
航続距離の飛躍的向上と洗練された走りを両立した「良質な生活のパートナー」へと進化した日産・新型リーフ 。WLTCモードで700km前後に迫る実戦的な航続性能や、ストレスフリーなプロパイロット2.0、緻密な制御による上質な乗り味など、その高い完成度を詳しく解説する 。
●文:月刊自家用車編集部(川島茂夫) ●写真:澤田和久
クラスを超えた航続距離と効率性
量産型BEVのパイオニアとして、初代リーフが2009年に誕生した。そして、その技術を応用してハイブリッドモデルのeパワーシリーズも登場し、ノートやセレナ、エクストレイルといったモデルが現在好評を博しているのはご存知の通りだ。
日産電動モデルの旗手と言えるリーフ、世界で初めての量産型BEVの新型モデルとなればやはり「何か」を期待してしまうのは仕方ないだろう。そんな新型が目指したのは良質な生活のパートナーだった。
今回試乗したB7GのWLTC総合モードでの一充走行距離は685km(プロパイロット2.0装備車は670)を実現。リアルワールドでの運用を考えて実効八掛けとしても550km超であり、レジャーでの遠出にも十分。さらにグーグルマップとの連携で高低差などを勘案した電費に優しい道路状況選択や急速充電スタンド情報などを反映したルートガイダンスも行う。HEVも含めた内燃機系モデルと比較すれば運用の自由度で未だに劣るものの、これまでよりも運用の制限はなくなったと考えていいだろう。
しかも、リーフはコンパクトカーである。全長×全幅はカローラスポーツと同等であり、車体サイズがバッテリーの積載量に影響するBEVにとって長距離が厳しいクラスにも関わらず700km前後の航続距離を達成したのは賞賛に値する。ユーザーにしてみれば不安の種も随分と減るだろう。
バッテリーの充放電効率の管理など全体的な効率向上の改善がこの航続距離に繋がったのだが、当然その恩恵はB7系だけでなく、バッテリーのダウンサイジング仕様として追加され販売が開始されたばかりのB5にも波及する。満充電航続距離は先代のeプラスと同等だが、バッテリー容量は62kWhから55kWhへとダイエットしている。この数値からもシステム全体の効率向上が理解できる。
なお、B5はB7の同グレードに対して、Gは約35万円安、Xは約45万円安の価格設定。先代でも航続距離に不満のないユーザーならB5がなかなか買い得感が高いが、航続距離の安心感を求めるなら悩ましい値付けである。また、B5には専用グレードとしてXよりも約35万円安いSを用意。プロパイロット2.0が選択できないなど装備は簡略化されてしまうが、WLTCモード航続距離521kmで車両価格が約439万円、加えてCEV補助金が129万円はかなり魅力的な内容だ。
新型リーフ B7G
新型リーフ B7G
すっきりとしたモダンなインテリアは最新の日産テイストでまとめられている。
洗練された「走りの質感」と進化した運転支援「プロパイロット2.0」
B5系の走りが具体的にどうなるかは断言できないが、スペックからしても今回公道試乗を行ったB7系と大きく変わるとは考えにくい。車重がB7系より約100kg軽いため、運転感覚が軽快になる可能性もあるが、それでも「若干」の範疇に収まるだろう。
そのB7系の走りだが、例えばサスチューニングは仕向け地別で日本仕様が最も乗り心地に振った設定とのこと。と聞けば柔らかだが頼りないフットワークを想像してしまうが、リーフの仕様内比較であり、実際には高速での120km/h巡航での据わりのよさも中高速のコーナリングでのラインコントロールの落ち着きも良好。高速長距離走行での快適性を狙った乗り心地と言い換えてもいいだろう。
高速長距離の快適性といえば条件付き自動運転を行うプロパイロット2.0の存在も大きい。試乗では120km/h制限区間から工事臨時速度規制と渋滞まで試すことになったが、原則的にすべてシステム任せ。巡航速度設定は臨時規制も含めてシステム側が判断し、状況に合った制御に自動的に移行。ハンズオフ走行へのへの復帰も早く、前走車追従時の加減速も滑らかでドライバーの精神的ストレスを軽減。実践力の高い運転支援性能を備えていた。
パワートレーンの評価で一番の推しは極低速から高速まであらゆる状況で神経質なペダルコントロールを要求しないドライバビリティであり、ワンペダルドライブの減速制御も含めて先代と比べて洗練された運転感覚だ。
磁石レイアウトを工夫した6分割スキューローターの採用で静粛性を向上させたモーターや、駆動ギヤのバックラッシュを精密制御することで微妙な車体前後の揺れを抑制するなどパワートレーン周りのこだわりも見どころ。肌触りのいい快適性を実現するため細部まで凝った設計が施されている。
ただし、静粛性全般に関してはパワートレーン周りの騒音の減少が相対的に他の騒音を目立たせることとなり、とくに舗装状態で音質が変わるロードノイズが若干ではあるが気になる。もちろん、どの騒音もこのクラスでは最高水準なのだが、理性で理解してもそれ以上のものを要求したくなるのが新型リーフなのだ。
B7Gの価格は600万円をごく僅かに切る程度。プロパイロット2.0は約41万円のセットOP。CEV補助金があってこそ現実的なコスパが成り立つ設定である。そういったBEVハンデを納得できるなら新型リーフは演出より本質を求めるユーザーに非常に魅力的であり、とくに良質な走りを求めるダウンサイザーに最適なモデルである。
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