![[懐かし名車旧車] ニッサン初代シルビア(CSP311)「女神にふさわしい美麗ボディ」ハンドメイドから生まれた奇跡のクーペ](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/12/main-3.jpg)
「コンセプトカーがそのまま市販化されたような」という表現を見かけるが、かつて、真にデザイナーの構想がそのまま1/1に具現化したような、夢のクルマが実際した。ハンドメイドでその美しいボディを仕上げられ、最上級サルーンを超える価格で販売された、宝石のような輝きを放つ名車。初代シルビアの生き様を振り返ってみたい。
●文:月刊自家用車編集部
コンセプトカーのイノセントなデザインが、そのまま市販車として生み落された
この美しいクルマが初めてその姿を現したのは、1964年の第11回東京モーターショーの会場だった。出展車の名称は「ダットサン クーペ1500」。翌1965年に、ギリシャ神話に登場する美しい女神に由来した名称を授かって発売された初代「シルビア(CSP311型)」は、流麗で優美な国産車離れしたスタイリングのパーソナルクーペとして、市販車の中にあっても圧倒的な存在感を放った。
エッジの利いたシャープなデザインの中に流麗な曲面を多用することで、エレガントな雰囲気を醸し出す初代シルビア。
製造ラインのプレスでは到底出すことのできない優美さは、ハンドメイドならではの力感がある。
じつはこのシルビア、発売の直前まで、広く大衆車に用いられていたダットサンブランドのネーミングを冠される計画だったが、最終的に、当時は高級モデルのみに限定採用されていた日産ブランドに変更されたという。それもやはりこのスタイリングがあればこそ、といえよう。
この外観に漲る生々しい力感や優美さは、製造ラインの機械によるプレスでは到底出すことのできないもので、ボディ周囲に継ぎ目が見当たらないことからもわかるように、これらはハンドメイド、すなわち1台ずつの手作業による叩き出しで仕上げられている、まさに工芸品さながらの車体なのである。
いっぽうこの初代シルビアに搭載されたエンジンは、ショーモデルが積んでいた1.5LのG 型エンジンのボアを広げてショートストローク化したR型1.6L直4OHV。このエンジンは吸排気系形状の見直しや高圧縮比化、さらには強化型コンロッドメタルの採用などにより、90psの最高出力と13.5kg-mの最大トルクを発生。初採用されたポルシェタイプボルクリングサーボフルシンクロの4速トランスミッションと組み合わせられることにより、100マイル (165km/h)の最高速度と17 .9秒の0→400m加速という、当時の水準としては特筆ものの快足ぶりを誇っていた。
また、シャーシに視点を移すと、X型メンバーのラダーフレームにフロントがダブルウィッシュボーン、リヤがリーフリジッドというサスペンション構造。そしてじつは、これらの基本メカニズムは、シルビア登場の1ヶ月後にデビューしたフェアレディ1600とまったく共通、つまりこの両者は姉妹車の関係にあったのだ。
ボディ周囲に継ぎ目が見当たらないことからもわかるように、その造りはまさに芸術品。
G型エンジンのボアを広げてショートストローク化するとともに吸排気マニホールドの形状変更、9.0の高圧縮比とSUツインキャブ、さらにはF770コンロッドメタルの採用などにより高性能化が図られた1.6LのR型エンジン。
当時のフラッグシップサルーン以上の高級クーペらしく、外観にたがわず上品でスタイリッシュなインテリア。スピードメーターは180km/hまで刻まれ、タコメーターとの間にはアナログ時計が配されている。
何よりも佇まいが雄弁にその価値を表現している名車。生産554台、孤高の元祖国産スペシャリティ
とはいえ、シルビアのスタイリングの存在感はやはり比類なきもので、元祖2ドアクーペのスペシャリティカーとして大きな注目を集めたほか、遠く海外のメディアからもそのルックスを高評価する声が聞こえてくるほどではあった。にもかかわらず、この初代シルビアがその5年間のモデルライフの間に生産されたのはわずかに554台。
その生産工程からも導かれる必然とはいえ、2人乗りの2ドアクーペに、当時の上級サルーンであったセドリックカスタム6よりもさらに20万円も高価な120万円という車両価格設定が、販売の面でもシルビアを孤高の存在にしてしまったのかもしれない。
主要諸元 ●全長×全幅×全高:3,985×1,510×1,275(mm) ● ホイールベース:2,280mm ●トレッド(前/ 後):1,270/1198mm ●車両重量:980kg ●エンジン:R型(直4OHV SUツインキャブ)1,595cc ●最高出力:66kW(90ps)/6,000rpm ●最大トルク:132Nm(13.5kgm)/4,000rpm ●サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン/半浮動リーフリジッド ●ブレーキ(前/後):ディスク/ドラム ●タイヤ(前/後):5.60-14-4PR(前後とも)
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(旧車FAN | 日産)
直6の「GT-R」ではなく直4の「RS」としてイレギュラー気味に誕生した戦闘機 「DR30型」の「スカイライン2000ターボRS」が誕生したのは1983年です。「2000ターボRS」グレードは、198[…]
901運動で生まれた硬派なつくりの上質セダン 初代の「P10型・プリメーラ」が発売されたのは1990年です。まさにバブル経済で日本中がうかれまくっていた時代で、自動車業界では「ユーノス・コスモ」、「三[…]
「ダットサン・フェアレディ1600」がベースのスペシャリティクーペ 初代の「シルビア(CSP311型)」が誕生したのは、いまから60年も前の1965年です。型式名が表すように、ダットサン「フェアレディ[…]
当時のクルマ造りで最も重要視されたのは”壊れない”ことだった 1950年代に、外国車の見よう見まねで乗用車造りを始めた日本のメーカーと、それを使うユーザーにとって、なによりも重視されたのが“壊れない”[…]
プリンス自動車が社運をかけて技術を結集し、レースに勝つために生まれた一台 国産スポーツモデルの象徴的な存在と言って過言ではない、スカイライン2000GT -R が世に出る道筋を切り開いた革命的な立役者[…]
人気記事ランキング(全体)
普段、積雪のない地域も、雪による影響が出る可能性 年末年始、多くの人が移動するシーズンだが、天気予報を見ると寒波による雪の影響が懸念される地域ありそうな状況。普段、積雪のない地域でも安心はできない。で[…]
限られたスペースを有効活用することで、ユーティリティを強化 バンや軽バンをベースにした「バンコンバージョン(通称バンコン)」。ドライバーを選ばない取り回しの良さや、普段使いでも使用できる手軽さ、そして[…]
雪道で長時間の立ち往生はあり得る事態。 帰省のタイミングや冬のアクティビティが盛んになるシーズン、クルマを利用した移動を行う人も多いはず。スタッドレスタイヤやタイヤチェーンの準備はバッチリ。いざ、出発[…]
ベース車は、ハイエースの標準ボディ&ハイルーフ仕様 バンコンが特に近年注目されるようになったのは、2020年に始まったコロナ禍からだ。移動だけでなく、宿泊でもウイルスの感染を防ぐプライベート空間を確保[…]
配線や設置工事は不要、貼るだけのドライブレコーダー 今や、クルマやバイクの必須装備とも言えるドライブレコーダー。取り付けにあたっては、プロの手による配線工事などが必要になるのが一般的だ。しかし、カー用[…]
最新の投稿記事(全体)
突然の天候の変化に備えて、冬シーズンには持っておきたいタイヤチェーン 日本各地の大雪による影響をニュースなどで頻繁に見るようになる真冬のシーズン、ドライバーとして気になるのはやはり、雪による道路網への[…]
みちくさもクルマ旅の楽しい思い出にするバンコンを目指して開発 ミチクサを製造•販売するダイレクトカーズは、鈴鹿市(三重県)、厚木市(神奈川県)、飯塚市(福岡県)にショールームを展開。ハイエースを中心と[…]
コスモスポーツの後、REのフルラインナップ化を図ったマツダ 数々の課題を独自の技術で乗り越え、東洋工業(現マツダ)が1967年に発売にこぎ着けたコスモスポーツは、世界初の2ローター量産ロータリーエンジ[…]
ベース車は、ハイエースの標準ボディ&ハイルーフ仕様 バンコンが特に近年注目されるようになったのは、2020年に始まったコロナ禍からだ。移動だけでなく、宿泊でもウイルスの感染を防ぐプライベート空間を確保[…]
トスカーナの風景と「三叉槍」の邂逅 イタリア・トスカーナ州のヴェルシリアにおいて、マセラティの新型スーパースポーツカー「MCPURA(MCプーラ)」のドライビング体験会が開催された。このイベントは、単[…]
![ニッサン初代シルビア(CSP311)|[懐かし名車旧車] ニッサン初代シルビア(CSP311)「女神にふさわしい美麗ボディ」ハンドメイドから生まれた奇跡のクーペ](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/12/P-1-768x419.jpg?v=1734670933)
![ニッサン初代シルビア(CSP311)|[懐かし名車旧車] ニッサン初代シルビア(CSP311)「女神にふさわしい美麗ボディ」ハンドメイドから生まれた奇跡のクーペ](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/12/P-4-768x409.jpg?v=1734670953)
![ニッサン初代シルビア(CSP311)|[懐かし名車旧車] ニッサン初代シルビア(CSP311)「女神にふさわしい美麗ボディ」ハンドメイドから生まれた奇跡のクーペ](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/12/DSC0063-768x511.jpg?v=1734670985)
![ニッサン初代シルビア(CSP311)|[懐かし名車旧車] ニッサン初代シルビア(CSP311)「女神にふさわしい美麗ボディ」ハンドメイドから生まれた奇跡のクーペ](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/12/P-2-768x531.jpg?v=1734670942)
![ニッサン初代シルビア(CSP311)|[懐かし名車旧車] ニッサン初代シルビア(CSP311)「女神にふさわしい美麗ボディ」ハンドメイドから生まれた奇跡のクーペ](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/12/P-3-768x556.jpg?v=1734670949)
![ニッサン初代シルビア(CSP311)|[懐かし名車旧車] ニッサン初代シルビア(CSP311)「女神にふさわしい美麗ボディ」ハンドメイドから生まれた奇跡のクーペ](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/12/P-8-768x511.jpg?v=1734670976)
![ニッサン初代シルビア(CSP311)|[懐かし名車旧車] ニッサン初代シルビア(CSP311)「女神にふさわしい美麗ボディ」ハンドメイドから生まれた奇跡のクーペ](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/12/P-5-768x512.jpg?v=1734670960)
![ニッサン初代シルビア(CSP311)|[懐かし名車旧車] ニッサン初代シルビア(CSP311)「女神にふさわしい美麗ボディ」ハンドメイドから生まれた奇跡のクーペ](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/12/P-6-768x512.jpg?v=1734670969)
![ニッサン初代シルビア(CSP311)|[懐かし名車旧車] ニッサン初代シルビア(CSP311)「女神にふさわしい美麗ボディ」ハンドメイドから生まれた奇跡のクーペ](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/12/P-7-768x511.jpg?v=1734670972)
![ニッサン初代シルビア(CSP311)|[懐かし名車旧車] ニッサン初代シルビア(CSP311)「女神にふさわしい美麗ボディ」ハンドメイドから生まれた奇跡のクーペ](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/12/E1_0149-768x512.jpg?v=1734673394)
![ニッサン初代シルビア(CSP311)|[懐かし名車旧車] ニッサン初代シルビア(CSP311)「女神にふさわしい美麗ボディ」ハンドメイドから生まれた奇跡のクーペ](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/12/E1_0166-768x512.jpg?v=1734673352)
![ニッサン初代シルビア(CSP311)|[懐かし名車旧車] ニッサン初代シルビア(CSP311)「女神にふさわしい美麗ボディ」ハンドメイドから生まれた奇跡のクーペ](https://jikayosha.jp/main/wp-content/uploads/2024/12/E1_0161-768x512.jpg?v=1734673357)














