※このページは、自動車関連企業等より配信されたパブリシティリリース記事をそのまま転載しております。掲載内容に関するお問い合わせ等につきましては、直接リリース配信元までお願いいたします。
充電ステーション数増加も満足度低下、EVの普及を妨げる可能性
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である J.D. Power(本社:米国ミシガン州トロイ)は、現地時間8月16日に、J.D. Power 2023 U.S. Electric Vehicle Experience (EVX) Public Charging Study℠(2023年米国電気自動車エクスペリエンス公共充電調査℠)の結果を発表した。
「AC普通充電(レベル2)」と「DC急速充電」の2タイプの公共充電サービスに対するEV所有者の満足度を聴取している。
自動車ブランド各社が電気自動車(EV)の新型モデルの導入と市場シェアの拡大を続けているが、EV充電の公共インフラは追いついていない状況である。テスラの北米充電規格 NACS(North American Charging Standard)によりこの状況は改善されるかもしれないが、公共充電に対する満足度は低下し続けており、これが課題解決にはならない可能性もある。
米国全土で公共の充電ステーションが増えているにもかかわらず、利用者の満足度は低下している。AC普通充電の顧客満足度スコアは617ポイント(1,000ポイント満点)で、前年比-16ポイントだった。本調査を開始した2021年以来、最も低い水準である。EV拡大に重要なDC急速充電の顧客満足度スコアは654ポイントで前年比-20ポイントだった。さらに問題なのは、両充電タイプ共に、ほぼすべての項目で満足度が低下していることである。
公共充電の充実度に対する消費者の懐疑的な見方はEVの購入を妨げる主要因となっており、この結果はEVの受け入れをさらに妨げる可能性がある。
本調査によると、テスラの所有者はテスラの独自規格であるスーパーチャージャーネットワークに高い満足度 (745 ポイント) を示しているが、スーパーチャージャー以外の充電ステーションを使用した場合、満足度は 200 ポイント近く低下することが分かった。テスラは このスーパーチャージャーネットワークを北米充電標準規格(NACS)として提案しており、他の多くの自動車ブランドがこのNACSを採用する意向を示している。NACSの拡大により今後、DC急送充電の満足度向上が期待されるが、特にテスラ以外のブランドのEV所有者の満足度が、NACSの充電ステーションによってどれほど向上するのか、今後注意深くモニターしていく必要がある。
2023年調査の主なポイントは下記の通り:
充電速度に対する満足度が低下
公共充電サービスの利用者は、車両の充電にかかる時間に前年にも増して不満を感じている。「充電速度」に対する満足度はAC普通充電の総合満足度に最もマイナスの影響を与えており、前年比-36ポイントの455ポイントとなった。DC急速充電に対する評価もさほど高くなく、「充電速度」に対する満足度は前年比-30ポイントの588ポイントだった。
公共の充電ステーションは適切な場所に設置すべき
EV 所有者がAC普通充電 または DC 急速充電を選択する理由と、充電ステーションで費やした時間に関するデータは、公共充電ステーションを利用者により効果的にサービス提供できる場所に設置すべきであるということを示している。「利便性」はAC普通充電 と DC 急速充電共に利用者が望んでいるが、DC急速充電の利用者からは「旅行時の経路充電」も主な理由として挙がっている。このような利用者は30分程度で充電を終わらせ、出来るだけ早く目的地へ向かいたいと考えている。このことからDC急速充電は旅行ルート沿いに設置すべきであり、AC普通充電はショッピングや娯楽といった日常的に利用する施設から便利な場所に設置すべきであるということが考えられる。
充電ステーションでの充電を断念、最大で35%の利用者が経験
利用者の20%が充電ステーションで充電できなかった。理由は、充電設備の不具合から充電待ちの人数に至るまでさまざまであった。この割合が最も高かったのはマイアミ・ポートセントルーシー・フォートローダーデール広域都市圏(CSA)のEV所有者で、35%だった。シアトル・タコマCSA、デンバー・オーロラCSA、ダラス・フォートワースCSAではそれぞれ29%が充電を断念している。充電を断念した割合が最も低かったのは、クリーブランド・アクロン・カントンCSAで、12%だった。
J.D. パワー ジャパン 代表取締役社長 兼 オートモーティブ部門 部門長 山本浩二のコメント
「米国では充電ステーションの拡大は急速に進んでいるものの、EV車両台数の拡大のペースには依然として追いついていません。この状況に加え、米国全土の充電設備のメンテナンスの不足から故障している充電設備も多く、公共充電サービスの満足度低下の一因となっています。
充電ステーションの拡大はやみくもに進めるのではなく、適切な場所に大規模な台数のステーションを設置していくことが重要です。テスラのスーパーチャージャーがこの考え方に基づいて設置拡大を進めており、メンテナンスも充分に行われていることから、スーパーチャージャーは他の充電ネットワークと比較して高い満足度を得ています。スーパーチャージャーは課金や充電コネクターの取り回し等のユーザーエクスペリエンスも非常に優れており、NACSとして今後、CCSに代わる米国の標準充電規格となっていくと考えられます。
EVの拡大のKSF(成功因子)である本調査結果は、他山の石として日本の公共充電サービスの考え方や拡大計画の参考にすべき内容であると考えています。」
J.D. パワー 2023年米国電気自動車エクスペリエンス公共充電設備調査No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
【AC普通充電(レベル2)】
第1位:Volta(665ポイント)
【DC急速充電】
第1位:Tesla Supercharger(739ポイント)
《J.D. パワー 2023年米国電気自動車エクスペリエンス(EVX)公共充電調査℠概要》
年に一回、バッテリー式電気自動車(BEV)またはプラグインハイブリッド車(PHEV)の所有者を対象に、
「AC普通充電(レベル2)」と「DC急速充電」の2タイプの公共充電サービスに対する満足度を聴取した調査。
公共充電設備に対する消費者の意識や行動についても調べている。
本調査は、米国で業界をリードするEVドライバーアプリブランド兼調査会社であるPlugShareの協力を得て実施
している。今年で3 回目の実施。
■実施期間:2023年1月~6月
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:バッテリー式電気自動車(BEV)またはプラグインハイブリッド車(PHEV)の所有者
■調査回答者数:15,079人
顧客満足度を構成する10ファクターは下記の通り:
ease of charging(充電のしやすさ)、speed of charging(充電速度)、physical condition of charging station(充電ステーションの設備の状態)、availability of charger(充電器の充実度)、convenience of this location(設置場所の利便性)、things to do while charging(充電中の時間つぶし)、how safe you feel at this location(設置場所の安全性)、ease of finding this location(設置場所の見つけやすさ)、cost of charging
(充電コスト)、ease of payment(支払いのしやすさ)
*本報道資料は現地時間 2023年8月16日に米国で発表されたリリースを要約したものです。
原文リリースはこちら
https://www.jdpower.com/business/press-releases/2023-us-electric-vehicle-experience-evx-public-charging-study
*J.D. パワーが調査結果を公表するすべての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。
J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。
人気記事ランキング(全体)
“壊れないクルマ”を証明した日本車の海外ラリー挑戦、現場では様々なパーツが開発された歴史あり 今どきの日本車は、オイル交換などの最低限のメンテナンスさえしておけば、壊れるリスクはかなり低い。日本国内だ[…]
iPhoneやiPadの画面を純正ディスプレイに簡単に表示、最高すぎだろ! 最近は純正ディスプレイにスマートフォンの映像を表示できるクルマが増えているのだが、接続方法はクルマによってまちまち。その中で[…]
ベース車両はスズキのエブリイ ベースとなる車両はスズキのエブリイ。燃費の良さや、運転のしやすさが際立つ軽自動車であるにもかかわらず、広い車内空間を誇る人気車だ。 シンプルでコンパクトな外観は、街乗りで[…]
ベース車はスズキ・エブリイワゴン/キャビン 2mini Frozoo(マリナRV) ベースとなる車両はスズキ・エブリイワゴン。釣りやキャンプなどアウトドア趣味のユーザーに人気が高い軽バンコンは、キャン[…]
ナメたナットを切って外すツール 角をナメてしまったナットは、外れたとしても再利用することは難しい。であれば、壊してして外す、という選択肢もある。それを可能とするツールが「ナットブレーカー」だ。ナットを[…]
最新の投稿記事(全体)
限定車オーバーランド が、新色グレーマグネシオメタリックで登場 今回導入されるジープ コマンダー オーバーランドは、コマンダー リミテッドをベースに、エンペラドールブラウン色のスウェード素材をふんだん[…]
まずは今年を代表する10台を選出、その中から投票でイヤーカーが選ばれる 日本カー・オブ・ザ・イヤーは、市販を前提として日本国内で(前年の11月1日より当年の10月31日まで)発表される乗用車の中から、[…]
amazonブラックフライデーとは? amazonは、年に何度か大きなセールを実施するが、中でも、毎年11月から12月にかけて実施されるブラックフライデーは、特に広範な商品がセールの対象となるので、こ[…]
大メーカーに呑み込まれた航空機エンジニアの気概が、先進の小型車を生んだ ひと口に自動車メーカーと言っても、その歴史や成り立ちにより社風や個性は違う。1966年に合併した日産とプリンスも、まったく異なる[…]