[おいおいソレはダメでしょ]エンジンオイル点検でやりがちなNG行為。正しい方法を解説

カーオーナーとしては、マイカーの状態を把握して、故障や事故の要因を早めに発見して、重大な事態となる前に対応しておきたいもの。そこで今回は、エンジンオイルとATFの点検方法について解説しよう。

●写真/文:オートメカニック編集部

正しい点検方法で、愛車の状態をしっかりとチェック!

愛車の点検、最低限は自分でもできるようになっておきたい。そこでまずは、エンジンオイル/フルードの点検なのだが…。「規定量入っているか見るだけでしょ?」なんて言ったのは誰デスカ? 確かに、規定量入っていることはとても重要だ。しかし、それだけではない。そもそも、フルードがホットかクールかや、エンジン稼働時か停止状態なのかなど、点検するものによってアプローチ方法が異なってくる。その辺をハズした点検は、全くもって意味がない。

また、足りない場合に、単に注ぎ足せばいいジャン!という考え方は、これまたナンセンス。クルマのオイル/フルードは、若干の蒸発やオイル消費を除き、基本的に大きく減ることはない。つまり、短期間に大量に減るような状況というのは、注ぎ足すというより故障の可能性を疑うベキなのである。では、実際のやり方を解説していこう。

似て非なる両者の点検方法「エンジンオイル・ATF」

エンジンオイルの点検は、水平な場所に車両を停車させて、かつ、必ずエンジンを止めて行うのがセオリーだ。坂道など斜めになった場所で行うと、正確な点検が行えないのでNGだ。また、エンジン停止直後の場合は、2~3分おいてから点検を開始するのがセオリー。これには、オイルがオイルパンに戻るのを待つという意味がある。

オイル/フルードは水と同様、温まると体積が膨張するが、エンジンオイルの場合は量がそれほどではないので、特に指定がない限り、熱いか冷えているかは気にする必要はないだろう。ただし、ATFに関しては、熱い状態なのか冷えている状態なのかがとても重要となる。また、ATFの場合はエンジンを始動した状態で点検する点も、エンジンオイルの点検方法と異なるので、下で説明する“ATF 点検時の儀式”を、しっかり読んで実行してほしい。

【ATFとは?】
オートマチックトランスミッションフルードを略してATF。一般的にはオートマオイルとも呼ばれる、自動変速機用のオイルを意味する。

点検ポイント

エンジンオイルそしてATF(オートマオイル)の点検ポイントはどこなのか? それぞれ見ていこう。

【ATF】
FR車のレベルゲージはバルクヘッド(エンジンルームと室内の境)付近などエンジンルームの奥の方で、FF車ではケースバイケース。とにかく、ミッションにつながっていれば間違いない。

【エンジンオイル】
点検頻度の多いエンジンオイルのレベルゲージは、比較的目に付くポイントにある。絶対とはいえないが、最近のクルマはノブが黄色になっているものが多い。

点検のプロセス(エンジンオイル/ATF共通)

まずは、エンジンオイル点検とATF点検の共通の作業から解説していこう。点検用のゲージを引き抜き、まずは一度ウェスで拭ってから再び奥まで押し込む。ここで注意が必要なのが、特にATFの点検ではケバ立たないキレイなウェス以外は使用厳禁!

まずはゲージを引き抜きウェスで拭き取る。そして奥まで戻してから、レベルゲージを読み取る。

再度引き抜いてレベルゲージに付着したオイル量を読みとる。エンジンオイルは汚れ具合で劣化度を判断するのは難しいが、ATFはその辺もチェックするとよいだろう。

レベルゲージの見方

次に、引き抜いたレベルゲージの見方をそれぞれ解説していこう。まずは、エンジンオイルのレベルゲージの見方から。

【エンジンオイルの場合】
ゲージの先端には上限と下限のマークがあり、その範囲内であればOK。下限以下はもちろんだが、上限を越えている場合もオイル上がりやフリクションロスを紹くので問題だ。

【ATFの場合】
ATF 点検はホットレベルで行う。図の適正範囲内にあればOKだが、万一、量が少なく注ぎ足す場合は、純正フルード(または入っているものと同じ銘柄)をチョイスするのが無難だ。

ATFは汚れ具合もチェックする。国産車のATFは通常赤色だが、墨汁のように黒く変色している場合は、劣化している可能性が高い。

※写真はモノクロです。

重要。ATF点検時の儀式「エンジンはかけたまま!」

ATF の点検はエンジンを始動したまま、かつ、完全暖機状態で行うのが一般的なので、30分以上走り回ってから点検する。ただし、“冷間時にエンジンを止めた状態で行う”としている車種(ホンダ車)やレベルゲージがなく点検できない車種もある。

エンジンを始動した状態でプレーキを踏み、ギヤを各ポジションへゆっくり順番にシフトしていき、再びPまでもどしてから点検を行う。上記のエンジン始動&完全暖機状態で点検を行う車種では、この儀式も忘れてはならない。

クルマのメンテナンステクニックも満載の臨時増刊号

本記事は、オートメカニック特別編集の臨時増刊号『クルマのDIYガイド 工具&道具の正しい使い方』に掲載されているものから抜粋・加筆している。同書には、役立つDIYテクニックが満載なので、興味のある方は是非、手にとって見てほしい。