軽より広く、ミニバンより小さい。駐車場にも入る“リアルなキャンピングカー”は新定番になるか。

アウトドアブームが続く昨今、手軽にキャンピングカーライフを楽しみたいという声が高まっている。その中で注目されているのが、日産「NV200バネット」をベースにしたキャンピングカーだ。商用バンとして知られるNV200が、工夫次第で本格的なモバイルハウスへと姿を変える。この記事ではキャンピングカー広島による「ポップ・コン Camper-R」を紹介しよう。

●文:月刊自家用車編集部

ベース車両は日産のNV200バネット

日産「NV200バネット」は、2009年に登場した小型商用バン。全長4400mm、全幅1695mmという取り回しのしやすいサイズ感で、都市部でも扱いやすいことが大きな特徴だ。商用バンらしく荷室空間は広く、フラットなフロアが確保されているため、キャンピングカーへのコンバージョン(改造)ベースとして非常に優秀な車両である。

ベースとなる車両は日産のNV200バネット。

エンジンは1.6Lガソリンを搭載し、耐久性に優れたシンプルな構造。派手さはないが、必要十分な動力性能と維持費の安さが光る。もともとは配送や業務用に開発された車だが、そのユーティリティ性能がキャンピングカーユーザーの間でも再評価されているのだ。

荷室が広くカスタムの自由度が高い。一方で、キャラバンより小ぶりなため、運転しやすく駐車スペースで悩むことも少ない。4WDモデルは、2名乗車時の最大積載量が650キロとなっており、商用車らしいパワフルさも魅力となっている。

NV200キャンピングカーの最大の魅力は、日常使いとアウトドアの両立にある。全高は2m以下のモデルが多く、立体駐車場にも問題なく入庫できる。狭い道や都市部でもストレスなく運転できるため、日常的な買い物や通勤にも使えるのは大きなメリットだ。

また、コンパクトなボディながら荷室はしっかりと奥行きがあり、ベッドモードでも荷物の収納スペースを確保できる設計が多い。ハイルーフ仕様ならなおさら快適性は向上し、長距離移動時の疲労感も軽減される。

燃費性能も優れており、ガソリンモデルでリッター10〜13km程度と、ミドルクラスのキャンピングカーと比べると経済性は段違いだ。維持費を抑えながらも、豊かな旅を実現できるという点でNV200キャンパーは実に合理的な選択肢である。

コンパクトキャンパーの新提案──NV200バネットがベースの「ポップ・コン Camper-R」

都市部でも扱いやすいサイズ感と、使い勝手に優れた空間設計が魅力の「NV200バネット」をベースに、キャンピングカー広島が仕立てた「ポップ・コン Camper-R」は、ファミリーでの車中泊を見据えた高い実用性と快適性を兼ね備えた1台だ。

ファミリー仕様の基本を押さえた室内設計

Camper-R最大の特徴は、家族での車中泊に必要な装備を、コンパクトなボディに無理なく収めた点にある。5名乗車を可能とするキャビンには、上級グレード「R-STYLE」で採用されているモールドハイバックシートを採用。1200mm幅の3人掛けセカンドシートは、優れたホールド性と快適な座り心地を両立しており、長距離移動でも疲れにくい。

さらに、セカンドシートはリクライニング機能や前後スライド機構を備え、フラット展開によるベッドモードへの切り替えも簡単。シートを反転させ、背面マットをフラットにすることで、大人がゆったり横になれる広大なベッドスペースを確保できる。

ダウンギャレーが生む“使える”ベッドスペース

Camper-Rの象徴とも言えるのが、床下に沈められる「ダウンギャレー」だ。使用時はトップカウンターを引き上げてロックすることで、流し台として機能。シンクやミニカセットコンロ、5Lの給水タンク2本が収納されており、簡易調理や手洗いなどに活躍する。ギャレーを使わない時はマットの下に格納でき、ベッドスペースを最大限に確保できるという仕組みだ。

また、ギャレー背面には10Lの排水ポリタンクも格納されており、使い勝手に優れる設計となっている。

充実した収納と装備、抜群の開放感

ポップアップルーフを備えたCamper-Rは、ルーフ部に1880mm×1030mmのベッドを備えており、2段ベッドとしても使える。展開すれば、思わず歓声があがるほどの開放感が得られ、昼間は風通しの良い開口、夜はメッシュ仕様で虫の侵入を防ぎながら快適な睡眠環境を提供する。

加えて、テーブルは脱着式で専用ラックに収納可能。左右の跳ね上げ式マットの裏にはポールホルダーを装備し、限られた空間を無駄なく使う工夫が施されている。サブバッテリーや電装部品はベッド下にまとめられており、ヒンジ付きの跳ね上げ式マットにより簡単にアクセスできる点も見逃せない。

LED照明は暖色の天井照明に加え、スポット照明を4ヵ所に設置。USB・DC12V・AC100Vの各種電源コンセントや電圧モニターも完備し、実用性も抜群だ。

オプション装備でさらに快適に

Camper-Rは豊富なオプションにも対応している。最大175Wのソーラーチャージャーや、7Lの保冷温蔵庫、DVD内蔵の19インチTV、サイクルキャリアやカーゴキャリアなど、旅スタイルに合わせて自由にカスタマイズできる点も魅力だ。

冬場に活躍するFFヒーターはガソリン式で、エンジンを切っても使用できる。これらの装備が揃えば、長旅でも快適に過ごすことができるだろう。

標準ルーフ仕様「Camper-R Junior」も選択肢に

ポップアップルーフが不要なユーザー向けには、標準ルーフ仕様の「Camper-R Junior」も用意されている。こちらもセカンドシートやダウンギャレー、ベッドスペースなどの基本装備はそのまま。外観はNV200のバンと変わらず、普段使いと車中泊を両立させたい層におすすめだ。

あなた次第の旅が、ここから始まる

ポップ・コン Camper-Rは、都市生活にフィットするコンパクトさと、ファミリーでも快適に過ごせる機能性を高次元で両立させた1台だ。流行のバンライフや週末のアウトドア、長期旅行など、用途はまさにあなた次第。NV200のしなやかな足まわりと、作り手のこだわりが詰まった内装が、クルマとの新しい付き合い方を提案してくれるだろう。

写真ギャラリー

設置されているテレビは角度を自由に変えることができる。外向きにして車外で映像を楽しむことも可能。

着脱式のテーブルはシートの裏に収納できるようになっている。

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