日本全国の高速道路には多くのサービスエリア(以下、SA)やパーキングエリア(以下、PA)が設けられており、長距離のドライブ中の休憩/食事/トイレなど、さまざまな要望に応える重要な役割を果たしています。あまり意識することもないので気づいていない人も多いかもしれませんが、SAやPAの駐車場は斜めに設計されています。一般的な駐車場とは形が異なる斜めの駐車場は、なぜ設計されたのでしょうか。
●文:月刊自家用車編集部
摩訶不思議?斜めの駐車場が設計された背景とは
SA/PA以外で、斜めの駐車場を日常的にみる機会は少ないものです。
それもそのはず。普段利用するコンビニ/スーパーなどの商業施設では、そのほとんどが直角の駐車場で設計されています。
一見するとただのデザインのようにも思える、斜めの駐車場。
商業施設等では見かけることはありませんが、SA/PAの駐車場に採用されているのには、何か理由があるのでしょうか。
SA/PAの駐車場が斜めになっている理由として、3つの要因が考えられます。
まずひとつ目は、入出庫のスムーズさを向上させるためです。
斜め駐車は直角駐車と比較すると、ドライバーのハンドル操作が少なくスムーズに駐車できるというメリットがあります。
これにより、特に繁忙時間帯における渋滞の軽減に寄与します。
また、出発時もスムーズに車線に合流できるため、流れをスムーズに保つことができるというわけです。
2つ目の理由は、安全性の向上です。
斜め駐車は後退時の視界が広がり、障害物や他の車両に気づきやすくなることにより、駐車時の事故/小さなぶつかり合いなどといった車両同士の接触リスクを減らすことができます。
また、出口の方に頭を向けてクルマを停めることで発進する方向を固定、つまり”逆走を防ぐ”という狙いもあります。
逆走は重大な死傷事故につながる可能性がある非常に危険な行為で、NEXCO東日本の公表する情報によれば、全国の高速道路ではおおむね2日に1回の頻度で逆走が発生しているとのこと。
中でもインターチェンジや料金所付近のほか、SAやPAでも多く発生しているとされています。
ちなみにSA/PAでは逆走対策として斜め駐車場の設置だけでなく、出口付近に「逆走禁止」の看板を設置して注意喚起しているとのことです。
3つ目の理由は、スペースの有効活用です。
駐車場を斜めに配置すれば、直角駐車に比べて車両を密に配置できるため同じ面積でもより多くの車両を収容することが可能になります。
これは特に、土地が限られている都市部のSA/PAにとっては大きな利点になると言えるでしょう。
上述のようなさまざまなメリットがある斜め駐車場。
しかし、斜めの駐車場はメリットだけでなく、デメリットも存在します。
たとえば直角の駐車場に比べ駐車幅が密になるため、クルマの乗り降りに注意する必要があります。
風が強い日などは特に注意が必要で、せっかくの旅行の際などにトラブルに発展しないよう細心の注意を払いましょう。
このように、SAやPAの駐車場が斜めに配置されているのには、入出庫のスムーズさ/安全性の向上/スペースの有効活用/そしてドライバーの利便性の向上などの明確な理由があります。
これらの設計は、ドライバーにとっても、管理者にとっても多くのメリットをもたらしています。
ただし、直角駐車場と比べて幅が狭いなどのデメリットもあるため、クルマに乗り降りする際は注意が必要です。
次にSA/PAを利用する際はこういった点に注目して、より安全で快適なドライブを楽しみたいものです
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