
東京都八王子市と神奈川県相模原市を結ぶ小仏トンネルは、中央自動車道の重要な交通路のひとつ。東京都心と関東地方の西部を結ぶ主要ルートであり、日々多くのドライバーがこのトンネルを利用していますが、国内屈指の渋滞スポットとしても知られています。特にお盆/年末年始/ゴールデンウィークなどの長期休暇中に渋滞が発生しやすく、トンネル付近での道路工事や事故も渋滞を悪化させることがありますが、そもそもなぜ小仏トンネルは渋滞が発生しやすいのでしょうか。
●文:Peacock Blue K.K.
小仏トンネルの渋滞はなぜ発生する?
小仏トンネルで渋滞が発生する主な理由は、車線数と道路の起伏が関係しているとのことです。小仏トンネルは上り線の場合、トンネル手前の上野原IC付近で3車線から2車線へ減少します。車線の減少に伴ってドライバーは合流動作を取ることになり、互いにスペースを譲り合うためクルマの速度を落とし、結果として大きな渋滞を生み出します。
ドライバーの運転スキルや合流時の礼儀は、渋滞の度合いに影響を与える要素として無視できません。またトンネルの直前で車線の減少に気づく人も多く、慌てて車線変更しようと急ブレーキを踏む車両が相次いでいることも、渋滞の発生に拍車をかけているそうです。
小仏トンネルにおける渋滞のもうひとつの大きな原因は、トンネルの構造がゆるやかな登り坂になっていること。実は、相模湖ICからトンネルの中間部にかけては、ゆるやかな登り坂になっています。この坂道は見た目にはそれほど急ではないため、ドライバーは自分が上り坂を走っていることに気付きにくいそうです。
このため、平坦な道を運転しているときの感覚でアクセルを踏んでいると、無自覚なまま減速してしまい、渋滞を起こしてしまいます。
道路の勾配による無自覚な減速などが渋滞を誘発しているが、小仏トンネルの場合は他にも要因があるとされる
さらに、渋滞の原因はゆるやかな勾配だけでなく、小仏トンネル手前に潜む「サグ部」も関係しているとのことです。サグ部とは、下り坂から上り坂へと変化する凹型の地形を指します。サグ部では目の錯覚により登り坂であることを認識できず、無意識のうちにクルマの速度を落としてしまう現象が発生します。
これは、下り坂部分ではアクセルを踏み込まなくても自然と速度が出るため、そのままの踏み込みで登り坂部分に進んだ結果クルマのスピードが落ちてしまうためです。1人のドライバーが速度を落とすだけで、後続のクルマも同様に速度を下げざるを得なくなり、結果として大規模な渋滞へと発展します。
またこのような状況は、エンジンパワーが低いクルマや重い荷物を積んでいるトラックにとっても厳しいものがあります。力不足の車が速度を落とすことは、後続車にも同様の速度低下を強いるため、交通全体の流れを鈍化させてしまうことが考えられるでしょう。
現在、小仏トンネル付近の渋滞解消のために「新小仏トンネル」の建設が進められている
小仏トンネル周辺の渋滞は、長年にわたり問題となっていますが、この問題に対処するためにさまざまな対策が講じられています。そのなかで最も注目されている対策は、「新小仏トンネル」の建設です。
新小仏トンネルは、既存の小仏トンネルの交通負担を軽減し、渋滞を緩和することを目的としており、2021年3月から建設工事が開始されています。正式な完成時期はアナウンスされていませんが、このトンネルが完成すれば車線数が増加し、トンネルを通過する車両の流れがスムーズになることが期待されます。
さらに、新小仏トンネルの建設によって、周辺の道路網も再編される予定とのことです。これにより、地域全体の交通の効率がスムーズになり、ドライバーのストレス軽減と安全性の向上が期待できると言えるでしょう。
このように、小仏トンネルとその周辺には、車線の減少/ゆるやかな登り坂/サグ部による速度低下など、渋滞を引き起こすさまざまな要因が揃っており、そこに休日や長期休暇による混雑がプラスされることで渋滞が発生します。
この問題は多くのドライバーを悩ませており、渋滞解消のために新小仏トンネルの建設などの対策が講じられています。小仏トンネルを通過する際は、渋滞が発生しやすい時間を避けたり、迂回ルートを調べたりしてあらかじめ対策しておくとよいでしょう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
熱い期待を受けて登場したスバル360の後継モデル 1969年8月にデビューした「R-2」のキャッチコピーは「ハードミニ」。やわらかい丸みを帯びたデザインは当時の軽自動車市場の中にあっても個性を感じさせ[…]
サイドソファとスライドベッドがもたらす“ゆとりの居住空間” 「BASE CAMP Cross」のインテリアでまず印象的なのは、左側に設けられたL字型のサイドソファと、そのソファと組み合わせるように設計[…]
ベッド展開不要の快適な生活空間 全長5380mm、全幅1880mm、全高2380mmという大型バンコンでありながら、その中身は大人二人、あるいは二人+ペットでの旅にフォーカスされている。7名乗車・大人[…]
初代レパードは、日本国内向けの高級GTとして誕生 1986年に発売された「F31系」のレパードは、「レパード」としては2代目のモデルになります。 初代の「レパード」は、北米市場向けモデルの「マキシマ」[…]
快適性を追求した軽キャンの完成形 「ミニチュアクルーズ ATRAI」は、岡モータースが長年にわたり築き上げてきた軽キャンパー製作のノウハウを、現行アトレーのボディに惜しみなく注ぎ込んだ一台である。全長[…]
最新の投稿記事(全体)
温もりと強さを両立したリアルウッドの家具 2010年に登場したファーストモデルから数えて十数年。ユーザーの声を反映しながら細部を改良し続け、今やシリーズの中でもひときわ特別な存在となっているのが、この[…]
40年というこれまでの実績をフルに反映した「バカンチェス ダイネット40」 バカンチェスシリーズなど、人気のキャンピングカーを手掛けるリンエイプロダクトが、40周年を記念したモデルをリリース。「ふたり[…]
魂動デザインの進化に加え、装備機能の充実ぶりも期待できそう 現行型のCX-5は2017年に発売され、すでに8年が経過している。すでに国内でも次期型の登場は噂になっており、編集部が販売店に取材したところ[…]
初代レパードは、日本国内向けの高級GTとして誕生 1986年に発売された「F31系」のレパードは、「レパード」としては2代目のモデルになります。 初代の「レパード」は、北米市場向けモデルの「マキシマ」[…]
人気のメーカーオプションが一部グレードで標準装備化 今回の改良では、人気のメーカーオプションが一部グレードで標準装備化されることで、商品力を強化。 具体的には、Xグレードを除く全グレードにETC2.0[…]