
数多いる自動車YouTuberの中でも、濃密なキャラと語り口で異彩を放つ「ウナ丼」。マニア熱望の第四回は、意外と忘れられがちな「商用車」がお題。マニア好みの通なモデルへの偏愛ぶり、ぜひご堪能あれ。
●文:ウナ丼 ●まとめ:オートメカニック編集部
ウナ丼
新車、旧車、珍車を問わず独自の視点&エンタメマインドで切り取るクルマ評で人気を集める自動車YouTuber。現在はオートメカニックでも活躍してくれてます。日本カー・オブ・ザ・イヤー2021-2022選考委員を務める。
ウナ丼_STRUT_ エンスーCAR ガイド
https://www.youtube.com/user/enthucarguide1
ハンドリングに絞ってチェック!?
数多いる自動車YouTuberの中でも、濃密なキャラと語り口で異彩を放つ「ウナ丼」。マニア熱望の第四回は、意外と忘れられがちな「商用車」がお題。マニア好みの通なモデルへの偏愛ぶり、ぜひご堪能あれ。
世の国産車は新世代プラットフォームにしてから走りがいいものばかりですね。トヨタのTNGA系はもちろん、日産のCMF系もヒット連発。カローラとかノートとか、かつての大衆車クラスが感動的なハンドリングだもんな~。
で、ここでふと思ったんです。「商用車はどうなんだっけ!?」というわけでトヨタと日産の商用車を一気に乗ってみました。ハンドリングに絞ってチェックします。
まずは乗用車派生型のバン対決から。日産はADでトヨタはプロボックスです。
1番勝負!
ADバン VS プロボックス
ADのエンジンは1.5L4気筒ガソリン・110PSのもの。プロボックスは今回HEV仕様を選択。同じ1.5L4気筒だがモーターと合わせてのシステム総合出力は100PS。全長はADが15cmほど長いがほぼイーブン。
ADから乗ってみたんですがまあびっくり。ソフトで平和な乗り心地なんです。ベースは2005年のウイングロードなのでシャシー解像度は2世代くらい前のボンヤリした感じもあるんですが、荷物積載が前提のはずなのに空荷でも硬い印象がないんです。もちろんバネレートは高めてあるはずなんですが、ブッシュの設定がうまいのかキツイ突き上げがなくて快適。
続いてプロボックス。ADから乗り換えると久々に「お、これはメーカーの思想が違う!!」ってすぐわかる。
とにかく乗り心地が硬め。ただ、足が動いていない印象ではない。2014年の大規模マイナーチェンジで大幅にボディ補強がなされたこともあって、ストローク量は少なくても乗り心地は悪くないんです。いやむしろ往年のドイツ車、そうゴルフの初期のころのようないい具合の硬さ。
ただ、日産のような柔らかさはなく、近年のトヨタ乗用車と比較してもしなやかさがないのがけっこうな違和感でした。
続いてはセミキャブ対決。日産はNV200でトヨタはタウンエース。
2番勝負!
NV200 VS タウンエース
NV200の試乗車は4速AT仕様の1.6L4気筒ガソリン・113SP仕様車。最新モデルはCVTに変更された。タウンエースの席下搭載の1.5L4気筒97PSエンジンは超ロングストロークタイプで粘るのが特徴。
これは成り立ちが大きく違ってNVはFFプラットフォームのいわばミニバン的なもの。タウンエースは前席下エンジンのFRをベースにした、従来フルキャブの延長上モデル。
乗ってみます。NV200は非常にソフトで足を大きく動かしていくタイプ。一方でタウンエースはストローク量を絞って硬め……そう、AD対プロボックスと同様の結果に。
ここで仮説が立てられます。日産は商用車であっても乗用モデルのような乗り心地を提供しようとしてる。トヨタは商用車だから硬くてもいい……とは考えていないはずなので、これはたぶん維持コストの低減狙いなんでしょう。乗り心地よりも劣化速度の遅さを求めて硬めブッシュを採用していることが原因では?と推測します。タウンエースはダイハツ開発で東南アジアでの販売がメインですから、耐久性への要望は高いはずだし。
以上のような結果をふまえて大御所対決。日産キャラバン対トヨタ・ハイエースです。いずれも最新のディーゼルターボに乗りました。
3番勝負!
キャラバン VS ハイエース
新採用の2.4Lディーゼル4気筒ターボは132PS。アライアンスを組む三菱製の新規ユニットだ。ハイエースは2.8Lディーゼル4気筒ターボで151PS。マイチェン前の3ℓエンジンより7PS出力向上した。
走行性能は直近で7速ATを採用したキャラバン有利かと思うも6速ATのハイエースも広大なトルクバンドによってネガはなく甲乙つけがたい印象。
で、肝心の操安性について。マイチェン以前のキャラバンは実は仮説に反して硬い印象の乗り心地だったのですが、最新モデルでカドが取れて柔和なフィールになってました。ただそのぶん?高速域ではやや直進安定性が弱い面も。
一方のハイエースは硬め……ではない!! いや、硬い!「どっちなんだ!?」と読者の皆さんはお怒りかもしれませんがちょっと待って說明します。プロボックスやタウンエースと同様にストローク量は制限されている印象があって第一印象は硬いんですが、その短いストロークの中で精密に動いているので「硬くない」。むしろしなやかさがあるんですよ。
ハイエースのこの動きは、プロボックスやタウンエースに社外の高いダンパーやブッシュを入れたようなフィール。
つまりあれだ、ハイエースは世界中でとんでもない台数が出るスーパー売れっ子なので商用車であっても足回りにかけられるコストに余裕があるってことでしょう。
で、結論は「日産は柔らか、トヨタは硬め。でもハイエースはすげえ売れてるから話が別」……うーむ、我ながらなんとも玉虫色の締めとなりました。というわけで美味でした、ごちそうさまでした。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※掲載されている製品等について、当サイトがその品質等を十全に保証するものではありません。よって、その購入/利用にあたっては自己責任にてお願いします。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。※本記事はオートメカニック2022年11月号に掲載されたものです。
最新の関連記事(オートメカニック)
フロントガラスの油膜を除去して良好な視界を確保 普段の走行で、フロントガラスには油分が付着する。これは、排気ガスなどが原因で、避けがたい現象だ。蓄積されていくと、ウォッシャー液などでは簡単には落ちず、[…]
サビは放っておくと塗装の下に潜り込んで広がる…!? 綿棒の先ほどの塗膜が剥がれた些細なキズだったとしても、すでにサビが発生していたら要注意! 周囲の塗膜の下に広がっている可能性があるからだ。もしもサビ[…]
馬車の時代から採用されていたサスペンション サスペンションを日本語にした懸架装置という言葉が長く使われていた。その名のとおり、初期のサスペンションは車輪を車体から吊すものととらえられていたのだ。 サス[…]
塗装面に突き刺さる異物を除去し、滑らかなボディを取り戻す 都心部の汚れた空気の中を走り回っていると、車の塗装表面には様々な異物が付着する。特に厄介なのが、目には見えない鉄粉だ。この鉄粉の主な出所は、ブ[…]
メーターパネルが曇って見えたら… メーターパネルとひと口に言っても、メーカーや車種によって、様々なタイプが存在する。最近の流行は液晶画面の採用で、表示する情報のカスタマイズも可能なものも多い。従来のア[…]
人気記事ランキング(全体)
熱い期待を受けて登場したスバル360の後継モデル 1969年8月にデビューした「R-2」のキャッチコピーは「ハードミニ」。やわらかい丸みを帯びたデザインは当時の軽自動車市場の中にあっても個性を感じさせ[…]
サイドソファとスライドベッドがもたらす“ゆとりの居住空間” 「BASE CAMP Cross」のインテリアでまず印象的なのは、左側に設けられたL字型のサイドソファと、そのソファと組み合わせるように設計[…]
ベッド展開不要の快適な生活空間 全長5380mm、全幅1880mm、全高2380mmという大型バンコンでありながら、その中身は大人二人、あるいは二人+ペットでの旅にフォーカスされている。7名乗車・大人[…]
初代レパードは、日本国内向けの高級GTとして誕生 1986年に発売された「F31系」のレパードは、「レパード」としては2代目のモデルになります。 初代の「レパード」は、北米市場向けモデルの「マキシマ」[…]
快適性を追求した軽キャンの完成形 「ミニチュアクルーズ ATRAI」は、岡モータースが長年にわたり築き上げてきた軽キャンパー製作のノウハウを、現行アトレーのボディに惜しみなく注ぎ込んだ一台である。全長[…]
最新の投稿記事(全体)
魂動デザインの進化に加え、装備機能の充実ぶりも期待できそう 現行型のCX-5は2017年に発売され、すでに8年が経過している。すでに国内でも次期型の登場は噂になっており、編集部が販売店に取材したところ[…]
初代レパードは、日本国内向けの高級GTとして誕生 1986年に発売された「F31系」のレパードは、「レパード」としては2代目のモデルになります。 初代の「レパード」は、北米市場向けモデルの「マキシマ」[…]
人気のメーカーオプションが一部グレードで標準装備化 今回の改良では、人気のメーカーオプションが一部グレードで標準装備化されることで、商品力を強化。 具体的には、Xグレードを除く全グレードにETC2.0[…]
33年の歴史をもつ老舗カスタムショー。家族で楽しめるコンテンツも充実 1991年に群馬トヨタ自動車が立ち上げた「RV-Park」イベントをルーツとして33年の歴史をもつ「群馬パーツショー」が、今年も7[…]
男性ユーザーもターゲット、所有する喜びや満足感を意識したハイトワゴンに進化 スタイリッシュさを追求したデザイン 初代が1995年に誕生し、ベーシックなハイトワゴン人気を牽引してきたムーヴが7代目へと大[…]
- 1
- 2