
RVトラストが手掛ける「TR540S Join」は、ハイエースをベースに仕立てられたバンコンタイプのキャンピングカーだ。2人旅に特化した設計で、夫婦やパートナーとゆったり過ごす旅の相棒として人気を集めている。広々としたダイネットや常設ベッド、充実した電装設備やキッチンを備え、街乗りからロングトリップまで幅広く対応できる一台に仕上がっている。
●文:月刊自家用車編集部
2人旅に特化したゆとりある空間
TR540S Joinの魅力は、まず「2人旅に特化」と割り切った設計にある。就寝人数を2名(乗車人数は5名)に絞ったことで、車内レイアウトに余裕を生み出し、広々としたダイネットと常設ベッドを両立させているのが特徴だ。木目を基調とした家具に、落ち着きのあるモスグリーンのソファが組み合わされ、車内はリビングのように寛げる雰囲気を演出。旅先での時間を、ただの移動ではなく「暮らし」として楽しむための工夫が凝らされている。
ベッドは後方に常設されており、夜はシートを展開する手間なく横になれるのが便利だ。ベッドマットには耐圧分散に優れるオリジナルプロファイルウレタンを採用し、長時間の睡眠でも快適さを損なわない。サイズは1,850mm×1,400mmと、大人2人がしっかり横になれる広さを確保している。
ハイエースを活かした拡張性と実用性
ベース車両はトヨタ・ハイエース。キャンピングカーのベースとして定評のあるモデルだが、TR540S JoinではさらにFRP製のエクステンションBOXを組み合わせることで、車内の広さを一段と引き上げている。この構造により断熱性や遮音性も高まり、季節や天候を問わず快適に過ごせるのも大きな強みだ。
外観はシンプルかつ機能的にまとめられており、旅先のキャンプ場はもちろん、街中に停めても違和感がない。パワースライドドアやバックアイカメラを装備するなど、日常的な使い勝手にも配慮されている点は、長年のノウハウを持つRVトラストらしい工夫といえる。旅行だけでなく、街乗りや買い物といった普段の用途でも活躍する一台に仕上がっている。
キッチンと収納の充実ぶり
キャンピングカーでの旅に欠かせないのがキッチンスペースだ。TR540S Joinにはシンクが備わり、使わないときは蓋を閉じて作業台として利用できる。折りたたみ式のサイドテーブルもあり、ちょっとした調理や食材の仕分けに便利だ。シンク下には10Lの給排水タンクを備えており、旅先での簡単な料理や洗い物もスムーズにこなせる。
冷蔵庫はキャンピングカー専用の40Lタイプを装備。電源を確保しやすい設計のため、肉や魚、飲料を安心して保存できる。さらに電子レンジも標準装備されており、手軽な調理や温め直しが可能だ。長期の旅でも外食に頼らず、車内で充実した食生活を送ることができる。
収納も抜かりなく、エントランス付近にはシューズボックスを配置。常設ベッド下には外部収納庫を設け、車内からもアクセスできる仕様となっている。荷物が多くなりがちなアウトドアや長期旅行でも安心だ。ベッド下両側にもスライド扉付きの収納が用意されており、整理整頓がしやすい空間に仕上げられている。
旅を快適にする電装設備と快適機能
TR540S Joinは、電装系にも力が入っている。安全性と長寿命を兼ね備えた200Ahのリチウムバッテリーを搭載し、過充電防止装置や保護装置も備わるため安心して使用できる。さらに100Wのソーラーパネルをルーフに装備し、エンジン停止中でも電力を補える点は長期滞在や車中泊において心強い要素だ。
車内には集中スイッチがあり、照明の電源をまとめてコントロール可能。DCクーラーやFFヒーターも備わっているため、真夏の暑さや冬の寒さにも対応できる。停車中には15.6インチのフリップダウンモニターを利用でき、映像コンテンツを楽しむことも可能だ。電源切替スイッチが運転席横にあるため操作性も高い。
さらに、中央にはフリールームが設けられ、収納やクローゼットとして活用できるほか、カセットトイレを置けば簡易トイレとしても利用できる。小さな空間ながら多様な用途に対応できるのは、長年キャンピングカーを手掛けてきたRVトラストの経験が生きている部分だろう。
ゆったり過ごすためのダイネット空間
車内中央に配置されたダイネットは、明るい木目調とモスグリーンのシートが調和し、落ち着いた雰囲気を漂わせる。シートは座り心地に配慮されており、長時間の滞在でも快適さが保たれる。テーブルは回転機構を持ち、車内の移動を妨げない設計となっている。
この空間は食事や会話だけでなく、リモートワークや読書の場としても機能する。ソファ上部にはオーバーヘッドコンソールが備わり、日用品や小物をスマートに収納できるのもポイントだ。旅の合間にのんびりとくつろぐ時間を持つことで、キャンピングカーライフはより豊かなものになる。
写真ギャラリー
ベース車両はトヨタのハイエース
車内前部はシートとテーブル、カウンターが設置された居住スペースとなっている。
コンパクトなカウンターは、シンクと電子レンジが埋め込まれている。スイッチやコンセントなどの電気系統もこちらに集約。側面には傘立てもあり便利な作り。また、1名掛けのシートがスライドドアから入ってすぐの場所に設置されている。
2名掛けのシートの横には、クローゼットとして使うことが出来るスペースが。
1列目のシート裏上部にはフリップダウンモニターが設置されている。
後部は常設のベッドと荷物の積載スペースとなる。
車外で使用できる折りたたみ式のテーブルは邪魔にならない適度なサイズで使いやすい。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
洗ってもツヤが戻らない理由は「見えない鉄粉」にあった どんなに高性能なカーシャンプーやコーティング剤を使っても、ボディ表面のザラつきが消えないときは鉄粉汚れが原因の可能性が高い。走行中のブレーキングで[…]
給油の際に気付いた、フタにある突起… マイカーのことなら、全て知っているつもりでいても、実は、見落としている機能というもの、意外と存在する。知っていればちょっと便利な機能を紹介しよう。 消防法の規制緩[…]
ピラーに装着されたエンブレムやバッジの謎とは? 今のクルマはキャビン後部のCピラーには何も付けていない車両が多く、その部分はボディの一部としてプレーンな面を見せて、目線に近い高さのデザインの見せ場とな[…]
ブレードバッテリー搭載軽EVが、ワールドプレミア ジャパンモビリティショーで参考出品される軽EVは、BYDにとって初めての海外専用設計モデルで、日本の軽規格に準拠している。BYDの企業理念である「地球[…]
走行中の制限を解除することでいつでもTV画面を表示可能に 最新の純正AVシステムやディスプレイオーディオは高機能だが、安全上の理由から走行中はテレビ表示やナビ操作が制限されてしまう。せっかくの高機能モ[…]
最新の投稿記事(全体)
最新改良で、使い勝手や安心機能がアップデート トヨタ最小ミニバンとして、誰もが安心して快適に過ごせる”やさしいクルマ“を基本的価値として進化してきたシエンタ。 今回も日常での使い勝手や安心機能がきめ細[…]
進化したデザインと快適性、“やさしさ”で磨かれた走り 西暦2011年。ハイブリッドカーがまだ高価だった時代に、手の届く価格で登場した初代アクアは、低燃費世界一を実現し“身近なエコカー”という新しい価値[…]
走行中の制限を解除することでいつでもTV画面を表示可能に 最新の純正AVシステムやディスプレイオーディオは高機能だが、安全上の理由から走行中はテレビ表示やナビ操作が制限されてしまう。せっかくの高機能モ[…]
ピラーに装着されたエンブレムやバッジの謎とは? 今のクルマはキャビン後部のCピラーには何も付けていない車両が多く、その部分はボディの一部としてプレーンな面を見せて、目線に近い高さのデザインの見せ場とな[…]
環境負荷を意識したコンセプト。長く乗り続けられる一台を生み出す 生産が終了した今もなお、多くの人から愛されている人気の車両、トヨタのランドクルーザープラドの前モデル。この人気車種を扱う、トヨタ・コニッ[…]
- 1
- 2

























