誰しも一度は耳にしたことがあるであろう、消防車のサイレン音。「ウ~ウ~ウ~」や「カンカンカン」といった音をイメージする人が多いと思いますが、実はこのサイレン音の違いには大きな意味があり、状況によって使い分けられていると言います。いったい、どのように使い分けているのでしょうか。
●文:月刊自家用車編集部
使い分けには意味がある!サイレン音の違いとは
消防車をはじめとした緊急車両のサイレンは、非常事態を知らせる重要な役割を果たしています。しかし、日常の中でサイレンを耳にする機会は多くても、その違いを理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。
実は消防車のサイレンは、出動内容が火災/火災以外かで使い分けられています。たとえば救急支援/救助出動など火災以外の場合は「ウ~ウ~ウ~」のサイレンのみ。そして火災出動の場合、「ウ~ウ~ウ~」のサイレンと「カンカンカン」の警鐘を交互に鳴らしています。
2つの音の使い分けを理解することで、周囲でどんな災害が起きているのかを素早く判断できるようになりそうです。もし街なかで消防車のサイレン音が聞こえてきたら、意識して耳を傾けてみましょう。
ちなみにサイレンの音量については道路運送車両の保安基準49条1項で定められており、「車両の前方20メートル、高さ1mの位置で90dB以上120dB以下であること」が条件とされています。緊急時は周囲に知らせることが大切なので、他の騒音にかき消されないレベルのサイレン音が必要というわけです。
また、消防車が緊急走行するためには、「サイレンを鳴らし、かつ、赤色の警光灯をつけなければならない」と道路交通法施行令第13条及び14条で定められています。したがって、サイレンが鳴っておらず赤色灯の点灯もしていない消防車は、緊急車両ではなく公用車の扱いになるようです。
パトカーや救急車など、他の緊急車両のサイレン音も使い分けられている?
私たちの日常では、消防車だけでなくパトカー/救急車などの緊急車両のサイレン音を耳にすることもありますが、パトカー/救急車のサイレン音も、消防車のような大きな違いはないものの状況によって使い分けられていることをご存知でしょうか。
まず救急車は、どんな災害であっても「ピーポーピーポー」というサイレン音を鳴らして走行します。しかし、交差点の進入時など周囲へ注意を促す必要がある場合は、「ウ~」という音に切り替えると言います。
近くで鳴っているサイレンの音に耳を傾けて、スムーズな救助活動に協力しましょう。また、最近では通常の「ピーポーピーポー」よりも音量が小さいサイレンを使用していることもあるようです。これは、主に夜間/住宅街などで周囲の人へ配慮するために使用されますが、「サイレンを鳴らさずに来てほしい」と通報があった際に、周囲への支障がないと判断されれば使用されるケースもあります。
ただし、消防車と同様に緊急走行時はサイレンを鳴らして赤色の警光灯をつけることが義務づけられているので、サイレンを鳴らさずに現場へ来てもらうことはできません。緊急車両のサイレンは、いち早く安全に現場へ向かうための大切な役割を担っていることを忘れないようにしましょう。
次に、パトカーのサイレンは「ウーウー」という高めの音が特徴で、主に犯罪現場への急行や追跡の際に使用されます。緊急事態が発生した際に、市民に対して注意喚起を行い、安全を確保することもサイレンの重要な役割です。
基本的にパトカーのサイレン音は1種類だけですが、出動時は手動/自動を使い分けています。手動は、パトロール中に違反者を見つけて警告するときなど。そして自動は、今いる場所から通報のあった現場へ急行する際などに使用されるようです。
このように、消防車/救急車などの緊急車両は、状況に応じてサイレンを使い分けています。
サイレン音はただの警告音ではなく、それぞれの状況に適した重要な意味を持っています。サイレン音の違いに関する知識を持つことで、緊急時にどのような対応をすべきか理解し、より安全な行動が取れるようになるはずです。
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