
交通渋滞は、多くのドライバーを悩ませる問題のひとつ。とくに夏季はお盆の長期休暇や帰省シーズンと重なり、高速道路を利用する人が増加するため、渋滞が絶えません。また、工事による車線規制や、事故による一時的な通行止めは、交通の流れを大きく乱す要因です。さらに、大雨/霧などの悪天候はドライバーの視界を狭めるため、速度を落とさざるを得なくなり、渋滞につながっていきます。このようにさまざまな要因によって引き起こされる交通渋滞ですが、どうにかして回避する方法はないのでしょうか?
●文:月刊自家用車編集部(ピーコックブルー)
自然と速度が落ちていく場所が、大渋滞のスタート地点
お盆シーズンは、長期休暇と相まって帰省や行楽地へ向かうクルマで大渋滞となるのが恒例です。どうしても出かけなければいけないなら、なんとかこの渋滞を回避する方法はないものでしょうか。
この時期、クルマの流入数が集中するため渋滞が引き起こされるわけですから、「渋滞している路線を回避することが一番の解決方法です」と、ひと言で言ってしまえばそれで終わってしまうのですが、現実はそう簡単なものではないですよね。車載ナビが普及している今、迂回ルートすら渋滞してしまい万事休すとなってしまいがちです。
渋滞回避についてお話しする前に、そもそも渋滞発生のメカニズムとはどうなっているのでしょうか? このメカニズムを知れば、多少なりとも渋滞発生個所を察知することができ、回避ルートや走行車線の選択に役立つのではないかと思います。
渋滞発生地点についてよく知られているのは、上り勾配/合流部/トンネル/サービスエリア入口付近などです。いわゆる自然渋滞と言われる渋滞メカニズムです。これに工事/事故や故障車など人為的な要因も加わわれば、さらに大渋滞を引き起こすわけです。したがって、まずは道路交通情報を細かくチェックして、どこで渋滞が発生しているのか、工事/事故や故障車が発生していないかなどを知ることが必要です。
そして、迂回ルートがあるならば、そちらの渋滞状況をチェックしながら別ルートを選ぶことも大事です。(自然)渋滞ポイントはだいたい決まっていますので、その地点を避けることができれば渋滞をパスすることができるはずです。
ただし、お盆シーズンともなると、先に話した通りクルマの流入数が激増するため、迂回ルートも混雑することは必至です。となると、どうすればいいのでしょうか。
クルマが集中する時間に渋滞の名所は走らない、これに勝る対処法はなし
出発する時間帯を渋滞ピーク時間からずらすことができれば、大渋滞を避けられる可能性が高くなります。とくにオススメは深夜帯(※一部区間では日によって深夜帯の渋滞予想があります)。この時間に渋滞の名所と呼ばれる場所を通過できれば、大きな渋滞に巻き込まれなくて済むでしょう。
最近はこうした時間帯をずらして出発し、途中のサービスエリアなどで仮眠をとる、といったドライバーも多くなっています。夜中でもSAやPAが大混雑といった現象が生じているようです。深夜走行でも、トイレ休憩などは早め早めに取ったほうが安心でしょう。
道路上に設置されている電光掲示板は常にチェックすべし
また、電光掲示板も渋滞回避の強い味方。高速道路上に設置された電光掲示板には、天気情報/交通安全などの注意喚起のほか、事故/工事/渋滞に関する情報も掲示されています。たとえば、「5キロ先 渋滞4km」「大津-京都南 事故渋滞7km」のように、特定のエリアで渋滞が発生していることを確認できます。
渋滞表示の距離や時間の後ろに、赤/緑の三角マークが表示されることがあります。この色分けには意味があり、赤の三角マークは「渋滞が増加傾向にある」ことを表し、緑の三角マークは「渋滞が縮小傾向にある」ことを表しています。この三角マークはルート選択の指標となり、「赤の三角マークが表示されているから高速を降りて一般道を走ろう」「緑の三角マークだからこのまま進もう」といった判断を下せるようになります。
ただし、すべての高速道路で同じ表示が導入されているわけではないため、緑の三角マークがなかったり、そもそも三角マークの表示がなかったりと、地域や道路状況によって異なる場合もあります。なお、この三角マークが導入され始めたのは10年以上も前で、首都高速道路では2006年から、阪神高速道路では2011年から表示されるようになったそうです。NEXCO東日本/中日本/西日本でも導入されており、一部の地域でこの表示を見ることができます。
渋滞そのものを解消するためには、ひとりひとりの心がけが必要
ちなみに渋滞回避において、これらの案内/ツール/事前知識などは大いに役立ちますが、渋滞を減らすための運転を意識することも大切です。まず、混雑しやすい道路では“スローイン ファストアウト”を心がけましょう。渋滞に入るときは早めにアクセルから足を離し、動き出すときは素早く加速することで、後続車両の流れを妨げることなく、交通の滞留を防ぐことができます。
また、“早めの合図”も重要なテクニックのひとつ。進路を変える際は早めに合図を出し、周囲の車両に十分な反応時間を与えることで、突発的な車線変更による事故や渋滞の発生リスクを抑えられます。
ひとりひとりが渋滞を減らすための運転を実践すれば、より快適なドライブ環境を実現できるでしょう。このように、渋滞回避にはさまざまな方法があり、事前の情報収集/出発時間の調整/混雑ルートの回避/電光掲示板の活用などが効果的です。
完全な渋滞回避は難しいかもしれませんが、これらの方法を組み合わせることで、渋滞に巻き込まれるリスクを大幅に減らすことができるはずです。重要なのは、ひとりひとりのドライバーが渋滞回避に対する意識を高め、責任ある行動をとること。これからの行楽シーズンを快適に過ごすためにも、今回紹介した渋滞回避のテクニックを積極的に活用し、安全で円滑な交通の実現に貢献しましょう。
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