 450km |
---|---|
電費 | 166.7Wh/km |
電池容量 | 72.8kWh |
急速充電規格 | CHAdeMO |
最高出力(kW[PS]) | 150[203] |
最大トルク(N・m[kgf・m]) | 300[30.5] |
ボディ剛性の向上
サイドドア及び、バックドア周辺のボディ開口部のスポット溶接打点を計20点追加し、ボディ剛性を向上。そのうえで、すっきりと奥深い走りの味を熟成すべく、Toyota Technical Center Shimoyamaでの走り込みを通じて、EPSやアブソーバー、ブレーキなどのチューニングを繰り返した。あらゆる走行シーンで減速・操舵・加速がシームレスに繋がる気持ち良さなど、ドライバーの意図に忠実でリニアな応答を追求。
Lexus Safety System +の機能拡充と、使い勝手を拡張する先進装備
モビリティ社会の究極の願い「交通事故死傷者ゼロ」の実現に向け、新型UXでは予防安全技術Lexus Safety System +の機能を拡充し、事故の防止や交通事故死傷者のさらなる低減と、ドライバーの負担軽減を目指している。また使い勝手を拡張する先進装備として、スマートフォンによりドアロック/アンロックやEVシステム始動などの操作を可能にするデジタルキーや、車両下方の路面状況やタイヤ位置などの把握を補助するパノラミックビューモニター床下透過表示機能を追加した。
Lexus Safety System +
- 単眼カメラとミリ波レーダーの性能向上により、昼間の自転車運転者や夜間の歩行者も検知可能な「プリクラッシュセーフティ」の対応領域を拡大し、交差点右折前に前方から来る対向直進車や、右左折時に前方から来る横断歩行者も検知可能。加えてドライバーの操舵をきっかけに車線内で操舵をアシストする緊急時操舵支援などの機能を追加。
- 同一車線内中央を走行できるよう操舵を支援する高度運転支援機能「レーントレーシングアシスト(LTA*5)」の車線認識にAI技術を活用することで支援範囲を拡大し、よりスムーズで途切れにくい操舵支援を実現。
- 自動車専用道路などにおいて設定した車速内で前走車との距離を一定になるよう加減速制御する「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」に、カーブの大きさに合わせてあらかじめ減速するカーブ速度抑制機能を追加。
- ドライバー異常時対応システムを追加。LTA*5制御中にドライバーの無操作状態が継続した場合、音と表示と緩減速による警告でドライバーに操作を促すほか、ハザードとホーンで車外に異常を報知しながら自車線内に減速停車し、自損・加害事故の回避・事故被害低減を支援。停車後は、ドア解錠やヘルプネット自動接続による救命要請も行い、早期のドライバー救命・救護に寄与。
デジタルキー
専用のスマートフォンアプリをインストールすることで、この機能を有する車両に対してスマートフォンをデジタルキーとして使用することが可能になる。スマートフォン画面からの操作によってドアのロック/アンロックが可能になることに加え、スマートフォンを携帯した状態でパワースイッチを押すことでEVシステムを始動することができるのも嬉しい。所有するデジタルキーに対応した車が複数ある場合でも1台のスマートフォンだけで操作でき、また、スマートフォン間でデジタルキーの受け渡しが可能なため、家族や友人間で離れた場所での車両の貸し借りも容易に行える。
パノラミックビューモニター
車両の前後左右に搭載したカメラの映像を合成してセンターディスプレイに表示するパノラミックビューモニターにおいて、過去に撮影した路面の映像を車両直下に合成表示することで車両下方の路面状況やタイヤ位置などの把握を補助する床下透過表示機能を追加。
コックピットの使い勝手の向上
大型化/高解像度化した12.3インチタッチディスプレイは、よりドライバー側へ搭載することで、運転姿勢を崩さずにタッチ操作することが可能。またディスプレイのタッチスクリーン化に伴い、インパネ及びコンソール周辺の形状やスイッチレイアウトを最適化している。インパネセンターに搭載していたシートヒータースイッチ等をコンソール上部に配置し、それによって生まれたコンソール前方のスペースに充電用USBコネクタ(Type-C)を2個新たに設定。加えて、おくだけ充電のスペースも上下方向に拡張し、上部にLED照明も追加することで使い勝手を向上させている。
マルチメディアシステムとコネクティッドサービス
- 直感的な使いやすさを追求した最新のマルチメディアシステムを搭載。ナビや音楽、車両設定などの各種メニューの選択スイッチを運転席側に常時アイコンで表示することで、優れたアクセス性を実現。画面全体のレイアウトも情報の粒度に応じて表示エリアを分け、操作フローを統一した。
- クラウド上の地図情報を活用し、交通情報や駐車場の空き情報をリアルタイムで取得するコネクティッドナビを採用。従来の車載ナビとコネクティッドナビを組み合わせたハイブリッド型のナビゲーションを採用している。
- 最新の音声認識機能は、ステアリングのトークスイッチ操作による起動に加え、ディスプレイのマイクアイコン操作や音声による起動を可能とした。あらかじめ設定された起動ワード(例 : Hey Lexus!など)を発話することで、スイッチ操作や再生中の音楽停止をすることなく、音声認識機能の起動が可能。さらにクルマと会話するような自然な発話での操作にも対応。
- iPhoneやAndroidデバイスの専用機能を車載機ディスプレイにて使用する、Apple CarPlay、Android Autoを設定。Apple CarPlayは、従来のUSB接続に加え、Wi-Fiによる無線接続にも対応。
- DCM(Data Communication Module)を活用したインターネット接続により、Webサイト(ニュースやブログ、ストリーミング音楽、YouTube動画など)を閲覧することができるWebブラウザー機能を設定。
- 「マイセッティング機能」では、Bluetooth機器(スマートフォンなど)に紐づけてナビやオーディオなどのマルチメディアシステムの個人設定を車両に登録することができる。また、G-Link契約中は、マルチメディア設定がデータセンターに格納され、別の車両でも利用することが可能。
- 「My LEXUS」により、スマートフォンでクルマの電池残量と航続距離の確認が可能。さらに乗車前にエアコンを作動させておけるリモートエアコンなどのサービスを利用できる。「マイカー始動ロック」では、「My LEXUS」からの操作により任意の期間において車のEVシステムを始動できなくすることが可能。夜間や長期の旅行・出張等の際に利用することで、車を使わない時間のセキュリティを高めることができる。
- DCMによる無線通信でソフトウェアの更新が可能となるOTAソフトウェアアップデート機能を採用。マルチメディアの表示内容や操作性の改善に加え、新機能の追加や性能向上などを行うことができる。
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