カーオブザイヤー複数受賞などプロからの評価が高く、一般ユーザーの支持を集めて販売も好調な日産・ノート。あらためてその実力を検証しつつ、豊富な選択肢からどれを選べばいいのか、モータージャーナリスト・山田弘樹が探る。
●文/まとめ:山田弘樹/月刊自家用車編集部 ●写真:澤田和久
日産のチャレンジ精神が正しく具現化されている
フルモデルチェンジからおよそ1年と4カ月が過ぎた日産ノートだが、オーラの追加もあって、その販売台数はおおよそ月7000台、多いときには9000台以上という盛況ぶりとなっている。
その魅力を簡潔に表現すれば、充電の手間なしにモーター駆動の気持ちよさを味わえる「e-POWER」の制御が、さらに洗練されたことがまず挙げられるだろう。ピュア・ガソリンモデルがディスコンになったのは残念だが、その割り切りすらも日産らしくチャレンジング。ノートを選ぶことで、オーナーは次世代への準備を楽しみながら行うことができるはずだ。
また多彩なバリエーションを持つことも、ノートの大きな魅力だ。
標準車は5ナンバー枠ボディで、Bセグコンパクトの本分であるベーシックな使いやすさを、きっちりと守っている。その上でワイドボディの「オーラ」を登場させて、e-POWERのシームレスな出力特性に相応しい、落ち着きのあるシャシー性能と、派手すぎず伸びやかなデザインを表現したのも秀逸。テキスタイルや木目調パネルをあしらいセンスよくインテリアをまとめたオーラは、ダウンサイザーが待ち望む一台となった。
さらにノートは駆動方式選びも悩みどころ。価格も含めた軽快さでFFを選ぶか、リヤモーターとの協調制御で奥深き旋回性能を発揮する4WDにするかは、購入時にひとつのテーマとなるだろう。
さらに日産は、このオーラにNISMOバージョンを登場させ、その走りを大きく進化させた。ワイドトレッド化したボディに対して足回りを調え、なおかつモーターにはその加速感を維持する独自の制御をプラスし、EVスポーツの一般化にいち早く着手した。
かたやオーテックは標準車をベースにプレミアム仕様とクロスオーバー仕様をラインナップと、そのバリエーションは驚くほど多彩。そしてこうした攻めの姿勢そのものが、ノートとノートオーラに勢いを与えている。
見た目ヨシ!
近未来的で空力も優秀。オーラはプレミアム感満点
居心地ヨシ!
先進的な造形と使い勝手の良さをバランスよく両立
実用性ヨシ!
タイヤハウスの張り出しを抑えて荷室容量を確保
操作にも走りにも電動の特徴を活かす
ノートは回生ブレーキを積極利用して、フットブレーキを使わずアクセルだけで車体を操作する「ワンペダル感覚」が走りの要。最大0.18Gまでの減速Gで荷重移動を行うべく、そのサスペンションがしなやかに設定されているのが特徴だ。それゆえ街中では乗り心地も良く、アクセル開度の増減で気持ちよく姿勢を変えながら快適に運転できる。
走りヨシ! 排気量の縛りから自由になれる”電気駆動”
このソフトな足回りと軽やかな電動パワステの組み合わせは、高速巡航時にややハンドルの座り感に影響するが、そこでプロパイロットを作動させると電動パワステが座る。またモーター制御とACC(追従式クルーズコントロール)の相性が非常に良いため、加減速の調整もスムーズに行ってくれる。
対してオーラはトレッドが広がり、その足下に17インチタイヤを標準装着する分だけ直進安定性が高い。足回りはノート同様にアクセルでの加減速が活きるしなやか型だが、ややどっしりとした落ち着きのある印象になっている。
さらに4WDを選ぶとその走りが奥深くなる。リヤモーターは直進安定性を高めるだけでなく旋回方向にも制御を効かせ、アンダーステア知らずといえる4輪制御でドライバーを楽しませてくれる。
SUVも!NISMOも!!
ノート軍団強力布陣
確かな実力の通常モデル、趣味性の高いオーテック
多彩なバリエーションを持つノート/ノートオーラだが、価格を含め、Bセグコンパクトカーのシンプルさを求めるなら標準のFFがベスト。価格は先代のガソリンモデルに比べ高くなったが、その分、116PS/280N・mに出力向上し制御も洗練されたe-POWERが〝新しい時代のコンパクトカー〞を体験させてくれる。
こうしたe-POWERの洗練度に相応しい上質さを備えたのがノートオーラであり、これは生活密着型の小型車というよりも「小さな高級車」が欲しい人向き。一方、ノートのシンプルさをより確かな走りで楽しみたいなら、車高を高めつつその足回りも引き締めたAUTECH クロスオーバーがいい。それでも満足できないスポーツ派はノートオーラNISMOにチャレンジしてみて欲しい。
通常グレードに加え、個性際立つオーテック車も選べる!
実力十分の基本タイプ
まとめ
こんな人にはこんなノート!
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