6月9日にル・マン24時間レース会場であるフランスのサルト・サーキットにおいて、トヨタ自動車株式会社の豊田 章男会長が水素エンジン搭載のレーシングコンセプトカーを発表した。
●文:月刊自家用車編集部
水素エンジン+ハイブリッドシステム搭載のレーシングコンセプトカー
6月9日にサルト・サーキットで開催されたACO(フランス西部自動車クラブ)のプレスカンファレンスに登壇したトヨタ自動車株式会社、豊田 章男会長が、ル・マン24時間レース100周年の祝辞と、レースを通じてクルマを鍛えさせてもらったことに感謝を述べ、ACOより公表された「水素カテゴリーへ燃料電池車両に加え水素エンジン車両の参戦を認める」ことを受けて、将来の参戦を見据えた水素エンジン車両のコンセプトカー「GR H2 Racing Concept」を発表した。
トヨタ自動車株式会社は、2021年のスーパー耐久シリーズ第3戦より水素エンジンカローラで参戦。2022年12月にはタイのチャーン・インターナショナル・サーキットにて開催された「IDEMITSU 1500 SUPER ENDURANCE 2022」にも同じ車両で参戦し、モータースポーツという過酷な状況での技術向上とカーボンニュートラル社会の実現へ向け、水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」取り組みを業界内外のメーカーとともに加速させてきた。
今後も“モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり”と“カーボンニュートラル社会の実現”に向けた取り組みをさらに進め、新世代のル・マン24時間レースに挑戦していく、としている。
今回の発表に際し、豊田 章男会長は、「ル・マン100周年おめでとうございます。ル・マンは世界で最も有名なレースということだけではありません。ル・マンは、我々が技術の限界を超えていける場所、そして未来を実現していける場所です。私たちの想いを、世界の皆さまに知っていただく機会を与えていただいたACOとル・マンに心から感謝いたします。モータースポーツでカーボンニュートラルを実現すること、それも、レースでのパフォーマンスや興奮を犠牲にすることなく、それを実現することを私は目指しています。私どもの新たな水素レーシングカーが、将来、水素クラスに参加することを楽しみにしています。そこには、音も、トルクも、迫力も、すべてが揃っています。これは単なる新型レースカーではありません。ゼロエミッションで戦うレースカーです。次の100年後も、こうしてチェッカーフラッグが振られることを祈っています。」とコメント。
ACO Pierre Fillon会長も「この2023年6月9日という日は、世界一の自動車メーカーが、新たな水素エンジンの取り組みを発表した日であるという、ル・マン24時間と、FIA世界耐久選手権の歴史の中の金字塔として、将来振り返られるでしょう。ちょうど100年前、我々ACOは、ル・マン24時間を立ち上げ、それは、まさに自動車業界にとって、技術開発の実験場となってきました。そして、昨今、モビリティはエネルギー転換という革命を迎えており、ル・マン24時間は、持続可能なテクノロジーの探求を続けております。2018年より、ACOは、Mission H24とGreenGTとともに、安全で効率的なエネルギーとしての水素の導入を推進してきましたが、本日、我々は、2026年ル・マン24時間の水素カテゴリーの創設に向け、重要な一歩を踏み出しました。繰り返しになりますが、自動車メーカー各社の志と同調し、耐久レースは持続可能なモビリティの実現へコミットメントを示しました。私は、技術的な多様性を追求する、トヨタの挑戦、ACOに関わる人々のビジョン、そして、WECとル・マン24時間に敬意を表します。豊田さん、今回の発表をされたことで、ル・マン24時間の歴史にあなたの名が刻まれました。」とコメントしている。
「GR H2 Racing Concept」は、ル・マン24時間レース期間中に会場内ACOのH2ビレッジで、 6月9日(金)現地時間9:30から6月11日(日)まで展示されている。
●GR H2 Racing Concept車両概要
・パワートレーン:水素エンジン+ハイブリッドシステム
・全長:5100mm
・全幅:2050mm
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