現行スバルXV(3代目)の次期モデルとして、来年の発売を予定しているスバル・クロストレック。現時点では国内仕様車がワールドプレミアされただけで、販売価格やグレードバリエーション、詳細スペックは公表されていないが、よりたくましくなったスタイリングやスバルの最新技術の数々は見逃せない。ここでは判明している両モデルの違いを改めて確認してみたい。
●文:月刊自家用車編集部(ハラ)
クロストレックで選べるのは2Lのe-BOXER車のみ。実質的なスタート価格が上昇したことにも注目
まず最初に注目すべきはパワートレーン設定が変わったことだ。
スバルXVは、2Lの直噴DOHCエンジンに小型モーターを組み合わせたマイルドハイブリッドのe-BOXER車(145PS/19.2kg・m+10kW/65Nm)と、1.6Lガソリン車(115PS/15.1kg・m)を選ぶことができたが、クロストレックは2Lのe-BOXER車のみにパワートレーンが絞り込まれる。将来的には上級パワートレーンの採用も十分ありうるが、2023年の正式デビュー時にはe-BOXER車のみが投入される。クロストレックのe-BOXERのスペックは公表されていないが、燃費などの環境性能は若干向上する可能性もあるが、動力性能はXVのe-BOXER車と大差はないだろう。
1.6L車がドロップアウトしたことで、少し気になるのは、実質的なスタート価格が上がってしまうこと。XVの1.6L車(価格:220万〜233万2000円)は2Lのe-BOXER車(価格:265万1000〜295万9000円)と比べるとパワースペックは少し非力だが、本格的な4WD機構を備えるSUVとしては価格はお値ごろな設定で、コスパの良さも人気を集めていた理由だった。コミコミ250万円でSUVを検討していたユーザーにとっては、有力モデルが消滅することになる。
アイサイトは国内初の新システムに刷新。装備&機能はクロストレックが圧勝
ボディサイズやキャビンサイズはほぼ同じ。両モデルのキャビンと荷室を見比べると細部の意匠などは異なるが、スペース的には大差ないことがすぐに分かる。防汚フロアや荷室まわりのアレンジ機能なども継承されるなど、実用性に優れるSUVという美点も健在だ。
ただ装備&機能に関しては、最新設計のクロストレックの方が明らかに上。2017年デビューとはいえXVにもクラス平均以上の内容が盛り込まれているが、アイサイトと車載ITの進化が著しい。
XVのアイサイトもツーリングアシストまで対応しており、このクラスとしてはトップレベルの実力を持っているが、クロストレックのアイサイトは国内初となるステレオカメラ+単眼カメラの最新仕様にアップデート。歩行者検知や二輪車検知の適応力が強化されることで衝突のリスクをさらに低減している。運転支援機能に関してはレヴォーグやWRX S4に設定されるアイサイトX(ハンズオフ走行など)には及ばないが、衝突回避に関してはスバル車の中でも最も進化しているといっていい。
ナビやオーディオ、車両情報を表示する車載ITは、上級モデルを中心に採用が進む11.6縦型タッチディスプレイ仕様が用意される。正式発売時には従来の2DINにナビを収めるオーディオレス仕様も設定されるはずだが、少し価格が高くなったとしてもタブレット感覚で操作ができる最新の車載ITは魅力的な選択になるのは間違いない。
フォレスターとの関係を考えれば、価格の大幅上昇は考えにくい
クロストレックはSGPが第2世代に進化することで、乗り心地や走行安定性がさらに高まるが、動力性能に関していえば現行XVとほぼ同等。キャビンまわりの質感向上と機能装備&アイサイトの進化は魅力だが、もともとXVはこのクラスの優等生モデルだけに、普段遣いでXVの走りに満足しているならば、あわてて乗り換える必要はないだろう。
気になる価格に関しては、クロストレックは2Lのe-BOXER車に絞り込まれた上に最新装備が装着されるためXVよりも高くなるのは確実だが、フォレスターのe-BOXER車の価格設定(299万2000円〜)とのバランスを考えれば大幅値上げは考えにくく、XVのe-BOXER車(価格:265万1000〜295万9000円)よりも約10〜20万円ほど高くなる程度だろう。1.6L車の廃止は残念だが、性能とコスパに優れるXVの美点は、間違いなくクロストレックにも受け継がれるはずだ。
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