
筆者が何も知らずに給油していた際に「それ間違ってるよ」と、妻から指摘を受けたのは給油口のキャップの取り扱い。気にもとめていなかった”あの場所”の使い方を実際に聞いてみたところ「なるほどな」と思ったので紹介していこう。
●文:月刊自家用車編集部
知らなかった…給油キャップを置く“あの場所”が超便利だった。
ガソリンスタンドで給油するとき、キャップの置き場所に困ったことはないだろうか。普段なんとなく給油している人は気づいていないかもしれないが、多くの車の給油口のフタの裏には、給油キャップを引っかけて置ける専用のホルダーが備わっている。
このホルダーは地味ながらも、非常に考えられた機能のひとつだ。にもかかわらず、存在に気づかず、キャップをそのまま給油機の上に置いたり、ボディの上に置いたり、最悪の場合は地面に置いて汚してしまっている人も少なくない。この記事では、この“キャップの置き場所”について、仕組みやメリット、さらに知られざる注意点まで含めて掘り下げていく。
なぜそんなところに?この工夫の意味とは
では、なぜわざわざそんな場所にキャップの置き場が用意されているのか。その理由は、“汚さない”“忘れない”ためだ。
地面にキャップを置いてしまえば、当然砂やホコリがつく。そのまま戻してしまうと、給油口の周辺に汚れが付着したり、パッキン部分が劣化する原因にもなりうる。また、キャップを適当な場所に置いて、そのまま忘れて帰ってしまうケースもあるだろう。キャップがなければ、燃料漏れやゴミの侵入にもつながる。
その点、給油口のフタ裏にキャップを引っかけられる構造なら、視認性も高く、給油が終わったら自然と元に戻せる。一連の動作の中で無駄がない。まさに“ちょっと便利”の代表格といえる機能だ。
実は“ぶら下げっぱなし”にもリスクがある?
便利なキャップホルダーだが、ひとつ注意しておきたい点がある。それは、キャップをホルダーにかけたままにしておくと、キャップに残っているガソリンがポタリと垂れて、車体に付着するおそれがあるということだ。
ガソリンは非常に揮発性が高く、かつ塗装を傷めやすい性質を持っている。たった数滴でも、ボディに残った状態で日光にさらされれば、クリア層が劣化してシミや変色の原因になることがある。特に白系のボディカラーや、濃色車はシミが目立ちやすいため注意が必要だ。
もちろん、毎回そんなトラブルが起こるわけではないが、「給油キャップを戻す前に、軽くティッシュなどで拭き取っておく」といったひと手間を加えるだけで、リスクは大きく減らせるだろう。
最近の車には“キャップレス”も登場している
ただし、最近の車ではこのホルダーすら不要なケースも増えてきた。そう、キャップレス給油口である。これは、キャップを外すことなく、給油ノズルをそのまま差し込むだけで給油できる構造だ。ホンダやフォード、BMWなど、一部の車種ではすでに導入されている。
キャップを外す手間がなく、キャップを紛失する心配もゼロ。密閉性にも優れており、ユーザーにとっては便利以外のなにものでもない。ただし、キャップレスはまだすべての車に浸透しているわけではなく、ガソリンスタンド側の対応(ノズル形状や相性)によっては相性の問題も起こりうるため、完全移行には時間がかかりそうだ。
地味だけど、実は超ありがたい
キャップホルダーの存在は、正直言って派手さはない。クルマの進化といえば、衝突回避支援システムや電動化などが注目されがちで、給油キャップなんて話題にすらならない。しかし、日々のちょっとした不便をさりげなく解消してくれる機能という意味では、こうした“目立たない気配り”こそ、実はもっと評価されるべきポイントなのではないか。
今後、キャップレスがさらに広がっていく中で、こうしたホルダーが消えていくかもしれない。だが、それまでの間、給油のたびに「キャップどこ置こう?」と考えなくて済む安心感は、日常のちょっとしたストレスを解消してくれる隠れた便利機能と言えるだろう。
給油キャップを置く“あの場所”は、地味だが確実に便利な存在だ。普段あまり意識していないかもしれないが、知っていると「なるほど」とうなるような、クルマづくりの細やかな配慮が見えてくる。
次にガソリンを入れるとき、ぜひ給油口のフタの内側をのぞいてみてほしい。「こんなところにあったのか!」というちょっとした発見が、あなたのカーライフを少し快適にしてくれるかもしれない。
もし、給油口にキャップホルダーがない場合でも安心してほしい。「フューエルキャップホルダー」という商品があるので、カー用品店や通販サイトなどを覗いてみてはいかがだろうか。
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