「軽」で「ここまでできる」時代に驚いた。駐車場も税金も“軽”なのに…車中泊は本格派キャンパー。│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

「軽」で「ここまでできる」時代に驚いた。駐車場も税金も“軽”なのに…車中泊は本格派キャンパー。

「軽」で「ここまでできる」時代に驚いた。駐車場も税金も“軽”なのに…車中泊は本格派キャンパー。

軽バンをベースにしたキャンピングカーは、日本の道路事情や取り回しを考慮した「リアルな旅の相棒」として近年ますます注目を集めている。そのなかでも、装備の充実度と使い勝手の良さで差別化を図っているのが、東和モータースが製作する「クライン108 アーレ」だ。

●文:月刊自家用車編集部

使い勝手と快適性を両立した室内空間

名前の「アーレ」はドイツ語で“すべて”を意味する言葉。その名に違わず、このモデルには、軽キャンパーに求められるほとんどすべての装備が標準で備わっている。電子レンジや冷蔵庫、モニター、セラミックヒーター、さらには車内外で活用できる多彩なテーブルレイアウトまで──。このクラスにして、ここまでやるのかと感心させられる。

ベースとなるのはスズキ・エブリイバン。全長3395mm×全幅1475mmという軽規格ギリギリのサイズながら、車内は驚くほど効率的に設計されている。乗車定員は4名、就寝定員は大人2名。シートアレンジによってフルフラットなベッドモードに切り替えられ、最大サイズは188cm×136cmとしっかり確保されている。

さらにオプションで助手席側に拡張マットを追加すれば、ベッドの長さは248cmまで拡大可能。これにより、背の高いユーザーや荷物が多い場合でもストレスなく車中泊が楽しめる。

収納力も抜かりがない。リアマット下の床下収納スペースは約100リットルの大容量で、奥行き70cm、幅50cm、高さ27cmと日用品や旅の道具をしっかり収納可能。さらに、リア上部や左右スライドドア上部など、至るところに設けられた収納スペースは、使い勝手をとことん追求した結果だといえる。

車内でも屋外でも活躍するテーブルレイアウト

クライン108 アーレのもうひとつの特長が、テーブル周りの柔軟な展開性だ。室内には80cm×50cmのしっかりとしたサイズのテーブルが設置されており、食事や作業、くつろぎのひとときにも使いやすい。

特筆すべきはこのテーブルが取り外し可能で、リアゲートに設けられた専用レールに接続することで、そのままアウトドア用のピクニックテーブルとして再利用できる点だ。リアゲートを開けて外気を感じながらコーヒーを淹れたり、料理をしたりと、キャンプ気分をより本格的に楽しめる。このテーブルの発想は、コンパクトな軽バンという制限を超えた開放感を提供してくれる。

しっかり電源、しっかり快適

キャンピングカーの装備で見逃せないのが、電源と電装まわりの充実度だ。クライン108 アーレには、大容量105Ahのサブバッテリーが搭載され、走行充電システムを備えることで長旅でも安心感がある。1500Wの正弦波インバーターも装備されており、電子レンジやヒーターなどの100V家電も問題なく使用可能だ。

また、外部電源入力にも対応しており、キャンプ場など電源供給のある場所では、サブバッテリーの消費を抑えて車内電源を活用することができる。車外で使える電源コードも付属しているため、延長コード感覚で屋外調理や照明に使うことも可能だ。

もちろん、電源ポートも豊富に用意されている。AC100Vコンセントが2カ所、DC12Vソケット、さらにはUSBポートも1Aと2.1Aの2種類を搭載。スマートフォンやタブレットなど、日常のモバイル機器の充電にも不便はない。

小さなボディに詰め込まれた“大きな快適”

クライン108 アーレは、小さなボディであることを感じさせないほど、快適な旅を演出するギミックにあふれている。

例えばセラミックヒーター。これはエンジン停止中でも使用可能で、寒い季節の車中泊でも朝まで快適に過ごせる頼もしい装備だ。また冷蔵庫は-20℃〜+20℃の温度設定が可能で、容量15Lという実用サイズ。旅先で購入した食材を安心して保管できる。

そのほかにも、ティッシュボックスホルダーやキャビネット内に組み込まれた小型換気ファン、5段階調光式のLED照明、さらにはバニティミラー付きの収納扉など、細かな配慮が随所に見られる。どの装備も派手さはないが、「あると便利」の積み重ねが旅の快適度を確実に引き上げている。

旅のパートナーとしての完成度

クライン108 アーレは、単に軽自動車ベースのキャンピングカーというだけでなく、長年の経験をもつビルダーである東和モータースならではの工夫と実用性が詰まった一台である。

装備の網羅性だけでなく、使いやすさやレイアウトの柔軟性、限られた空間のなかでの快適性追求といった、すべてのポイントが高いレベルでバランスされている。「ちょうどいい」という言葉では語り尽くせない奥深さを持った軽キャンパーだ。

これから車中泊を始めてみたい人にとっては頼れるスタートモデルとして、また長年キャンピングカーを乗り継いできたベテランにとっても“使い勝手の良さ”で選ばれる一台となるだろう。

写真ギャラリー

ベースとなる車両はスズキのエブリイ。

ベースとなる車両はスズキのエブリイ。

ベースとなる車両はスズキのエブリイ。

ベースとなる車両はスズキのエブリイ。


車内はフラットシートがメインとなったレイアウト。


助手席がフラットになるため、スペースをより広く確保することができる。

後部には棚、テーブル、テレビ、電子レンジが配置されており非常に機能的。

棚の扉の内側に鏡があるのは嬉しいポイント。電子レンジの下にはコンセントやスイッチなどの電気系統が集約されている。

フラットシート下は大きな収納スペースとなっている。
その右には冷蔵庫を配置。


バックドア側から見た車内。

上部には車外からアクセスできる棚、下部には取り外し可能なテーブルが設置されている。

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