
日産は高性能SUV「パトロールNISMO」をSUPER GTのファーストレスキューオペレーション車両として投入すると発表した。495HPのNISMOモデルが担うのは速さではなく初動対応。レースの現場で求められる役割と、ブランドの使われ方が変わり始めている。岡山国際サーキットで開催される2026年シーズンの第1戦よりFRO車両として使用され、決勝が行われる4月12日には、同サーキットにて贈呈式が行われる。
●文:月刊自家用車編集部
495HPの余力が意味するもの
「SUPER GTシリーズ」ファースト・レスキュー・オペレーション(FRO)車両 新型「パトロール NISMO」
パトロールNISMOは3.5L V6ツインターボをベースに専用チューニングを受け、495HP/700Nmを発生する。数値だけ見れば大型SUVとしては過剰だが、この余力こそがポイントになる。
アクセルレスポンスや高負荷時の安定性、連続使用を前提にした制御。スペックの高さは速さのためというより、“確実に動き続けるため”のものだ。
専用サスペンションやボディ剛性の強化も同じ方向を向く。単純なハイパワーSUVではない。状況に左右されず機能するための仕立てだ。
最初に現場へ入るクルマに求められるもの
SUPER GTのファーストレスキューは、事故発生直後に現場へ入る最初の一台だ。ここで対応が遅れれば、その後のすべてに影響する。
必要なのは最高速ではない。どんな状況でも迷わず入っていけること。路面状況が変わっても、障害物があっても、確実に到達できることだ。
四輪駆動と大トルクの組み合わせは、そのためのものだと考えると腑に落ちる。速さではなく到達性。今回の選定はそこを優先した結果だ。
先代Y62からNISMOへ 正常進化としての世代交代
「SUPER GTシリーズ」ファースト・レスキュー・オペレーション(FRO)車両 新型「パトロール NISMO」
これまでFRO車両を担ってきたのは、先代パトロール(Y62型)だった。高い走破性と信頼性を背景に、レース現場の初動対応を支えてきた実績がある。
今回のNISMO仕様への切り替えは、役割そのものを変えるものではない。あくまで同じ思想の延長線上にある世代交代だ。
ただし、その中身は確実に進化している。より高い出力と制御性能、より安定した走行能力。求められる基準が一段引き上げられたと見るべきだ。
その流れでSUVが選ばれたのは自然な判断だ。視界、走破性、積載性。レスキューという役割で見れば、必要な要素はむしろこちらに揃う。
NISMOは“速さ”だけのブランドではなくなった
今回の起用で見えてくるのは、NISMOの使われ方の変化だ。速さを象徴するブランドという位置づけから、一歩外に出てきた。
レースの現場で求められるのは最速ではない。確実に仕事を果たすこと。その条件にNISMOが選ばれたという事実は重い。
耐久性や信頼性まで含めた総合性能。その裏付けとしてのNISMO。意味合いは明らかに広がっている。
救助車両に現れるモータースポーツの本質
レースは速さを競う場である一方、安全を前提に成立している。どれだけ速くても、支える側が機能しなければ成り立たない。
レスキュー車両は目立たないが、最も現場に近い存在だ。そこで求められるのはスペックではなく、確実に動くこと。
先代Y62から受け継がれた役割を、NISMOが担う。その流れ自体が、いまのモータースポーツの価値観をそのまま映している。
「SUPER GTシリーズ」ファースト・レスキュー・オペレーション(FRO)車両 新型「パトロール NISMO」
NMC社長兼CEOの真田 裕氏は、「新型のY63型パトロール NISMOは、私たちのモータースポーツ部門の技術と、カスタマイズ部門の技術が一体化した、まさにNMCを象徴するモデルであり、SUPER GTのFRO車両としてご提供できることを大変光栄に思います。卓越したパフォーマンスと信頼性は、レース現場での迅速な救助活動に確かな貢献をもたらすと確信しています。これまで長きにわたりFRO車両として活躍したY62型パトロール NISMOからバトンを引き継ぎ、世界最高峰のGTカーレースであるSUPER GTを支えて参ります」とコメントしている。
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