
ドライバーは家庭内にも1本や2本は必ず存在するもの。ねじ頭の溝にはめ込んで回すだけと扱い方も簡単ゆえ、基本を疎かにしがち。扱いが雑だと適合サイズでも十字溝を潰すことがあるので注意か必要だ。
●文:オートメカニック編集部
まずは基本を解説。ねじ径に対応した適切なサイズを選択
ドライバーには使う目的や使用する場所に応じた形状や長さ、ねじ径に対応したサイズと種類がある。
たとえば、ドライバーで回すねじサイズは通常8mm以下で、クルマに使われているのは一般にM3~M6。この範囲に適合するドライバーは軸長の長さで75mm、100mm、150mmの3種類で、M3→軸長 75mm、M4/M5→軸長100mm、M6→軸長150mmといった組み合わせになる。
つまり、整備をするなら最低でも3種類のドライバーを用意する必要がある。最適なサイズを選定しないと十字溝にはまらないか、ガタガタかの2つに1つ。いずれにしろ緩まないどころか十字溝を潰す結果となるからだ。
ただし、サイズが合っているからといって安心は禁物!グリップの持ち方や回す時の力の入れ方には基本があり、固く締まっているねじを外す時にいい加減な扱い方をすれば、やはり十字溝を破損させることになるからで、注意が必要だ。
そこで、今回はドライバーの基本的な扱い方と、十字溝を潰してしまった時の対処法をまとめてみた。
なお、整備作業では軸がグリップを貫通して後端に露出している「貫通ドライバー」と呼ばれるタイプが一般に利用されている。強度があるためグリップ端をハンマーで叩いて固着したねじにショックを与えるといった使い方が可能だからで、整備に使うならこのタイプが原則。本編もこのタイプの使用を前提に話を進めていく。
【貫通ドライバー】
固着したねじを外す際にも活躍する便利な工具、貫通ドライバー。刃先からグリップを貫通して後端までが1本でできているドライバー。使用方法は、下記で解説。
ねじの十字溝を乗り越えないよう、しっかり押さえつけながら回すのが基本
貫通ドライバーの先端部は耐久性を高めるために焼き入れされており、強度的には軸部より強くなっている。このため、固着したねじにショックを与える程度の衝撃には十分耐えられる。この際、十字溝に対し垂直にまっすぐ密着させた状態で叩くことが前提となるが、固く締まって緩まないねじに遭遇したら試してみたい。
ただし、ノックピンを叩き出したり潰れたボルトを叩いて回すといった行為に耐えられるだけの強度はない。そんなことをすれば先端部が簡単に潰れてしまうので要注意だ。
さて、ねじによってはねじ径が同じでも十字溝の大きさが異なることがままある。このため、ドライバーを選定する時は十字溝に実際にはめてピッタリ合致するか確認。無用なトラブルを防止するため、面倒でもこの一手間を実践したい。
ドライバーの使用時の基本を修得
ドライバー使用時の初歩であり、かつ重要な基本中の基本が、ねじのサイズに適合したドライバーを選択すること。ドライバーのサイズ選択を誤ると、ガタついて力が入らないばかりか十字溝を潰してしまうので注意が必要だ。写真のように、ピッタリはまり込むサイズを選定しよう。
ねじのサイズに合わせて、適切なサイズのドライバーを選択することが重要。
次のステップは、ドライバーとねじの角度。ドライバーの軸部はねじに対して垂直に立つようあてがう。そして、回す時も常に、この体勢を維持すること。斜めにななると力が正しく伝わらないため、うまくねじが外せないだけでなく、溝を潰してしまうトラブルの要因にもなる。
ねじに対して、ドライバーの軸部は垂直に。これが基本姿勢。
ドライバーの持ち方にも、実は基本がある。下の写真のように、手の平のくぼんだ所にグリップ後端を置き、親指を上にして他の指で包み込むようにして持つ。ねじを緩める時はこの持ち方を維持したまま手の平で押し付けるようにしながら回す。
この持ち方だと、ドライバーを介してねじに力がしっかりと伝わるため、溝が潰れるトラブルなどを低減できる。この基本グリップはしっかりと憶えておこう。
基本を守れば、手のひらからドライバーを介してねじに荷重を加えやすい
基本通りにやってもねじが緩まない…そんな場合はショックを与える!
ここまで、ドライバーの扱い方の基本を解説してきた。その通りに実践しても、ねじがうんともすんとも言わない場合、それはねじが固着してしまっている可能性がある。力任せに無理やり回そうとするのはトラブルの要因となるので避けた方が良い。
では、どうすればいいのか? その答えが「ねじにショックを与える」であり、そのために貫通ドライバーの使用を推奨していたのである。貫通ドライバーなら、後端をハンマーで叩くことでねじにショックを与えられ、その結果、固着していたねじが緩む可能性がある。その手順を解説しよう。
ショックを与える際に使用するハンマー。
通常の方法では緩まない時はショックを与える。ただし、ただ叩くだけではダメだ。まず、グリップを、写真のように緩め方向にひねった状態で保持する。
緩め方向にグリップをひねった状態で保持。
その状態を維持したまま、グリップ末端をハンマーで一撃して、固く締まったねじにショックを与える。釘を打つ時のように躊躇することなく思いっきり叩くのがコツだ。
ドライバーのグリップの末端をハンマーで一撃!
ハンマーの打撃力が固く締まったねじに上手く伝わると、衝撃が加わった瞬間、咬み込みが緩むため、ひねっている方向に瞬間的にスッと回る。あとは普通に回すだけ。コツは、先述の通り、緩め方向にグリップをひねる力を加えておくことだ。
ゆるむ気配がなかったねじが、ショックを与えると瞬時に緩む。
サビて完全に固着していたら簡単には緩まない。ハンマーによるショックを2〜3回やってみて効果が出ない場合は他の方法を検討する必要がある。
いかがだっただろうか? 作業自体は、経験や知識などは不要で難易度も高くないはず。数百円で入手できる貫通ドライバーとハンマーさえ用意すれば、固く締まって外せなかったねじも緩ませられる可能性があるので、是非ともチャレンジしてみてほしい。
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