日本のVTホールディングスの傘下である英国ケータハム エボ リミテッドは、新型EVスポーツクーペ「プロジェクト V」の量産・市販化に向けて開発を進め、そこにヤマハ発動機がパートナーとして参画して協業を行っていることはすでに既報の通り。これにXING モビリティ社が開発したバッテリーパックを採用したことでプロトタイプがついに完成。2025年1月10日から開催される東京オートサロンで世界初公開へとこぎつけた。
●文:月刊自家用車編集 ●写真:ケータハムカーズ・ジャパン
まったく新しいライトウェイトEVスポーツカー
ケータハムといえば、英国のバックヤードメーカーとしてスタートし、ロータス セブンの製造を引き継いでオープンホイールの「ケータハム セブン」シリーズを現在まで継承している老舗ブランドだ。
現在では日本のVTホールディングスの傘下に入ったものの、依然として趣味性の高いライトウェイトスポーツカーを生産し続け、近年ではスズキ製の軽自動車用エンジンを搭載した「ケータハム セブン 160」や「ケータハム セブン 170」などのユニークなモデルをリリースし、世界中のエンスージアストから愛されている。
ケータハムのラインナップは、オープンホイールでプリミティブなセブンシリーズが念頭に浮かぶが、過去にはレース専用の「SP 300.R」などの現代風ボディを採用したモデルもリリースしており、今回の「ケータハム プロジェクト V」は現代基準のボディを採用してきた。
2023年にショーカーとして一般公開されてから開発は進み、ヤマハとの協業や台湾メーカーであるXING モビリティのバッテリーパックを採用するといった具体的なプランを実行し、ついにプロトタイプがお披露目されることになる。
ケータハム プロジェクト Vに注目すべきワケ
これまでクラシックなセブンシリーズを主力としてきたケータハムが、プロジェクト Vで一気にモダンなスポーツカーを発表したのは驚きだが、ケータハムでは「プロジェクト Vはセブンに代わるものではなく、セブンを補完するものであり、ケータハムの核となる価値観を維持することで、既存の顧客層にアピールし、ブランドの新しいファンを引き付けることができると確信しています」と述べるように、その根底には変わらずライトウェイトスポーツカーによるドライビングプレジャーをカスタマーに提供するスピリッツがある。
EVであっても軽量性能を突き詰め、ドライブの愉しさを実現するため、ヤマハとはEVのパワートレイン主要部に当たるeアクスルの開発を共同で進め、優れた放熱性、安全性、高エネルギー密度が特徴の浸漬冷却バッテリーパックはXING モビリティから調達した。
伝統と歴史をもつスポーツカー専業メーカーのケータハムと、確かな技術で自動車界でも活躍するヤマハ発動機、浸漬冷却バッテリー技術の世界的リーダーであるXING モビリティが、それぞれの分野で技術を結集したモデルが凡作になるはずがない。
EVスポーツカーのゲームチェンジャーになる?
EVの普及が停滞し、EVスポーツカーがなかなか一般化しない現在において、ケータハム プロジェクト Vの出現は大きな刺激になるはずだ。
ケータハム セブンシリーズよりも快適性能が高く、ケータハム セブンシリーズ同等のドライビングプレジャーを提供するプロジェクト Vは、EVスポーツカーのゲームチェンジャーになれるほどの可能性を感じさせるモデルだ。
1月10日から開催される東京オートサロンでは、そんな未来のスポーツカーが実車展示される。スポーツカー好きな方、中でもライトウェイトスポーツカー好きなら見逃せない3日間になる。
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