
2021年10月のデビュー以来、圧倒的な人気を集めているレクサスNX。納期遅れの影響が大きいこともあって、中古車の価格次第では先代でもいいかも?と考えているユーザーもいるはずだ。ここでは価格も含めた新旧のNXを比べることで「買い!」はどちらかをお教えしよう。
●まとめ:月刊自家用車編集部(ハラ)
【パワートレーン&メカニズム】抜群のハンドリング性能はほぼ互角だが、走りの余力感や扱いやすさは現行型がリード
先代のNXは、先代ハリアーをベースに開発されたモデル。車体骨格などの設計は先代ハリアーに準じているが、すべてが同じというわけではなく、骨格強化などの独自の工夫が加えられることで、レクサス基準に仕立てられている。実際に走った印象も、細かな振動を抑制した感覚が強く、高速走行時の安定感も1ランク上に感じる。乗ればすぐにハリアーの上に位置するモデルであることが実感できるだろう。ただしパワートレーンに関しては大きな差はなく、ハイブリッド車(2.5L)も内燃機車(2Lターボ)も、ハリアーと同型を採用していた。
一方、現行型NXは、現行型ハリアーをベースにして、車体骨格にレクサス独自の工夫が盛り込まれていることは同じ。ただしプラットフォームがTNGA世代(GA-Kプラットフォーム)に刷新されたことで、シャシー性能が大きく向上している。パワートレーンもハリアー以上の高性能ユニットが選べるようになるなど、プレミアムモデルであることを明確に主張している。
新旧のNXを乗り比べると、素直で正確なハンドリング感覚を持つ美点は同じだが、現行型は高速時の走行安定性や動力性能の余力などが際立つ。ロングドライブでの寛ぎ感や疲れにくさ、快適性なども優れており、このあたりでも設計年次の違いを感じてしまう。特に現行型で追加されたPHEV(NX450h+)と2.4Lターボ(NX350)は、1クラス上のプレミアムSUVとも戦える洗練されたドライバビリティを持つ。先代も走り自慢を売りにしていたSUVだが、現行型はさらにその強みが磨かれた格好だ。
現行型もハリアーと同じプラットフォーム(GA-K)を採用するが、NXは溶接打点増や補強、制振防音材の追加など、ボディ構造にも細かく手を入れている。厚みや重みを感じさせる良質な乗り味はハリアーと明らかに異なる。
先代は改良時にグレード名が変わったが、パワートレーンは2Lターボと2.5Lハイブリッドの2本立てで展開されている。モデル初期からハンドリング性能は高く評価されていた。
【パッケージ&ユーティリティ】キャビンの広さや使い勝手は大差なし。先進装備&機能は現行型が優位
ボディサイズを全長×全幅×全高で比べると、先代が4,640☓1,845☓1,645mm。現行型が4,660☓1,865☓1,660mm。現行型が若干大きくなっているが、ほぼ同サイズとも考えていい。ハリアーの新旧モデルと同様に最低地上高が上がり、その分だけ全高も高くなっているが、見比べるてもプロポーションにはあまり変化を感じない。
キャビンまわりのスペースも同様で、広さは大差ない印象。内装加飾に関しては、先代も現行型も派手さよりも上質感を楽しむタイプというのは同じだが、パネルやトリムなどの質感は新型の方が上。最新のキャビンデザインも相まって、プレミアム視点では現行型が少し優れているが、日々の買い物など日常生活での使い勝手は同等と考えていい。
2021年10月にデビューした現行型は、内燃機車は2.5LのNAと2.4Lターボ、ハイブリッド車は2.5Lと2.5LのPHEV、合計4つのバリエーションが用意されている。最もベーシックな2.5LのNA車で455万~579万6000円、2.4Lターボが608万6000円、2.5Lハイブリッド車が520万~644万6000円、PHEV車が729万5000~753万5000円。
一方、大きな違いを感じるのが装備設定。特に安全&運転支援装備の差は明確だ。主だったものを抜き出しても、現行型にはドライバー異常時対応システム、プロドライビングアシスト、安心降車アシスト、デジタルルームミラー、リモート機能付アドバンストパークといった、レクサスらしい上級機能が追加されている。衝突回避アシストや車両周辺監視モニターの機能向上も図られるなど、危険を回避する技術の進化も著しい。安全性能の底上げは購入する立場からすると心強いだろう。
車載IT関連は、現行型はメインモニターのサイズアップに加えて、細かな機能のアップデートも実施。先代にもGリンクやDCMは全車標準装着されていたが、デジタルキーなどが追加されて使い勝手が良くなっている。安全&運転支援機能ほどの変化ではないが、現行型の方が着実に実践的に使える仕様になっている。
先代の後期型で選べたのは2Lターボ車と2.5Lハイブリッド車の2つ。車両価格はターボ車が441万1000円~533万1000円、ハイブリッド車が505万1000円~597万1000円。いずれもスポーティな「Fスポーツ」と豪華内装の「バージョンL」を選ぶことができた。
【価格&コストパフォーマンス】中古車相場は割高感が否めない。納期は流動的だが、現行型を新車で狙うのが無難な選択
新旧の価格帯を比べると、エントリークラスの価格はさほど変わっていないが、上級パワートレーン車が追加されたこともあって価格帯は上がっている。
現行型は、「走り」も「装備」も大幅進化しているので、これからNXを検討するならば、素直に現行型を新車で購入することをオススメしたいが、本誌調べでは納車まで6か月以上というのが目安。ならば先代の高年式中古車も検討に入れたいというユーザーもいるだろう。
先代NXの後期仕様(2017年から2021年)という条件でレクサス認定中古車を探してみると、2Lターボ車で330万円〜、2.5Lハイブリッド車で360万円〜というのがひとつの目安。2021年前後の最後期の距離浅の個体ともなると、新車時の価格とさほど変わらない車両も見つかるほどだ。ここ数年続いている中古車の強気な相場の影響もあって、認定中古車の手厚い保証があることを考えたとしても、正直割高感が否めない。6か月以上という長い納期は気になるが、現行型のNXを新車で狙うことをオススメしたい。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(レクサス)
レクサスが次世代スポーツカーの未来像を提示 トヨタ自動車の高級車ブランド、レクサスは8月15日にカリフォルニア州で開催された「ザ・クエイル、モータースポーツギャザリング」にて、次世代のデザイン哲学を体[…]
クルマ好きの遊び心をくすぐるイエロー 特別仕様車「“Original Edition”」は、「Morizo Garage」をテーマに、東京オートサロン2024で展示されたコンセプトモデルを再現したモデ[…]
1900年初頭、石油ランプからアセチレンランプへ進化 ガソリンエンジンを搭載した自動車が実用化された初期の時代は石油ランプが用いられていた。1900年代に入ると炭化カルシウムと水を反応させて、発生する[…]
ブラックを基調としたカラーコーディネートが実施 今回設定される“F SPORT Mode Black Ⅳ”は、スポーティなデザインにさらに磨きをかけた特別仕様車。アルミホイールやステアリングなどにブラ[…]
「より鋭く、より優雅に」を追求すべく、一部改良を実施 今回の一部改良では、常に進化を続ける「Always On」の思想に基づき、LCの開発コンセプトである「より鋭く、より優雅に」を追求。具体的には、ド[…]
最新の関連記事(SUV)
人気のAMGスタイルで、1ランク上のモデルに仕上げた特別仕様車 メルセデス・ベンツGLBは、2021年に国内導入されたモデルで、究極のオフローダーであるGクラスからインスピレーションを受けたスクエアな[…]
WLTCモードでの燃費は21.5km/Lを達成 今回導入されるプジョー2008 GT Hybridは、新開発の1.2L直列3気筒ガソリンターボエンジンに、電動モーターを内蔵した6速デュアルクラッチ式ト[…]
NISMOロードカーの思想に基づいて開発された上級モデル エクストレイルNISMOは、情熱体験をもたらすグランドツーリングSUVをコンセプトに、「より速く、気持ち良く、安心して走れる車」というNISM[…]
タフな外観とサステナブルな内装 今回導入されるEX30 Cross Countryは、EX30の都市部での快適な走行性能や機能性をそのままに、ボルボのCross Countryの伝統を引き継ぎ、キャン[…]
大幅改良で、プレミアムツアラーとしてのキャラを強化 今回のマイナーチェンジでは、内外装のデザイン変更に加え、国内の日産車として初めてGoogleを搭載した最新のNissanConnectインフォテイン[…]
人気記事ランキング(全体)
防音断熱や車内クーラーなど車中泊仕様の基本装備が充実! RVビッグフットは埼玉県東松山市と北海道函館市に店舗を構えるキャンピングカー専門店で、自社開発のキャンピングカーのラインナップも充実。 バンコン[…]
何かと物騒なこの世の中、低コストで買える安心 車の盗難のニュースを目にするたびに、自分の車も被害に遭わないか心配になってしまう。筆者は高価な車に乗っているわけではないが、防犯対策をしておいて損はないは[…]
軽バンベースのキャンパーとは一味違う本格的な軽キャブコン モーニングワン キャンパー ジャストを販売するのは神奈川県愛甲郡愛川町にある新相武株式会社。トラック架装を得意とし、一方でキャンプ場の運営にも[…]
圧倒的な高性能ぶりでライバルを圧倒したN360だが、当時の世評は世知辛くて…… 1967年春にホンダが発売した軽自動車のN360は、レースでの活躍ですでに世界に名を轟かせていた同社の2輪車用をベースと[…]
最初期のヘッドライトは、灯油を燃やすランプ式 クルマにヘッドライトが装着され出したのは1890年頃です。初期の頃は灯油を燃やして光源としていました。その後明るさを高めたアセチレンガスを燃料としたランプ[…]
最新の投稿記事(全体)
人気のAMGスタイルで、1ランク上のモデルに仕上げた特別仕様車 メルセデス・ベンツGLBは、2021年に国内導入されたモデルで、究極のオフローダーであるGクラスからインスピレーションを受けたスクエアな[…]
専用カラーの「グリ マーキュリー」「エリクサーレッド」の2色を展開 今回導入される「C4 MAX HYBRID Edition Lumière」は、「C4 MAX HYBRID」をベースモデルにサンル[…]
WLTCモードでの燃費は21.5km/Lを達成 今回導入されるプジョー2008 GT Hybridは、新開発の1.2L直列3気筒ガソリンターボエンジンに、電動モーターを内蔵した6速デュアルクラッチ式ト[…]
室内空間と視界を改善。より親しまれるスーパーハイトワゴンに進化 新型「eKスペース」は、日常を安全・安心かつ快適に過ごせる「私の日常に安らぎが寄り添うクルマ」というコンセプトを踏襲し、全方位で進化。タ[…]
唯一無二の魅力をさらに磨いて、機能も大幅アップデート! デリカミニは、2023年5月に「eKクロススペース」の実質的な後継モデルとして誕生した、SUVルックが特徴の軽スーパーハイトワゴンだ。今回のモデ[…]
- 1
- 2