
2026年の登場が確実になった次期エルグランド。先行公開されたスタイリングもさることながら、今回明らかになったメカニズム情報からも期待感は高まるばかり。国内ではアルファード&ヴェルファイアが圧倒的な人気を誇るが、第3世代へと進化するe-POWERや、電動四輪駆動e-4ORCEの搭載も噂されるその実力は、相当なポテンシャルを秘めているのは間違いないだろう。
●文:月刊自家用車編集部
日産のフラッグシップを象徴するモデルとして、大きな期待が集まっている
2026年度に発売が予定されている次期エルグランド。まず外観が先行公開されたが、今回明らかになったメカニズム情報からも、かなり期待がもてそうだ。
公開された次期エルグランドのイメージカット。上部の細く光るラインと、グリルと連続するように配置された複数のLEDランプが特徴的。中央のグリルには日産のブロンドロゴが配置されている。
塊感が強いリヤビューには、左右に繋がった水平なラインのシグネチャーLEDテールランプが組み合わされる。
2023年のジャパンモビリティショーに出展された「ハイパーツアラー」。このモデルが次期エルグランドのコンセプトと考えられる。
そもそも日産が次期型エルグランド(4代目)の開発を再開した背景には、国内市場でライバルとなるトヨタ・アルファード&ヴェルファイアが圧倒的な人気を集めていることも大きいが、海外市場での上級ミニバン需要の高まっていることも挙げられる。一昔前はミニバン=国内専用車とみなされており市場もそれほど大きくはなかったが、いまやグローバルな視点でも勝負ができるカテゴリーに成長を遂げた。日産のフラッグシップを象徴するモデルとしても大いに期待できる存在というわけだ。
最新世代の走行メカニズムを搭載することで、走り自慢のミニバンに
まず注目のパワートレーンは第3世代のe-POWERへと進化。新しい燃焼コンセプトを採用した発電専用の新開発1.5Lエンジンを軸に、モーターやインバーターを統合した軽量コンパクトな「5-in-1」モジュールを組み合わせる。エンジン回転数とトルクの最良効率エリアを徹底活用することで、燃費性能が大きく向上する点が見どころで、現行の第2世代に比べて高速走行時の燃費が最大15%も向上するという。
現時点では予想の範疇となるが、プラットフォームも近代化されるだろうし、走りのレベルを大きく引き上げてくれる電動四輪駆動システム「e-4ORCE」の搭載も有力だろう。
第3世代e-POWERは、発電エンジンに新燃焼コンセプトを採用することで、第1世代から燃費が20%向上する。2025年度から搭載が始まり、2026年には次期エルグランドに搭載される。
「5-in-1」モジュールは、モーター、インバーター、減速機に加えて、発電機、増速機の5つの部品をモジュール化したもの。この技術の実用化により、e-POWERにおいては2026年までにエンジン車と同等の車両コストの実現を目指すとしている。
ライバルとなるアルファード&ヴェルファイアは、ショーファーモデルに匹敵する快適で豪華なキャビン空間を武器としているが、TNGA技術を由来とする走りの質の向上も著しいだけに、新型エルグランドは相当頑張ってくるのは間違いない。
「エルグランドじゃなければダメ!」そんな愛好家も多い
また、新型エルグランドが投入されることで、日産の国内ミニバン戦略が活発になることも追い風と考えられるひとつ。先にフルモデルチェンジした現行セレナに最上級グレード「ルキシオン」を設定することで、エルグランドオーナーの乗り換えを目論んでいたのだが、ディーラーに話を聞く限り、この乗り換え需要は芳しくないのが実情。これは、長年培われたエルグランドのブランドイメージの強さが原因で、そういう意味でも販売の現場からはエルグランドの新型を求める声が多かったというわけだ。
現行セレナに設定される「ルキシオン」は、プロパイロット2.0などの先進運転支援技術に加え、快適性を高める様々な装備が搭載されるほか、専用のシート素材や加飾で上質な雰囲気も追求。エルグランドからの買い替え需要も期待されていた。
現行型(3代目)は2010年にデビュー。これまでに数回の改良が加えられ商品力を高めているが、ライバル勢に比べると劣勢が否めない。多くのファンがいることでも知られており、今回の次期型発表はまさに朗報といえるだろう。
新型エルグランドは、グローバル戦略車としての側面と同時に、国内プレミアムミニバン市場におけるシェア奪還という重要な使命を担っているのは間違いない。セレナは引き続きファミリー層向けの主力モデルとして、エルグランドはその一つ上のクラスをカバーするショーファー用途も応える役割も期待されそう。アルファード&ヴェルファイアという強力なライバルに対し、どのような独自の価値を提供し、新たな顧客層を開拓するのか? いずれにせよ日産のミニバン戦略の成否を左右する、注目のモデルとなることは間違いなさそうだ。
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