
クルマに新たな技術が導入されることで、ドライバーだけでなく周囲の安全も強化されています。その一環として注目を集めているのが、バックモニター装着の義務化。バックモニターとは、車体の後方の映像をモニターに映し出すことで、後退時に人/障害物がないかを確認するのに役立つアイテム。自動車の安全基準に関する議論が進む中、新たな基準としてこのバックモニターの装着義務化が決まりました。とはいえ、今乗っているクルマにバックモニターを装着していない人の中には、急に法律が変わることに戸惑いを隠せない人も多いでしょう。では、具体的にいつからバックモニターの装着が義務化されるのでしょうか? また、すでに運転しているクルマにも後付けが必要なのでしょうか?
●文:月刊自家用車編集部(ピーコックブルー)
バックモニターを付けることで、事故リスクが下がるのは間違いない
そもそも、バックモニター装着義務化の動きについては、自動車基準調和世界フォーラム(WP29)での議論を経て、「後退時車両直後確認装置に係る協定規則」が採択されることにより加速しました。
実際、バックモニターの装着が義務化されることで、後退時における事故のリスクが大幅に低減されることが期待されています。
狭い場所での車庫入れや多くの歩行者がいる地域での後退時などにおいては、ドライバーが見落としやすい死角をカバーしてくれることでしょう。
そして2021年6月に施行された「後退時車両直後確認装置に係る基準」により、バックモニターの装着が自動車の安全基準に組み込まれました。
この新基準は、バックモニターで自動車の後方を確認しやすくすることで、後退時の事故リスクを減少させることを目的としています。
バックモニター義務化の背景には、クルマの後退時に子どもや高齢者を巻き込んでしまう痛ましい事故が多発していることが関係しています。
国土交通省や交通事故総合分析センターから発表されたデータでも、後退時の事故が多発していることが挙げられており、いずれもドライバーの後方確認の不足から起きているそうです。
2024年5月以降、バックモニター非装着の新車は販売不可に
そして、後退時の巻き込み事故を防止するために、新型車に対しては2022年5月からバックモニターの装着が義務付けられました。
なお、継続生産されている既存モデルについては、2024年5月からこの規制が適用されました。
バックモニターの装着義務は、おもに自動車メーカーに対する規制であり、自動車メーカーが新しいクルマを市場に出す際、バックカメラを搭載することが法的に要求されるということです。
すでに市場に出ているクルマに対して後付けを義務付けるものではないため、慌ててバックモニターを購入し、装着する必要はないそうです。
アフターパーツマーケットでも、バックモニターの需要は上昇中
しかしながら、バックモニターは後方の人や障害物を確認できる便利なアイテムなので、安全性の向上を図るためにも、既存のクルマに後付けで装着することが推奨されています。
また、装着が義務付けられたことにより、バックモニターの需要が高まり、市場での価格が高騰したり、品薄になったりすることも考えられるため、早めに装着しておいたほうがよいとも言えるでしょう。
バックモニターは自分で取り付けることもできますが、配線作業や自動車パーツの着脱などが伴うため、クルマの電気系統に関する知識がない人は民間の整備工場などに依頼するのがおすすめです。
このように、バックモニターの義務化は私たちの運転環境をより安全なものに変える重要なステップと言えます。
この義務を課されるのは個人ではなく自動車メーカーですが、自身の事故防止だけでなく、巻き込み事故による被害者を減らすことが何よりも大切なので、もしまだ装備していないのであれば、安全性向上のためにも装着を検討したほうがよいでしょう。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(クルマ雑学)
駐車場での事故はなぜ起きるのか どれほど気をつけて運転していても、駐車場という空間は事故のリスクが潜んでいる。狭い区画、頻繁な入れ替わり、多様なドライバーの技量が混在する環境では、小さな不注意がそのま[…]
実験車はコラムシフトのトヨタ ビスタ! 今回用意したクルマはトヨタのビスタ。最近ではあまり見ないコラムシフトのクルマだ。ビスタは、DレンジからPへの操作量が長くとられているので、相当なおバカさんでない[…]
洗車してもツヤが冴えない本当の理由 どれだけ丁寧に洗車しても、どこかボディがくすんで見える。ワックスをかけても、思ったほど光沢が出ない。そんな状態に心当たりがあるなら、塗装表面に鉄粉が刺さっている可能[…]
給油中に気づく違和感と、キャップを巡る小さなストレス 給油という動作は、慣れてしまえば機械的にこなしてしまう作業だ。セルフ式スタンドの普及で、自らノズルを握る機会は確実に増えた。ところが、燃料キャップ[…]
なぜLEDライトは雪を溶かせないのか? LEDヘッドライトが普及の中心に座り始めて久しい。高い光量と応答性、寿命の長さなど、多くのメリットがあることは自動車好きなら説明不要だろう。しかし冬の寒さが深ま[…]
人気記事ランキング(全体)
運転中に荷物が崩れる瞬間が、思った以上に危険な理由 クルマでの買い物は便利だが、ラゲッジに積んだ荷物が走行中に倒れる問題は意外と深刻だ。発進時やカーブで荷物が動く音が聞こえるたび、無意識に注意がそちら[…]
車種専用設計だから、ピッタリ装着。見た目にも違和感なし カーメイトと言えば、使い勝手の良い様々なカーグッズをリリースしており、多くのユーザーから評価されているブランドとして知られている。今回紹介するの[…]
「Z」と「アドベンチャー」専用プログラムを用意 今回導入される新型RAV4のモデリスタパーツは、「Z」と「アドベンチャー」のおのおののグレードに対応する専用プログラムが設定される。 「Z」向けのエアロ[…]
駐車場での事故はなぜ起きるのか どれほど気をつけて運転していても、駐車場という空間は事故のリスクが潜んでいる。狭い区画、頻繁な入れ替わり、多様なドライバーの技量が混在する環境では、小さな不注意がそのま[…]
クルマの内窓掃除が面倒になる理由はクルマの進化にあった 車内のガラス掃除は、外装洗車に比べて軽視されやすい。しかしフロントガラス内側の汚れは、夜間や逆光時に視界を大きく損なう要因になる。にもかかわらず[…]
最新の投稿記事(全体)
2026年は、日本市場における新エネルギー車展開の元年 BYDは、2026年を日本市場における新エネルギー車展開の元年と位置づけ、その幕開けに相応しい全6モデルの展示を行う。 具体的には、2025年1[…]
●SUBARUならではのPerformanceシーンの具現化 今回のテーマは、SUBARUのアイデンティティのひとつ、Performanceシーンを際立たせること。いつの時代も「Different」な[…]
いつもの車内が極上のエンタメ空間に大変身! 車載ディスプレイでYouTubeやNetflixが見られたら、どれほど快適だろうか。それを手軽に実現してくれるのが、「U2KIT」(カーエンターテイメントア[…]
「特振法」に対抗して開発されたT360は、本田宗一郎の肝入りで進められた ホンダT360は、1963年8月に発売された、本田技研工業(ホンダ)にとって初めて市販された四輪自動車。二輪メーカーとして世界[…]
oplus_0 車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推し進めている「RVパーク」とは「より安全・安心・快適なくるま旅」をキャンピングカーなどで自動車旅行を楽し[…]
















