スズキが発売する新型フロンクスは、走りの質の追求に加えて上級内装&充実装備が与えられたことで、1ランク上をアピールしているコンパクトSUV。そんなキャラ付けもあってかスタート価格は254万1000円からと、ライバルよりも割高と感じてしまうかもしれない。だが、じっくりとクルマの中身を吟味していくと、むしろお買い得なのでは?と感じる部分が多いことに気づくはずだ。ここでは新型フロンクスの見逃せない強みをピックアップしてみたい。
●文:横田晃
日本メーカーのモデルでも、生産は海外というケースが増えている
いまや日本車は、世界中の工場で作られています。
そうなる理由の一つとして挙げられるのは、売れる市場に近い場所で作ることで輸送などのコストが抑えられるうえに、為替レートの変動や貿易摩擦などの政治的なリスクも緩和でき、現地の経済や雇用にも貢献できるなど、多くのメリットがあるからです。
そんなグローバル化が進んだこともあって、最近では海外生産車を輸入して日本国内で販売する例も増えています。1980年代後半にアコードクーペやワゴンなどの、当時の日本国内では需要の少ないタイプの北米生産車が輸入されて、個性的な日本車として話題を呼んだのが始まり。
現在販売中の、タイで生産されたトヨタハイラックスや三菱トライトンなどの大型ピックアップもそのパターンです。
さらに、人気のカテゴリーにリーズナブルな価格で新型車を導入するためにも、アジア圏で生産されたモデルが活用されるようになってきました。2024年10月16日に発売されたスズキの「フロンクス」も、インドで生産されて日本に輸入されるコンパクトSUVです。
インド生まれのフロンクス、日本に導入されるのは上級仕様のみ
スズキは1983年12月からインドでの四輪車の生産を開始し、2024年3月末には累計3000万台の生産を達成。スズキのクルマはトップシェアを誇るインド国内で販売されるだけでなく、アジア圏を中心とする各国に輸出もされています。
今回発売されたフロンクスもそんな役割を期待されるスズキのグローバルモデルのひとつ。海外から日本国内に輸入されるモデルとしては、2016~2020年まで輸入されていたコンパクトカーのバレーノに続くモデルとなります。
車格面や価格面に加えて、インド生産のコンパクトSUVという理由もあって、ホンダのWR-Vが一番のライバルと目されています。WR-Vは2024年3月から国内導入されており、200万円少々からという価格のインパクトもあって人気になっています。
対するフロンクスの価格は、2WD車が254万1000円、4WD車は273万9000円。この価格だけを見てしまうと「あれ、高いんじゃね?」と思ってしまうかもしれませんか、よくよく見るととんでもなくお買い得なのです。
ライバルのWR-Vよりも高めに思えるが、性能&装備の充実ぶりを考えると、実はお買い得
まず、内外装の仕立て。造りが国内工場製と遜色ないのは今や当たり前ですが、フロンクスはヘッド&テールランプからターンランプ、リヤコンビランプやライセンスランプまで、灯火類はすべてLED。インテリアでも、本革巻きステアリングにパドルシフト、ステンレス製ペダルプレートやレザー調ドアトリム&アームレストなど、高級車を思わせる造りです。
ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた高精度の自動ブレーキシステムに、全車速追従機能・停止保持機能付きアダプティブクルーズコントロールも全車に標準。スマートフォン連携メモリーナビやワイヤレス充電器、シートヒーターなど、およそ欲しい装備が全部入りでの価格なのです。
パワートレーンは1.5Lのガソリンエンジンに3.1PSのモーターを組み合わせたマイルドハイブリッド。トランスミッションは6速のATで、機敏な走りが楽しめるスポーツモードまで搭載されています。
日本仕様のみに用意された4WD車には、スノー、グリップコントロール、ヒルディセントコントロールの3モードも用意。高い走破性を誇ります。WR-Vには2WDしかなく、オーディオ/ナビもレス仕様が標準であることを考えると、魅力的なアドバンテージといえるでしょう。
このクラスでは、国内生産ながら2WDで190万7000円からのヤリスクロスも人気ですが、こちらはスマホのアプリナビの連携を前提にしたディスプレイオーディオが標準で、独立タイプのナビ機能が欲しいならばOPで追加する必要があります。さらにベーシックグレードにはパドルシフトなどのスポーティな機能装備も望めません。
走りも装備も全部入りでお手頃価格のコンパクトSUVとして、フロンクスの競争力には、太鼓判を捺していいと思うのです。
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