
アルファロメオ初のコンパクトSUVとして大きな注目を集めるトナーレ。2023年初頭には初の国内導入モデルとしてマイルドハイブリッド車が投入されたが、この夏、本命のプラグインハイブリッド(PHEV)車もデビュー。今回は、最新電動マネジメントと伝統のスポーツマインドが融合した新世代モデルの魅力に迫ってみたい。
●文:川島茂夫 ●写真:自家用車編集部
システム最高出力280PSを誇る、新世代のアルファロメオ
アルファロメオ
トナーレ プラグインハイブリット Q4 ヴェローチェ
価格:740万円
カーマニアというよりも、好事家向けと表現した方がしっくりとくる、最近のアルファロメオ。特に新開発FRプラットフォームを採用しているジュリアとステルヴィオは、新世代のアルファロメオと呼ぶにふさわしい、ファントゥドライブとプレミアム性を備えていると思う。
だが、ジュリアとステルヴィオだけでは、サイズや価格のハードルが高い。そこで誕生したのが、FFプラットフォームから開発された、コンパクトSUVのトナーレだ。
ステルヴィオに対して全長は160mm、全幅は100mmほどコンパクト。またエントリーグレード同士で比べると200万円ほど安く、サイズと価格の両面で、上位2モデルに比べると随分と手頃になっている。
それでいて内外装のデザインには、ステルヴィオと同じアルファロメオテイストがたっぷり。さすがに内装の作り込みや用いる素材感は車格差を意識させるが、アルファロメオの躍進を支えているモデルであることがすぐに理解できる。
電動サスの採用で乗り心地も良好。操る楽しさと普段使いの快適さを高いレベルで両立
今回試乗したのは、新たに追加されたPHEVモデル。環境性能基準ならアルファロメオのリーダーモデルでもあり、環境性能と走る悦びの融合の点でも興味深いモデルといえる。
パワートレーン構成は、180PSを発生する1.3Lターボと6速AT、それにリヤ側に128PSの駆動モーターを組み込む、パラレル式のハイブリッドシステムが採用されている。
72kmの満充電電動航続距離を持つことも見どころのひとつだが、興味深いのはシステム最高出力が280PSに達するということ。さっそく全開加速を試してみたところ、意外と穏やかなことに驚いた。正直、280PSの瞬発力とは思えなかったのだが、これは試乗車のバッテリーの蓄電量が不足していたため。仕組み的に十分な蓄電量が確保されていないと、自動的にナチュラルモードに切り替わり、電動ブーストが弱くなるらしい。
ハンドリングは少々切れ味を誇張気味だが、ジュリアやステルヴィオとよく似た操縦特性だ。試乗したヴェローチェは電子制御サスを装備することもあり、乗り心地に粗さはない。スポーティなダイナミックモードを選択しても同乗者を不快にさせる厳しい突き上げはなく、汎用性の高いフットワークだ。
スペックや機能を見れば電動マネジメントもしっかり考えられたPHEVなのだが、アルファロメオの魅力である走りの質感もしっかり追求しており、スポーツモデルらしい操る手応えも十分に感じられる。最新テクノロジーが宿ったとしても、アルファロメオを選ぶ意味を確認することができた。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(SUV)
佳き時代の面影を残す、ルーフラゲッジとスペアタイヤホルダーを特別装備 Gクラスはクロスカントリービークルとして誕生以来、基本的なスタイリングと堅牢なボディを保ちながら進化を続けており、2024年発表の[…]
「堂々・威厳」をデザインコンセプトに開発 このCR-V用純正アクセサリーは「堂々・威厳」をデザインコンセプトに開発。スポーティーで洗練された印象の「アーバンプレミアム」と、さらなる風格とタフな存在感を[…]
内装イルミで夜間の快適性を大幅に向上 今回の一部改良では、より上質な室内空間を目指して室内の造形や素材の美しさを際立たせる64色のイルミネーションを新規採用したインテリアイルミパッケージを導入。 さら[…]
究極のオールラウンダーとして開発された最上級SUV 6代目となる新型CR-Vのグランドコンセプトは「感動CR-V」。「SUVだから」という妥協を一切排除し、相反する価値である快適性・走行性・ユーティリ[…]
納車はFWDが2026年1月末、AWDが同年3月を予定 今回導入される「BYD SEALION 6」は、国内導入第5弾モデルであり、電気を主役にしたハイブリッドSUVとして投入される。 このモデルは、[…]
最新の関連記事(アルファロメオ)
ALFAアクティブサスペンションを特別装備 イタリア語で「強烈な」「情熱的な」「力強い」などを意味する “INTENSA” を冠したこの限定シリーズは、ゴールドのアクセントを施した外装やタンカラーのア[…]
アルファ ロメオの情熱と美学を体現する限定モデル 「INTENSA」は、イタリア語で「強烈な」「情熱的な」「力強い」といった意味を持つ、アルファロメオの情熱と美学を象徴するモデルネーム。欧州では今年2[…]
コストパフォーマンスに優れた、本格スポーツセダン アルファロメオ・ジュリアは、ブランドの象徴であるトライローブグリルや流麗なボディライン、優れたハンドリング性能を兼ね備えた、イタリアンスポーツセダンの[…]
電動パワートレーンを採用したアルファの新エントリーモデル スポーツマインドをくすぐる流麗なエクステリア 今回導入されるアルファロメオ「ジュニア」は、スポーツカーの精神を受け継ぐコンパクトSUV。車名の[…]
走りの魅力はそのままに機能装備を絞り込むことで、リーズナブルなプライスを実現 2018年に国内デビューして以来、卓越したスポーツ性能の高さと先鋭的なイタリアンデザインで人気を集めているSUV「ステルヴ[…]
人気記事ランキング(全体)
固着したネジが動かない…作業を止める小さな“壁” どれほど簡単な整備手順でも、一本のネジが固着しているだけで作業は急に難しくなる。サビが食い込み、雨ざらしのボルトが内部で膨張し、樹脂パーツとの隙間に汚[…]
わさびを主成分とした抗菌剤で、エアコン内部のニオイを抑制 エアコンフィルターに装着して除菌消臭効果を格段に向上させるという製品が、自動車部品のグローバルメーカーValeoのわさびデェールだ。この製品は[…]
冬のエアコンは“いきなり全開”が一番ムダになる理由 冬の朝は車内が冷え切り、シートもハンドルも硬く感じる。そんな状況で暖房を思い切り上げてしまうドライバーは少なくない。しかし、暖房はエンジンの排熱を利[…]
なぜLEDライトは雪を溶かせないのか? LEDヘッドライトが普及の中心に座り始めて久しい。高い光量と応答性、寿命の長さなど、多くのメリットがあることは自動車好きなら説明不要だろう。しかし冬の寒さが深ま[…]
予想外のトラブルに備える、小さな“安心材料” クルマに乗っていると、どれだけ用心していても避けられない出来事がある。釘を踏み抜くパンクや、走行中の異物接触、さらには路肩での急な停車など、経験した人なら[…]
最新の投稿記事(全体)
目玉の「ミゼットX 大阪Ver.」には、ダイハツの地元を象徴する大阪城マークを採用 出展テーマは“わたしにダイハツメイ。小さいからこそできること。小さいことからひとつずつ。”とし、「わたしにぴったり」[…]
BEVでも「走りの楽しさ」は深化できる このモデルはマスタードライバーを務めるモリゾウ(豊田章男会長)の「クルマ屋が残していくべき技術・技能を次の世代に受け継がなければならない」という強い想いのもと、[…]
モータースポーツを起点とした「もっといいクルマづくり」を結集 今回、TGRが発表した2台のハイパースポーツは、TGRが目指している「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を深化させ、GR[…]
トヨタのレジェンドモデルが高速走行を繰り広げる! 今回発表された「GR GT」は単なる新しいスポーツカーではない。TOYOTA 2000GT、Lexus LFAと続いてきた系譜を継ぐ、トヨタの思いが込[…]
固着したネジが動かない…作業を止める小さな“壁” どれほど簡単な整備手順でも、一本のネジが固着しているだけで作業は急に難しくなる。サビが食い込み、雨ざらしのボルトが内部で膨張し、樹脂パーツとの隙間に汚[…]
- 1
- 2



























