
TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)は「GR Supra GT4 EVO」の発売を開始した。これまで日米欧で、通算100回を超える表彰台を獲得したレース専用車「GR Supra GT4」でモータースポーツに挑戦し続けている世界中のレーシングチームやドライバーから得た多くのフィードバックを活用し、ブレーキ性能、ハンドリング、エンジン性能を向上させたモデルとなっている。販売予定価格は186,000ユーロ(日本円で約27,000,000円)。
●文:月刊自家用車編集部
レース現場の「生の声」を活かして改良を重ねた
「GR Supra GT4」は世界中のレースに参戦し、これまでに11の国や地域のGT4シリーズ戦、及び、国際レースで勝利、今年8月には、記念すべき50回目のクラス優勝を成し遂げた。そういった舞台で活躍するドライバーおよびレーシングチームからのフィードバックを活かして開発されたのが、より強く、より速くなった「GR Supra GT4 EVO」だ。
発売以来、TGRのエンジニアは世界中のレース現場へおもむき、レーシングチームやドライバーから直接、レースという極限状態でしか得られない貴重なフィードバックを得てきた。
“モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり”を推進するTGRは、そのような生の声と、さらに詳細な評価結果に基づき、ブレーキ、ハンドリング、エンジンの3つのポイントに重点を置いて、「GR Supra GT4 EVO」の開発を推進した。
具体的には、ブレーキ部品の改良と、ABSセッティングの変更、KW社の最新技術により最適化されたアブソーバーとスタビライザーバーの仕様・特性見直しにより、ハンドリングとコーナリングスピードを向上させた。
さらに、冷却効率の向上などにより、3.0リッター6気筒ターボエンジンの出力の向上と、エンジン回転数に応じたスムーズなトルク発生カーブを実現。サーキット走行時にドライバーが、意のままに操ることができる、より正確でリニアな車両応答を実現した。
また、このようにレースに参戦するレーシングチームやドライバーから貴重な意見を現場で直接聞きながら、具体的な開発目標を設定することで、レーシングドライバーが求める精度で性能を引き出すことに加え、世界中のGT4レースに意欲的に参戦するアマチュアドライバーにとっても運転しやすい車に仕上げることとなった。
また「GR Supra GT4」オーナーには「GR Supra GT4 EVO」の改良部品等を入手できるアップグレードキットの提供も予定している。
各地域におけるGT4車両の販売及びカスタマーサポート(スペア部品の販売やユーザーへの技術サポート)は、欧州はTOYOTA GAZOO Racing Europe、北米はTRD U.S.A., INC.、日本・アジアは株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメントが担当する。
GR Supra GT4 EVO車両諸元
車両全般
全長 | 4,460mm |
---|---|
全幅 | 1,855mm |
ボディ構造 | 高剛性ロールケージ付スチール及びアルミボディ(FIA規則に準拠) |
フロントスポイラー | 天然繊維コンポジット |
リヤウイング | 天然繊維コンポジット |
燃料タンク | 120L FT3安全タンク(ATL製) |
ドライバーシート | レーシングバケットシート(OMP製)、6点式シートベルト(FIA 8862-2009) |
エンジン&トランスミッション
タイプ | 直列6気筒ターボチャージャー |
---|---|
排気量 | 2,998cm3 |
最高出力 | SROのBOPによる(SRO BOPの調整にはUSBパワースティックを使用) |
最大トルク | 660Nm |
エンジンECU | マニエッティ・マレリ製レーシングECU |
排気システム | アクラポヴィッチ製レース用排気システム+メタル触媒 |
潤滑油 | ラベノール製オイル |
トランスミッション | オートマチック トランスミッションパドルシフト付(ZF製) |
ディファレンシャル | レース用機械式リミテッドスリップデフ(DREXLER製) |
ドライブシャフト | レース用ドライブシャフト(GKN製) |
サスペンション、ステアリング、ブレーキ
フロントサスペンション | マクファーソンストラット |
---|---|
リヤサスペンション | マルチリンク |
アブソーバー | レース用調整式(KW製) |
ステアリング | 電動式ラックアンドピニオン |
ブレーキ(フロント) | 6ピストンレーシングキャリパー(Brembo)、Φ390スチールディスク |
ブレーキ(リヤ) | 4ピストンレーシングキャリパー(Brembo)、Φ355スチールディスク |
フロント/リヤ タイヤ | 305/660-18/305/660-18(Pirelli) |
ホイール | 11×18インチ(OZ製) |
電子制御
トラクションコントロール | 標準装備 |
---|---|
アンチロックブレーキシステム | 標準装備 |
マルチディスプレイ | 標準装備 |
データロガー | 標準装備 |
リヤビューカメラ | オプション |
タイヤ空気圧センサー | オプション |
サスペンションセンサー | オプション |
装備品
消火器 | 標準装備 |
---|---|
エアジャッキ | 標準装備 |
ドリンクシステム | オプション |
認定耐久パッケージ | オプション |
販売予定価格
186,000ユーロ(価格は税金、通関手数料、物流費を除いたもの)
※本記事の内容はオリジナルサイト公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
※特別な表記がないかぎり、価格情報は消費税込みの価格です。
よく読まれている記事
2024年にフルモデルチェンジを果たし、5代目となった新型「レクサス RX」。プレミアムSUVとしての存在感を一層高めた本モデルは、次世代レクサスが掲げる「人間中心のクルマづくり」を具現化した意欲作で[…]
「シエンタの車中泊したいけど、DIYはハードルが高い」──そんな人にも手が届き、しかも長く付き合える愛車へと進化させるYURTのルームキットがアップデート。クルマ旅をより身近に、もっと快適に。そんなシ[…]
日本のモータリゼーションを牽引した一台であるスバル360は、まぎれもなく富士重工業が世に送り出した最初の量産4輪車である。ただしそれには志半ばで潰えた前史があった。しかもそれはほぼ完全なプロトタイプま[…]
1980年代のホンダといえば…、人によって印象に残っている事柄はいろいろあると思いますが、歴史に燦然と輝く大きな出来事は「ホンダ・F1の栄光」でしょう。1983年に15年ぶりとなるF1への参戦を開始。[…]
千葉県・幕張メッセで開催された「東京オートサロン2025」で見かけた車両をご紹介。今回は美しいグリーンカラーが目を引いた「セブン170R」を紹介しよう。 目次 1 ケータハムのブースで目を引いた「セブ[…]
最新の記事
- 1
- 2