物流の2024年問題。2024年4月からトラックドライバーの年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることにより、輸送能力の縮小や運賃上昇、ドライバーの収入減少などにより、さらなる人手不足が懸念されている。9月19日に公開された「トヨタモノづくりワークショップ」では、トヨタが取り組んでいる物流問題への対応が公開された。
●文:月刊自家用車編集部
完成車物流ドライバーの負担軽減のため、作業環境を改善し、Vehicle Logistics Robot(VLR)を開発・導入、試験運用中
「トヨタモノづくりワークショップ」において公開された完成車物流の環境改善。トヨタだけの問題ではなく、業界全体の課題としてドライバーや運搬作業員の負荷軽減と、安心して働ける環境づくりの整備が急務となっている。
トヨタでは、全国の工場や港の積み込み、荷卸し場に屋根を設置。雨天時でも作業がしやすいように、ドライバーの作業環境整備に取り組んでいる。また、完成車ヤードで、車両を集荷する作業の改善も行っている。
従来、完成車ヤードでは運搬作業員が人海戦術で車両運搬を行っており、慢性的な人手不足の状態だという。トヨタ「元町工場」の完成車ヤードの広さは4万平方メートルで、屋外での長い歩行を伴う作業は身体的な負担が大きいことも課題だという。
そこでトヨタは、「元町工場」にVehicle Logistics Robot(VLR)と呼ばれる車両搬送ロボットを導入。人手不足の解消 と作業負荷の軽減に取り組んでいる。この車両搬送ロボットは、車両の床下に潜り込んでタイヤ4輪を持ち上げ車両を搭載するというもの。
サイズが異なる車両を搭載できるように、車高とホイールベースに応じて荷台を昇降・収縮する汎用性が備わっており、GPSを使った高精度な自律走行と管制システムで、複数台のロボットの動きを一括管理することができる。安全かつ最適経路での搬送を可能としている。48Vリチウムイオンバッテリーを搭載し、モーターで駆動する。
さらに、人による運搬と異なり、ギリギリまで設置スペースをつめることができる。ドアの開け閉めも不要になるので、隙間なく効率的に車両を配列することが可能となり、完成車ヤードを効率的に活用することができるのだ。
このVehicle Logistics Robot(VLR)。実は入社4年目の若手社員のアイデアだという。このアイデアが書かれた”ポンチ絵”が、トヨタのスタートアップ拠点である「貞宝工場」に持ち込まれ、具現化。走行用のモーターは豊田自動織機の電動フォークリフトのモーターを流用。搬送車両に余計な振動を与えないために、サスペンションにはレクサスLSのものを転用し、現在のモデルで3世代目だという。
必要となったらオールトヨタで一気に作り上げてしまうのが、トヨタ流。「誰かの仕事を楽にしたい」、「みんなの笑顔のために」という創業以来の精神がここでも遺憾なく発揮されていた。
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