
ワックスとコーティング。洗車後の表面保護&艶出しアイテムとして常に比較され続けるライバルだ。そこで、超人気コーティング剤と伝統の高級ワックスを実際に1台の車に施工し、比較検証を行った。果たして、どのような結果となるのか…?
●写真/文:オートメカニック編集部
コーティング剤が人気だが、ワックス派も確実に存在
簡単系コーティング剤は、カー用品店でも独立したコーナーが設けられるほど人気のジャンルだ。その立役者の1つが、シュアラスターのゼロウォーターだ。とは言うものの、じゃあ手間のかかるワックスはもう過去の遺物なのか? というとそれも早計。高級ワックスは、実は安定して売れているジャンルでもある。
左が高級ワックス、右が簡単コーティング剤。両者の効果の違いを検証していく。
では、コーティング剤とワックス、結局どっちがいいのだろうか? カーオーナーなら、多くの人が疑問に思うこのテーマについて検証する。
シュアラスターの人気商品で比較
今回の検証で実際に施工する商品となる高級ワックスと簡単コーティング剤、それぞれ紹介してこう。
最上級ワックス「マンハッタンゴールドワックスジュニア」
まずは、数あるシュアラスターのワックスラインナップの中でも最上級に位置するのがマンハッタンゴールド。
ブラジル産ヤシの若葉から抽出される良質のカルナパ蝋、その抽出された蝋にもグレードがあり、最高グレードの天然カルナパ蝋のみを使用しているプレステージワックだ。
洗車後、濡れた状態でスプレーするだけ!「ゼロウォーター」
洗車後、水滴を拭き上げる必要がなくそのままスプレーできるという革命的な手法で、簡単系コーティングのブームを巻き起こした大ヒット商品がゼロウォーター。
施工回数を重ねることで艶が増し定着する性質で、シャンプーやクリーナーなどゼロウォーター系の派生製品も拡大中。
検証に使用するのはプリウス。ボンネットを二分割して施工
ワックスとコーティング剤の比較検証に使用するのは、トヨタのプリウス。ボンネットを二分割して、それぞれ施工していく。その前に、ボディ表面を入念にチェックされ、シャンプで洗浄。さらに、ねんど処理で鉄粉などの除去も行い、イコールコンディションになるように配慮した。
簡単系コーティング、ゼロウォーターの施工からスタート!
まずは、ゼロウォーターから施工を開始。ボディ表面に均等にコーティング剤をスプレーしていく。ボディからは20〜30cmほど離して、軽く噴き付けていく。薬液が、ワックス側に飛散しないように、タオルでガードしながら施工。
ちなみに、ゼロウォーターは濡れたボディに直接施工できるのが特徴だが、実は濡れていなくても問題はない。重要なのは、ボディ表面がキレイに洗浄されていることだ。乾いた状態でも仕上がりに影響はない。
全体にならすように伸ばしたら、キレイなウェスでエリアを区切って伸ばすように馴染ませていく。上下左右に拭き取れば作業終了だ。
次に、最高級ワックス、マンハッタンゴールドワックスジュニアを施工
続いて作業するのはワックス、マンハッタンゴールドJr.だ。ワックスを塗布する際の注意事項は、専用スポンジにほんのわずかにワックスを取ること。沢山取るのはNGだ。目安としては、ワックス上に置いたスポンジを1/4回転する程度。これで十分な量がスポンジ側に付着してくれる。
スポンジにワックスを取ったら、まずは、ボディ表面にポンポンとのせるように塗布していく。この際、均等な幅で、なおかつスポンジが変形しない程度の力加減で塗っていくことが重要。次に、同じスポンジでワックスを全体に塗り伸ばしていく。
塗布したワックスが適度に乾いたら、拭き取り用ウエスで拭き取り
ワックスが乾いたら、先程のコーティング剤のときと同様に、エリアを区切って、上下左右の動きで拭き取っていく。
そして、ワックスがけのキモとなるのが、最後の拭き上げだ。この作業をすることで、美しい仕上がりとなる。仕上げ専用のクロスで磨き上げることで、ワックス本来の光沢が実現できる。
初心者には判断が難しい、ワックスの拭き取りのタイミング
ワックスがけ初心者にとって、ワックスが適度に乾いたタイミングを判断するのは難しいポイント。気温や湿度によって適切なタイミングが変わってくるので、単純に時間で判断もできない。目安は、指で一部をぬぐってみて、ヌルりとしていたらまだ早いと判断、サッとキレイに拭き取れたら適正。もし、固くなってワックスが全然ぬぐえない場合は乾きすぎだ。
コーティング剤とワックスの仕上がりを比較!
ゼロウォーターとマンハッタンゴールドJr.の施工が完了。気になる仕上がり具合を、項目ごとに比較検証していこう。
検証① 映り込み
コーティング剤とワックス、それぞれの映り込み具合から比較していこう。まずは、下の写真を見ていただきたい。
左がワックス、右がコーティング剤。仕上がりに違いがよくわかる。
映り込んだ像の輪郭が滲んだような濡れた感じで深みを感じさせるワックスに対して、ゼロウォーターは鏡のようなクッキリとしたシャープな印象。どちらが優れていて、どちらが劣っているかというよりは、両者の個性の違いがはっきりと出たと言えるだろう。
検証② 光沢度計による計測
次に検証するのは、光沢度計という計測機器を使用した、光沢具合の比較だ。ちなみに、施工前の光沢度は63だった。
施工前の光沢度計の数値は63。
結果から言うと、ワックスは89で、コーティング剤は82という数値に。どちらも輝きはちゃんと向上しているのがわかる。
検証③ 表面の手触り感覚
機械的な測定値の次は、人間の感性による検証、仕上がり表面の触った感覚の違いを比較していく。実は、この項目が明らかに大きな差があった。触り比べればすぐにわかる、圧倒的になめらかなタッチなのがワックスだ。すべすべの表面だが、油分が手につくような感覚は皆無。一方で、コーティング剤の方はなめらかさはあるのだが、キュッキュッとした触感でワックスとは全く異なる印象を受けた。
検証④ 水はじき性
最後に、施工面の水はじきについて検証。このテーマも、ワックスとコーティング剤では異なる結果となった。
この時点でも、水はじきの違いがわかる。
まず、ワックスは水滴が玉になり、コロコロと転がっていくのに対して、コーティング剤は水がまとまってサッと引けしていく。滑水や疎水などと表現される水はじきだ。
【ワックス】
かけた水が、コロコロとした水玉状になる。
結論「しっとり感のワックス、シャープ感のゼロウォーター」
仕上がりがある程度好みの問題だとしたら、あと気になるのは効果の持続性だ。シュアラスターによれば「状況により異なりますがワックスの艶はおおむね数週間持つので、その先に再び処理してもらえば効果は持続し続けます。ゼロウォーターそのものは半永久的に取れないのですが、最初は2週間間隔で施工し続けていると、徐々に艶と深みが増していきます」という。あとは施工の簡便さを良しとするか、むしろコツのいる手順を楽しみたいか、仕上がり具合の好みと合わせてユーザー次第ということだろう。
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