トヨタ、ジャパンモビリティショービズウィーク2024にてポータブル水素カートリッジやスイープ蓄電システムを展示

トヨタは、10月15日に開催されたジャパンモビリティショービズウィーク2024にて「持続可能な未来づくり」に貢献する取り組みとして、カーボンニュートラルに関する技術を出展した。

●まとめ:月刊自家用車編集部

トヨタが目指す持続可能な未来づくり

トヨタは、ジャパンモビリティショービズウィーク2024に「ポータブル水素カートリッジ」や「スイープ蓄電システム」を出展。それを通じて、スタートアップや他企業との新たな仲間づくりに加えて技術革新の取り組みを強化していくという。

水素社会の実現に向けた「ポータブル水素カートリッジ」

今回出展されたポータブル水素カートリッジは日本初公開となる。これまで人の手では、持ち運びが難しかった水素タンクをトヨタがFCEVで培ってきた水素貯蔵技術を応用し、持ち運び可能なサイズに小型&軽量化。

・容器種類:プラスチックライナー製一般複合容器・体格:直径約200mm、全長約580mm、容量4.7L・質量:約8.5kg/本(容器部分 約5kg、バルブ2kg、他1.5kg))・使用圧力:0.65~70MPa(国内)・燃料電池システムでの発電時のエネルギー量:3.3Kwh※(日本仕様)※1本あたり、一般的な家庭用電子レンジが約3~4時間運転できる電力量を想定

小型&軽量な設計により、水素を人の手で持ち運ぶことが可能に。さらに、小型の車両や小型モビリティに搭載が可能となっており、モビリティを始め、生活の様々なアプリケーションで使用できるよう汎用性の高い仕様(カートリッジ型)となっている。

これまでは困難であった水素タンクの持ち運びを、水素貯蔵技術の応用により可能に。

このポータブル水素カートリッジは、2021年秋にプロトタイプの開発がスタート。2024年7月には、パリオリンピック・パラリンピックにて、カーゴバイクに搭載したFCシステムに水素をシームレスに供給する実証実験を実施している。

また、ポータブル水素カートリッジの出展にあわせて、「水素調理器」も展示された。水素調理器は、水素を燃焼させ調理用途に使用する取り組みとしてリンナイ株式会社と共同開発したという。

水素利活用の1つの事例として、展示された水素調理器。

水素調理器で調理した食材。

再エネマネジメント「スイープ蓄電システム」

出展された「スイープ蓄電システム」は、トヨタ独自の電池制御技術である「スイープ技術」を使って、中古の電動車用電池を蓄電システムに活用する仕組みだ。

* 直列に繋いだ各電池の通電と非通電をマイクロ秒の速さで切り替えることで、各電池からの充電・放電を直流・交流で任意に制御する技術

種類や劣化度の異なる様々な中古電池を再利用して、それぞれの電池に残された蓄電能力を最大限発揮することができ、電力の安定供給と再エネの普及に貢献。

中古の蓄電池に残された能力を最大限に発揮し、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、そして、電動車のサステナビリティ向上に貢献する。

さらに、交流/直流変換装置の削減による設備コストの低減、電力変換時のエネルギーロスの低減、システムを稼働したまま劣化した電池交換が可能。運営面でのコスト低減にもつながるという。

「スイープ蓄電システム」は、2018年に中部電力(現JERA)とリユース・リサイクル事業の実証を開始し、2022年には、JERA四日市火力発電所にて中部電力パワーグリッド株式会社の規定を満たした上で、電力系統へ接続。系統用蓄電池として利用されている。

液体水素エンジンGRカローラ

自工会との合同展示ブースでは、国内外の耐久レースに参戦している液体水素を燃料とする液体水素エンジンGRカローラが展示された。

モータースポーツの現場を通じて、クルマと人を鍛え、産官学の仲間と共にカーボンニュートラルの実現に向けた挑戦と進化を続ける取り組みとしてレース参戦車両を展示。

2021年当初は、気体水素を燃料としていたが、2023年より燃料を液体水素に。

水素エンジンGRカローラの水素タンク 左:旧型の円筒形タンク 右:新型の異形(楕円形)タンク

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